2002年1月に発売されるMac OS XネイティブなMicrosoft Officeの紹介は、今度は情報管理ソフトのEntourage X for Mac(以下、Entourage X)を紹介してみよう。他のソフトがあまり大きく変化をしていない中、Entourageはそれなりに新しい機能を組み込んでいると言える。例によってのちょっと大仰な起動音は健在ではあるが、起動はスピードアップしたような印象は受ける。なお、筆者のEntourage利用度は、スケジューラが中心である。メモ帳や仕事は一時期使ってはいたが、今はいろいろなユーティリティを併用している(手帳マニア状態〜笑)。メールに関しては、サブとして使わせていただいている。だから、評価の深さにばらつきがある点はお許しいただきたい。
ところで、Entourageを初めて使うとういう場合には問題にならないとは思うが、中にはOffice 2001で使っていたデータをそのまま持ち込みたいという場合もあるだろう。もちろん、Entourage 2001のデータはインポートができるし、ウィザード形式で作業するが、結果的に、自分のホームにあるDocumentsフォルダの「Microsoft ユーザー」フォルダにデータベースが構築される。Entourage 2001はMac OS 9の「書類」フォルダ内にデータベースを構築していた。従って、Entourage Xへ移行したときに2001のデータは以降できるものの、それ以後の利用データはEntourage X側でしか溜め込まれない。従って、Entourage Xに移行した後はEntourage 2001と行ったり来たりはできないと考えるべきだろう。自分の環境が完全にMac OS Xに移行してから、Entourage Xに移行することになる。なお、Documentsフォルダの「Microsoft ユーザー」フォルダには、「Office 2001 ユーザー情報」フォルダと「Office X ユーザー情報」フォルダがある。後者はいいとしても、なぜか前者もあったりする。
Entourageの基本機能はそれほど大きくは変わっていない。インターネットの電子メール、スケジューラ、アドレス帳、メモ、仕事リストといった個人の管理情報を扱うという点は同じだ。Entourage Xでのこれまでの大きな違いはもちろんアイコンなどのデザインが新たになったことがあるが、それに加えて、ウインドウ左上に大きなアイコンで、Entourageの各種機能を切り替えることができるようになった点である。以下はスケジューラを示しているところであるが、左上に大きなアイコンがあるので機能の切り替えはしやすい。また「ビューを隠す」の部分をクリックすると、左側のビュー(各種機能の特定の表示を呼び出す機能)などが隠れて、機能を切り替えるアイコンが縦に小さく並ぶという形態にもできる。
◇スケジューラの月間スケジュール
月間のスケジュールでは、休日やあるいは終日の予定がカプセル型の背景で表示されるなど、より画面内容が見やすくはなっている。また、1日分の表示でもデザインが変更され、仕事一覧がずらりと出たり、あるいは色合いなども手が加えられていて、より使いやすいという印象は受ける。
◇スケジューラの数日分を表示したスケジュール
アラームの機能もスケジュールだけでなく仕事データにも設定できるが、Office 2001では実際の警告はOffice 2001の何かのアプリケーションが稼働していないと行われなかった。それに対して、Office Xではどのアプリケーションも起動していない場合でも、次のようにパレットがポップアップしてきて、アラームを表示する。
◇お知らせはOfficeが起動していなくてもいい
スケジューラに関しては過不足はなくそれなりにこなれた機能である点は従来からは変わりない。ちょっと機能的に豊富なのでシンプルに使いたい場合どのあたりの機能を無視したらいいのかという見きわめをつけるのに時間がかかるかもしれないが、実用的である点は評価できるだろう。ちょっと細かい点であるが、時刻の入力で分の上下のボタンが1分単位であったり全角で数値入力すると怒られたりするあたりを改善するともっと使いやすいと考える。また、会議招集も便利な機能である点は認めるが、Entourageを使っていない人もいることを考えて必要な情報はテキストの文面にも記載するようにすれば、もっと使ってもらえると思う。また、スケジュール情報に関してはAppleScript対応していないのも残念だ。実は、「明日のスケジュール一覧を自分にメールする」というスクリプトを組もうと思ったが、1行も書けないではないか…もっともEntourageでそうした機能をサポートすることを期待してもいいのかもしれない。
電子メールの機能については従来とは大きく変化はない。IMAPサポートの強化などの変更点があり、メールだけならMicrosoft Exchange Severの利用ができるようになった。アイコンやウインドウ自体のデザインが明るいものになったので印象は大きく違って見えるが、機能的には従来とほぼ同じである。Entourage 2001の段階で、認証SMTPやメーリングリストマネージャなど多種多様な機能があったことから、すでに機能的にはクリアしている点はある。Entourage Xでは、メール送信のときに宛先を指定するパネルで同時にアドレス帳の一覧が出るなどの改良が行なわれている。また、パスワードについてはキーチェーンに保存するようになっているため、Entourageを起動しなくても安全にアカウント情報は保存されているということにもつながる。
◇電子メールの送受信機能は前のバージョンでほぼ完成している (この項、続く) |