2002年1月8日、東京国際フォーラムにおいて、アップルコンピュータは記者発表を行った。もちろん、日本時間の未明に行われたMacworld Conference & ExpoでのスティーブジョブズCEOによる基調講演を受けての、発表内容に関する説明会である。その内容をお届けしよう。 まずは代表取締役の原田永幸氏よりの話から始まった。2001年には、iTunesの搭載やフラワーパワーなどのiMac、そして新しいiBookの発売、Power Mac G4にはSuperDrive搭載が行われ、PowerBook G4は新しいチタンの軽量ボディタイプを発表した。さらに、Mac OS XはVer.10.0、10.1とリリースして成功を収め、Final Cut Proなどアプリケーションも新しいバージョンが出された。デジタルハブソリューションの元年となり、販売政策としてApple Solution Expertsを構築してチャネルインフラの整備を行った。さらに直販部隊も作って富山県福光町などへの導入実績を作ってきた。ビックピーカンやヨドバシカメラの梅田店などの新しい販売拠点へのサポートも展開している。一方、売り上げは企業マーケットの低迷によりPower Macに影響はあったが、ノートブック製品は成功している。一方、3年間売れ続けているiMacも前年比で見ると落ち込みが見られるようになった。 2002年はMac OS Xをコアにしたデジタルハブソリューションを発展させる年だとした。新規ユーザの獲得を、新型iMacを軸に展開する。さらに、パワーユーザ向けの買い替えや買い増しの促進を図る。さらに、WinTelユーザをターゲットとして、Windowsプラットフォームのユーザに対してMacintoshを導入させるように働きかける。電子メールやOfficeがMacで利用できることを知らないユーザが多いとのことで、食い込む余地があると考えている。一方、プロマーケットの新規開拓をセグメントを定義して行う。Macworld Expo Tokyo 2002が3月に行われるが、東京ビッグサイトに場所を移して行われる。ブロードバンド対応として、単にEthernet対応ということだけではなく、AirMacやMac OS X、ギガビットなどの機能を統合してソリューションとして提案する。Mac OS X対応のアプリケーションも充実しており、2500の対応アプリケーションが1月中にも出そろうことが紹介された。 従来はMac OS 9.2が最初に起動されるが、本日より、Mac OS Xが最初に起動されるようになる。OSは両方搭載される。さらに、14.1インチのiBookが新たに発売される。デジタルカメラを利用するためのアプリケーションであるiPhotoも発表する。そして、第2世代のiMacとして液晶ディスプレイを搭載したモデルが登場した。大きな特徴はSuperDrive搭載である。日本でのデスクトップ機への要望は省スペースであり、新型iMacはそうしたニーズに応えることができるものである。
続いて、マーケティング本部長の大宮哲夫氏より新商品の説明が行われた。デジタルデバイスの特徴としては、パーソナルコンピュータといっしょに使うことが想定されている点であるとして、デバイスは大量に出荷されている。デジタルカメラはかなりの数が出荷されているのにも関わらず、有効なソリューションがなかった。そこにiPhotoというアプリケーションを投入する。デジタルカメラの市場は年間50%の成長をしているが、初期の頃と違って撮影結果をプリンタで印刷する場合、銀塩写真のプリントなみのクオリティが実現している。これまでのようなデジタルカメラだけの使い方は閉じた世界であると言える。たとえば、デジタルカメラだけでは写真にコメントを付けることもできない。また、プリントされた写真だと整理するのが大変なので2度と見られない写真がたまっているし、内容は記憶に頼る。こうした状況に変化を与えるのがiPhotoである。 続いてiPhotoの製品担当している梶原健司氏より製品のデモが行われた。iPhotoは写真を簡単に取り込んで整理、Webなどで他の人と共有することができるソフトだと概要を説明した。iPhotoを起動した状態で、実際にデジタルカメラをUSBケーブルで接続する。すると自動的に認識をするので、「読み込み」ボタンをクリックするとそれだけで取込みができる。また、ハードディスクに保存してある写真の取込みもできる。「整理」ボタンをクリックして整理ができる。スライドを動かすことで、サムネールからフルサイズまで任意のサイズでの一覧表示ができる。そしてタイトルを入力したり、キーワードを設定することもできる。