「ヒラギノアップデート」として永松正人氏からの講演が行われた。まず、フォントの復習として、「字体」は他の文字と区別される特徴的な形であり、「書体」は文字を表現する様式・特徴・傾向などが一貫して形成されたものと説明した。フォントには、文字セット、エンコーディング、フォントフォーマット、文字セットといった要素がある。昔は文字セットとエンコードが不可分だったが、CIDまではコードポイントと文字が密接に関係していた。CID以後はキャラクタIDという考え方により、コードポイントと文字が独立した。文字セット、エンコードの具体例を示し、フォントフォーマットにはTrueTypeやPSフォントなどがあると説明した。 Mac OS X 10.0ではヒラギノフォントを無料でバンドルし、プリンタフォントが不要になり、フォントエンベッド可能なPDF、従来のフォントのサポートを実現した。Ver.10.1では、「アップルパブリッシンググリフセット」として、JIS X0213:2000、最新のUNICODE、写植文字を含んでいる。関連文字テーブルのことえりでの利用やビットマップフォントの利用も実現した。ことえり3については、JIS X0213:2000対応、関連文字の入力や変換、文字パレットの拡張などが新しい機能となっている。これまでは外字のニーズがなくならなかったが、JIS X0213ではそうした問題が解決されている。「アップルパブリッシンググリフセット」は、Adobe Japa 1-4、JIS X 0213:2000、電算写植の文字を含めて約20000字となった。JIS X0213は人名や地名などの文字が追加されている。ひらぎのフォントはUnicode 3.2に対応し、サロゲートに対応している。サロゲートは、UTF-16の一部の領域を使ってより多くの文字を表現する方法で、1文字あたり32ビットを使って表現される(具体的なコードのフォーマットが説明された)。たとえば、「土」に点の入った文字はサロゲートで表現される。ことえりでも、サロゲートされたコードが表示される。拡張グリフに対応するには、ATSUI、Cocoaを使うことになる。 Mac OS 9からの移行においては、Mac OS 9のフォントはプロテクトCIDも含めてそのまま対応される。Mac OS Xで動作しないフォントとしては、fbitなどがある。フォントのインストール先のフォルダについても紹介された。文字セットの使い分けについての説明もあり、プリプレスはすべてOKだが、情報交換では制限があることが示された。ことえりの文字パレットでは、Unicode対応アプリケーションが必要になることが示される。OpenTypeは、TrueTypeとType1フォントを同じように扱えるようになる。また、AAT futureという機能で、コードはそのままで自動的に旧字に置き換えたりといったことができる。ATSUSetFontFeaturesというAPIを使う。 続いて、異体字へのアクセス方法についての説明に入った。「喜」という文字がたくさんあるという例で、異体字を説明した。ATSFontRefを得てテーブルをチェックし、Zapfテーブルを得て、そこからグリフを得ることができる。(Zapfとは伝説的フォントデザイナの名前だ。)そして、プログラム例を示して、APIを使って異体字を検索するところを示した。そして、字形の収集についても説明があった。現在は10万字を集めたものもあるが、同じものとみなされる文字をまとめるという「包摂」という考え方を示した。ヒラギノでは無用の文字は作らないという方針があり、対応していない文字もあることが紹介された。包摂しているもの、していないものの例がたくさん示された。(EGWordとEGBridgeでは、異体字を出せるようになるという補足もあった。) |