タイトル | 【MacWIRE配信予定】MacOS Xで使えるもう1つのモバイルPHSアダプタ:FlashGate Value | カテゴリー | ネットワーク, インターネット全般 |
作成日 | 2002/1/5 15:19:48 | 作成者 | 新居雅行 |
MDOnlineでは,2001年12月26日の記事で,MacOSXに対応したPHSカードアダプタであるSlipperXの概要と導入について紹介した.SlipperXはMacOSXに正式対応した最初のアダプタであるが,PCMCIA TYPE2のスロットしかなく,サイズが大きいことからモバイル用途としての購入に躊躇する人もいるだろう.また,P-in M@STERやAir H" Card Petitなどのコンパクトフラッシュサイズの通信カードを持っている人にとってはわざわざPCMCIAアダプタを介して,SlipperXを使わなければいけないのは不便である. こうした状況の中,ハギワラシスコムから発売されたコンパクトフラッシュサイズの通信カード用のアダプタ「FlashGate Value」が発売された.このアダプタは,Mac OS Xには正式対応していないが(Webページでは確認中となっている),筆者の環境でMac OS X上で使用できることが確認できた.そこで,FlashGate Valueの概要と利用の実際について紹介する.なお,FlashGate Valueは,本稿執筆時点でMac OS Xでは動作保証がされていない.本稿の内容に基づいて行った結果についての責任はOwn Riskでお願いしたい. ――――製品の概要 FlashGate Valueは,USB接続のコンパクトフラッシュサイズのPHSカード,およびコンパクトフラッシュメモリカードのアダプタである.正式には,Mac OS 8.6から9.2.2までに対応している.また,カタログには,USB Mass Strage Class 1.0とUSB Communication Class 1.1準拠していることが記載されている.後者はCDC(Comunication Device Class)のことである.この両者に準拠していることにより,コンパクトフラッシュカードやマイクロドライブの読み書きや,CF型の通信カードを使った通信が可能になる. 対応している通信カードは,NTTドコモで利用できるP-in Comp@ct P-in m@ster,DDIポケットで利用できるCFE-01、CFE-01/TD,CFE-02 ,RH2000である.PCMCIAカードタイプは使えない.この場合は,SlipperXを使うしかない.もちろん,USBケーブルを通じて給電されるため,FlashGate Valueを使う場合には電源を別に用意する必要はない. 気になる大きさだが,写真を見ていただくとわかりやすい.横のサイズはPCMCIAカードを横にちょっと広げたぐらい,厚さはPCMCIAカード4枚分ぐらいである.それに1mのUSBケーブルがついている.もちろんPHSとの接続ケーブルに比べるとはるかに大きいわけだが,パソコン用バッグの小物を入れるポケットには十分入る大きさであり,なんとかモバイル用途に堪える大きさである. なお,価格はオープン価格となっているが,筆者が購入した家電量販店では,5,980円だった. ――――インストールと通信の実際 今回動作を確認したのは以下の環境である. マシン: 初代iBook(メモリ160MB ハードディスク3GB) PowerMac G4 Cube(メモリ640MB ハードディスク60GB) OS: Mac OS X 10.1.2 PHSカード:TDK RH2000 セットアップの方法と通信を行うための実際の方法は,SlipperXの場合と同様である.詳細はSlipperXの記事を見ていただくとして,流れだけを簡単に説明する.セットアップは,まず使用するPHSカードのCCLファイルをインストールする.大抵はPHSカードに付属している.CCLファイルは/Library/Modem Scripts/にコピーする. 続いて,FlashGate ValueにPHSカードを挿入して,USBケーブルをMacのUSBポートに接続する.そしてシステム環境設定から「ネットワーク」をクリックすると,新たなポートとして認識される.一般にモバイル用途で使う場合は,自宅あるいは仕事場と,外出先では接続形態が違うので,外出用に新たな「場所」を設定しておくことをお勧めする. まず,「モデム」タブで利用するCCLファイルを選ぶ.ここでは,接続するPHSカードのCCLファイルを選択する.同時に「メニューバーにモデムステータスを表示する」をチェックすると,接続,切断などをメニューバーから行えるようになる.続いて「PPP」タブで,電話番号,ログイン名,パスワードなどを設定する.最後に,「TCP/IP」タブでネットワーク接続の設定を行う.通常は「PPPを使用」を設定すれば良いが,詳細は接続先のプロバイダのマニュアルを参照すると良いだろう. 接続するには,まずアップルメニューから先程登録した場所を選択する.続いて,Internet Connectか,メニューバーのモデムのアイコンから「接続」を選ぶ.接続の切断も,Internet Connectか,メニューバーから行う. 筆者はAir H"のつなぎ放題コース,ネット25を契約しておらず,通常の64Kbps接続のPIAFS2.1仕様の接続のみを試しただけである.そのため,つなぎ放題コースが正しく動作するかは検証できていない.ただし,通常の64Kbps接続では,Mac OS 9で接続した時と変わらない性能を得ることができた. ――――まとめ FOMAの普及がもう少し先である現状において,モバイル環境での通信手段としてはPHSを使うのがベストである.そういった中,Mac OS Xにおいてはドライバ開発が促進されなかったことや市場性が読み切れないことから,Mac OS Xに対応したPHS接続用ケーブル/アダプタの発売が遅れていた.昨年12月26日の記事のSlipper XはPCMCIAカードを経由しサイズも大きいという制限はあるものの,正式に動作保証された環境として登場したことでの意味は大きかった. MacでPHSを利用した通信を行う場合,大きく分けて2通りの方法がある.1つが,PHSの音声端末とMacを接続する方法で,もう1つが単独のPHSカードを使う方法である.前者には,USBポートと音声端末をケーブルで接続する方法と,PCMCIAカードとPHSの音声端末を接続する方法がある.これらのいずれの方法も,Mac OS 9では使用可能であった. SlipperXでは,PCMCIAカードと音声端末を接続する方法と,緊急避難的であるがアダプタを通すことでPHSカードを使う方法が利用できるようになった.また,FlashGate Valueでは,コンパクトフラッシュサイズのPHSカードをより小さなアダプタで使えるようになった.最初に書いたようにSlipperXはそのサイズが大きいので,モバイル用途としては使いづらい.そのため,CFサイズのPHSカードを使う場合にはFlashGate Valueを,それ以外の場合にはSlipperXを利用するのが現状の選択肢となる. 一方,Mac OS Xでサポートされていない方法は,USBポートとPHSの音声端末を接続する方法とPHSカードをPCMCIAスロットに装着する方法である.実はこの2つの方法は,Mac OS 9で一般的に使われている方法である.これらの方法が実現されていない現状が早く解消される必要がある.USBとPHSの音声端末の接続は,ケーブルがCDC対応していればよいと考えられるため,CDC対応のケーブルが早く開発されることが望まれる.携帯電話(PDC)用のCDC対応のケーブルはすでにサン電子から発売されているので,PHS音声端末によるデータ通信の需要見込みが立つかどうかが課題だろう.もう1つのPCMCIAのデータ通信対応については,Appleの対応に掛かっているというのが現状である.現在発売されているノート型にはモデムとEtherentポートが標準装備されているので,特に米国でのPCMCIAのデータ対応の優先順位は低いのかもしれないが,日本のユーザにとっては非常に優先順位が高いところなので,是非促進して欲しいところだ.とにもかくにも,モバイル通信の際だけMac OS 9にしなければいけないということがなくなり,Mac OS Xを使うための環境が整いつつあるのは確かだ. [松尾真一郎, MDOnline] | |
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