さらにフィルムロールとして、取り込んだときのひとまとまりとしてソートするとういこともできる。 iTunesのプレイリストのようなアルバムという機能で、独自のフォトアルバムを作るということができる。そこに写真をドラッグ&ドロップで登録できる。さらに「編集」ボタンをクリックし、ドラッグしてトリミングするといったこともできる。あるいは白黒や回転もできる。さらに、オリジナルに戻すという機能もある。さらに縦横比をさまざまに選択して選択範囲の縦横比を一定にした選択ができる。たとえば、iDVD2向けの静止画像を作る場合に適している。さらに「ブック」という機能を使って、デザインされたレイアウトでの表示が可能となっており、コメントを付けて効果的に写真を表示する機能も用意されている。アルバムを作れば自動的にブックを作ることができる。ページのデザインとしてあらかじめ用意されているテンプレートを元に自動的にブックが作られる。さらに「共有」ボタンの機能は写真を他の人に見てもらう機能がある。印刷ではプリクラ風やあるいはグリーティングカード風にレイアウトをある程度指定してできる。さらに写真のスライドショーもでき、BGM付きで全画面を使ったスライド表示ができる。また、メールで送付するためにサイズを小さくしたり、Webページを構築することもできる。Webページは3クリックでできてしまう。iToolsに接続し、フレームを選んで、発行するとそれだけでWebで公開ができる。iPhotoは無料でダウンロードができる。Mac OS X 10.1.2対応となっている。
大宮氏からの話に戻り、総括が行われた。Mac OS Xがデジタルハブの中核となり、Quartzを使っているから画像サイズをリアルタイムでダイナミックに変更できる。Mac OS Xでは音楽はiTunes、写真はiPhotoを使うという点で使い勝手がいいとした。何でも同じブラウザで作業をするよりもより適したソリューションになると力説した。
続いて、iBook担当の福島哲氏からの新iBookの解説が行われた。新しいiBookは、14インチのモデルが登場し、Mac OS Xがデフォルトでのブートとなり、iPhotoを十分に使える環境であるという点が新しいところだ。Mac OS Xでは自動ネットワークとして複数のネットワークがアクティブになり、最良のネットワークを自動的に使える。その他、iBookの特徴についての説明がなされたが、バッテリ駆動時間の長さや、バックパックで携帯するのに耐えられる頑丈さなどを説明した。新しいiBookは1月12日より発売される。
続いて、iMac担当の柳原知明氏からのiMacの説明に移った。新しいデザインにはさまざまなニューアイデアが詰まっている。画面の周辺にマージンがあるのは、ディスプレイを動かすときに、表示面に手が振れないようにするための配慮である。TFT液晶はRGBを正確に反映するのでCRTやあるいはアナログを経由するディスプレイとの画質の違いを強調した。さらに指一本でディスプレの位置を力を入れずに自在に操作できる。本体には電源も含めてすべて入っている。そして、SuperDrive搭載が大きな特徴である。1年前に新しく登場したものであるが、当時は50万円したシステムでプロ向けであったマシンでないと使えなかった。しかしながら、コンシューマモデルでも利用できるようになった。コネクタとしては、Apple Pro Speaker対応のミニジャックがある。また、USBは3ポート用意されている。また、ミニVGAポートでミラーリングでの表示ができるが、変換アダプタは別売である。なお、リセットボタンやプログラマボタンはなくなり、電源ボタンに集約された。たとえば、リセットは電源ボタンを5秒以上押すといった操作となっている。新たにファンはついたが、静かなファンである。1m離れると25dbくらいとなる。底面はステンレス製のアクセスカバーとなっており、ネジをはずせばAirMacとメモリのスロットがある。ネジはアクセスカバーについたままになるので、なくしてしまうこともない。Apple Pro Mouse、Apple Pro Keyboardは白いデザインとなっている。そして、PowerPC G4を搭載し、Power Mac並の700/800MHzのクロックとなっている。DVDのエンコードはPentium 4機との比較で倍近い早いといったベンチマークテスト結果を紹介した。ビデオチップにはGeForce 2 MXを搭載しており高速なグラフィックス処理が可能となっている。iMovieが高速に動作することや、iDVDでディスクを作製することなどを紹介した。そして価格や発売時期などが紹介された。