タイトル | 【MacWIRE配信予定】小池邦人のプログラミング日記》2001/12/11<Mac OS Xに対する開発者からの提言>(2) | カテゴリー | 開発情報, Mac OS X, 小池邦人のプログラミング日記 |
作成日 | 2001/12/12 16:25:18 | 作成者 | 新居雅行 |
(9)リソースのサポート継続とInterface Builderの機能拡充 現状のCarbonアプリケーションでは、たとえリソースフォークを使わないとしても、リソース自体の呪縛から逃れる術はありません。メニュー、コントロール、ウィンドウだけが扱えるNibファイルでは不十分なのです。Macintoshにとってリソースとは、誕生した時からのの歴史的産物であり膨大な資産なのです。ResEditやResorcererなどの外部ツールにたよるだけではなく、Interface Builderにも、アイコン、カーソル、文字列、PICTといった典型的なリソースを編集する機能があるのが理想だと思います。リソースファイルでなくても、Nibファイルとしてデータ出力できれば問題ないわけですから。 (10)APIや技術仕様変更の差別なき速やかなる通達 この件は、開発最前線のデベロッパーにとっては死活問題です。近々出荷を控えてパッケージ化したアプリケーションが、APIの仕様変更で突然動かなくなってしまうケースを想像してみてください。Apple社にすれば、何らかの大きな理由があるため、そうした行動をとるのでしょうが、それについては開発者側への事前連絡(それもなるべく早い時期に)が不可欠だと思われます。どうも、こうした情報通達は大手ソフトウェアーベンダーが優先される傾向にあるようですが、情報開示の差別はいけません!だって、次世代のキラーソフトを開発してくれる会社は、どこに存在しているか分からないのですから。 (11)実装状況と技術ドキュメントとのギャップの解消と情報公開 ヘッダーファイルには定義されているのに、実際に使用してみると、まだ実装されていないAPIに遭遇することがあります。このような混乱を、いちいちApple側に問い合わせて確認していたのでは、手間がかかるだけで時間の無駄です。間違った情報を元に開発を進ねてしまう事ほど「むなしい」ことはありません。そうした情報は、どこかで一括閲覧でき、技術ドキュメントと実装のギャップをいち早く確認できる仕組みを作ってほしいと思います。また、技術ドキュメントの中には「ファイルアクセスにはFileURLを使え」とか「リソースフォークを使うな」など、理想論を展開している物があります。ところが、現実には、QuickTimeにはFileURLどころかFSRefが使えるAPIさえ存在しませんし、ドキュメントのプレビュー画像や用紙設定情報はいまだにリソースフォークに付加されています。現実とのギャップがあるドキュメントの提示は極力止めてほしいと思います。「出来ないことを書くな!」ですね(笑)。 (12)システムやユーザデータのバックアップとリカバー方法の確立 デベロッパーは、開発中のアプリケーションや周辺機器の動作確認のために、自分の環境内でユーザ環境をシミュレーションする必要があります。昔なら、1ボリュームに複数バージョンのシステムフォルダを置き、必要時に切り替えて確認することができました。しかし、Mac OS Xではバージョン変移が激しいにもかかわらず、こうした手法を取ることができません。また、一般ユーザに対してメンテナンスをする場合にも、気軽に「前のシステムに戻してください」「システムを入れ替えてください」と言えない状況に陥っています。何らかの仕組みを構築するかツールを提供することで、どんなユーザでも簡単にシステムやユーザデータのバックアップとリカバーが可能になることが切望されます。 (13)Classic環境の安定とMac OS 9.Xとの親和性の改善 Mac OS XがClassic環境との決別するのは、当分先のことでしょう。Mac OS XとMac OS 9.Xとが混在している環境をメンテナンスしているデベロッパーもいます。環境を切り替えるとメニュー形態が変わる現状は、ユーザの混乱を招いているだけで、ユーザサポートをしているデベロッパー側の負担も増大します。また、Classic環境とMac OS X環境間のカット&ペースト、ドラッグ&ドロップ、ネットワークなどによるデータ移動なども何の違和感無くスムーズに行えるよう、両環境間の親和性を高める努力を怠らないでほしいと思います。Classic環境の起動スピードや安定性をさらに改善する仕組みも必要になるかもしれません。 (14)開発ツールやシステムパフォーマンスのさらなる最適化 これも説明の必要はないでしょう。Mac OS X 10.1になり、システムのパフォーマンスや体感スピードは随分改善されました。しかし、Mac OS 9.Xと比較すると、処理がもたつく場合がまだまだ目立ちます。Project Builderのコンパイルやリンクスピード、画面描画スピード、Javaアプリの動作スピード、PowerBookでのバッテリーのもちなど。搭載ツールやシステムのさらなるパフォーマンスアップや最適化をお願いしたいと思います。 (15)FinderやDockを含めたMac OS Xの使い勝手のさらなる改善 この件は、一般ユーザからも大量にフィードバックされていると思われます。デスクトップ上に「ごみ箱」を置けるオプション、コマンド+Nキーによる新規フォルダ作成、シングルクリックによるファイル名変更、メニューの透明度の選択、カラーラベルやフォルダーナビゲーションの復活、アピアランスオプションの拡充などなど。Macintoshでは、FinderやDockの操作性の善し悪しが作業効率に大きく影響します。開発作業も例外ではありません。この点に関しては、一般ユーザと同様、手になじんだユーザインターフェースの復活や更なる改良を望みたいと思います。 以上で「15の提言」は終わりです。Apple社は、Macintosh市場でソフトや周辺機器を開発しているで日本のデベロッパーの苦労を再確認すべきでしょう。そして、それを解消するように努めることこそ、Macintosh市場を新しい局面に押し上げる一番の近道ではないでしょうか? 残され島の人々はまだまだ元気です。ハイハーバーを目指してがんばっています。お互い努力を継続すれば残され島も大きく隆起するでしょう!最後はきっと大団円さ(笑) (この項、以上) [小池邦人/オッティモ] | |
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