ローカスから出版されたCocoaのプログラミング本である「はじめてのMacOS X Cocoaプログラミング」は、ダイナミックバインド社の中村正弘氏によって執筆されたものだ。中村氏は札幌医科大学に在籍のころから、NeXTでのプログラミング経験があり、最近ではMac OS X関連のプログラミングに関していくつかのセミナーで講演もしている。価格は4,800円で、500ページを超えるちょっと分厚い書籍である。Objective-Cの初歩、アプリケーションのひな形の解説、ビューやデリゲート、オブジェクト生成などの基本的なユーザインタフェースを含めたCocoaのアプリケーション開発の基本から説明をしている。そして、マルチドキュメントやローカライズ、クライアントサーバアプリケーション、ノティフィケーション、ドキュメントクラス、サービス、ツールバーといった話題も取り上げられており、ユーザインタフェースを構築する場面から、内部的な処理の構築方法まで幅広く解説されている。解説も単に操作を説明しているのではなく、ポイントになる部分やつまづきそうな部分を詳細に解説するなど、初心者からスキルアップをしたい人までにも配慮されたものとなっている。もちろん、Interface Builderでの実際の操作を含めた部分は図入りで詳細に解説されている。プログラムも、1行1行が丁寧に解説されているなど、念入りに執筆されたという印象を持つ内容だ。すべての解説は、Mac OS X 10.1でのProject BuilderおよびInterface Builderでのものとなっており、最新のMac OS Xでの開発環境でのプログラミングを学習することができる。いずれにしても、Cocoaのプログラミングを行う人にとっての必携本であることは確かだろう。 |