タイトル半球形ボディーから伸びたアームに液晶ディスプレイの新型iMacとデジカメ対応ソフトのiPhotoが公開カテゴリーデジタルカメラ, iMac, Macintosh本体
作成日2002/1/8 4:43:39作成者新居雅行
2002年最初のMacworld Conference & Expoで開催され、AppleのCEOであるスティーブジョブズ氏の基調講演が開催された。液晶ディスプレイを利用したユニークなデザインの新型iMacが登場したことと、デジタルカメラの利用環境をMac上で提供するアプリケーションソフトの「iPhoto」のリリースが大きなニュースだ。
15インチの液晶ディスプレイ(解像度は1024×768)を搭載したiMacは、半球形のボディとそこからアームが伸びてディスプレイが取り付けられているという非常にユニークなデザインだ。基調講演でも、液晶ディスプレイがデザインに変革をもたらしたと紹介したが、単にCRTタイプのデザインを薄型にしただけでなく、まったく新しいデザインを持ち込んだあたりにAppleらしさがあると言えるだろう。しかも、全機種がPowerPC G4を搭載しており、最上位機種はDVD書き込みも可能なSuperDrive搭載となっている。
全部で3モデルがラインナップされるが、クロックが700MHzでメモリが128MB、HDDが40GBでCD-RWドライブタイプは$1299で3月に発売される。そして、256MBのメモリにComboドライブタイプは$1499で2月に発売だ。最上位機種の800MHz、128MB、60GBのハードディスク、SuperDriveを搭載したマシンは$1799で1月に発売される。ビデオ回路にはnVidia GeForce2 MXを採用して高速化を図っている。3端子のUSB、2端子のFireWire端子、外部VGA端子などが装備されており、マウスはやや白っぽいオプティカルマウスである。AirMacカードはオプションであるが装着可能となっている。
既存のiMacも、Indigo、Snow、Graphiteのモデルが$799〜$999の価格で販売は続ける模様である。
なお、iBookは既存のラインに加えて、従来の12インチよりも少し大きい14インチ液晶を搭載したタイプのモデルが追加された。ディスプレイの解像度は1024×768と変わりない。厚さは同じであるが重量が2.7kgと500gほどアップしている。

◇iMac
 http://www.apple.com/imac/

◇iBook
 http://www.apple.com/ibook/

デジタルカメラ向けのデジタルハブ対応ソフトウエアとして「iPhoto」を公開する。Mac OS Xで稼働し、フリーで配付され、ダウンロードが可能となっている(Mac OS 9では稼働しない)。日本語での利用可能なバージョンはすでにダウンロードできるようになっている。デジカメのデータの取込みや編集、さらには出力をいろいろなアプリケーションを使っていたのを、iPhotoだけですべての作業をできるようにする。たくさんの画像を記録してサムネールで表示しても、軽快に操作できることなどを基調講演ではデモした。また、写真の一部分を残してカットするといったようなよくある編集作業はできるが、6対4の比率を保ったまま範囲選択できるといった手軽だがテレビ画面にしっかりフィットさせることが可能になるような工夫も込められている。
iToolsを利用すると、収集した写真をWebで公開することもできる。また、レイアウトを施した写真アルバムの印刷サービスもあり、かなり本格的っぽい感じの印刷アルバムが作成できる。また、スライドショーの機能など、デジタルカメラを使っていて必要と感じるようなさまざまな機能が1つにまとまったもとの言えるだろう。iTunesはMacユーザの間ではスタンダードとなったが、同じように、iPhotoもスタンダードとなりそうだ。

◇iPhoto
 http://www.apple.com/iphoto/

基調講演ではその他は既存の製品の紹介となっていたが、Adobe Systemsからのプレゼンテーションでは、Mac OS Xで稼働するPhotoshopが紹介された。Mac OS Xで稼働するということ以上にAppleScript対応というところも注目できる。すでに発売されているIllustratorと連動してグラフィックスを完成させるデモを見せるなど、よりソリューション構築のレベルを高めている。

新型iMacはおもしろいデザインに加えて、G4を搭載するなど従来機種に比べて一気に高性能化している。システムバスは100MHzという点は若干気になるところであるが、いずれにしても、Power Mac G4とパフォーマンス的には肩を並べたと言っていいだろう。しかも、SuperDriveを採用するなど、Power Mac G4との大きな違いはPCIカードによる拡張性ということとDual CPUマシンということしかなくなってしまっている。もっとも、Cinema Displayを使うにはPower Mac G4ということになるところだろう。
今回の基調講演での発表では、iMacが大きくモデルチェンジした以外には、iBookのサイズの大きい液晶タイプが出ただけである。いずれにしても、iBookも含めて、PowerBook G4、Power Mac G4は既存のラインのままである。iMacとPower Mac G4との差異が少なくなった上に、iBook/PowerBookといったノート系の機種が性能的に見てもかすんで見えてしまう。そうなると、今後半年くらいの間にiMac以外の各シリーズが高機能化を行なうことは十分に考えられる。もっとも既存のiMacもAppleStoreのリストには残っているが、Macユーザの購買パターンを考えると、新型iMacがメインと見ていいだろう。旧タイプは大量導入やあるいは少しでも価格が安くないと買わないような層に向けての製品系列だと考えられる。
今後のタイミングやスペックについてはあえて予想は避けるが、もう1つ別の可能性も考えられなくもない。4つに分けていたハードウエア製品のセグメントのバランスが変わってくるのではないだろうか。従来のiMacは機能を制限しながらも一般ユーザが使える範囲に絞ったエントリー機という位置付けはあった。しかしながら、市場環境が変化し、そうした「エントリーユーザ」といった層は薄くなっていると考えると、新型iMacはより広いレンジのユーザに受け入れられることを狙ったデスクトップ機である。そうなると、Power Mac系列はよりハイエンドに向かうことになり、かなり高機能だけどかなり高価といった系列の上方シフトがあるのかもしれない。
一方、ノート系は機種を絞ってくることも予想できる。新型iMacの登場により、コンパクトなデスクトップ機としてノート型を買うユーザを減らすのではないかと考えられる。現在の2系列が1系列になるのかどうかは不明だが、今のようにiBookはG3、PowerBookはG4といった明確なものではなく、G4で一本化されてプロ向けハイエンド機とエントリー向けの2機種のようになるのではないかと考えられる。異なるデザインの2機種なのか、同一デザインの2機種なのかは分からないが、PDAなどの携帯デバイスの機能がアップしている現状を考えれば、ノート型という形態も再考が必要になるのかもしれない。いずれにしても、今回の新型iMacは量産機種を新型iMac一本に絞るという狙いが、高性能化に秘められているということではないだろうか。
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