これまで説明してきたMOSAEditorというアプリケーションは、ウインドウにNSTextViewを配しただけのシンプルなテキストエディタである。もちろん、いろいろなニーズはあると思うが、ここでは問題を簡単にするために、環境設定では、新規にウインドウを作成したときのウインドウの位置と大きさを環境設定で指定できるというだけにしたい。なお、NSDocumentControllerの機能によって、ウインドウの位置については必ずしも環境設定通りにはならないが、その点は目をつむっていだだきたい。
MOSAEditorのプロジェクトでは、2つのnibファイルを使っている。1つはMainMenu.nibであって、メニューがとりあえずは定義されている。起動時にはこのnibファイルがロードされるので、そしてもう一つはMyDocument.nibであり、文書ファイルごとにロードされるものである。ここで、環境設定をどう管理するかはいくつかアイデアはあるだろう。たとえば、独自にnibファイルを用意してもいいのだが、簡単な方法として、MainMenu.nibにユーザインタフェースの定義を行っておく。つまり、環境設定のインスタンスをMainMenu.nibで定義しておけば、アプリケーションに1つだけのインスタンスが登場することになる。必要に応じて、このウインドウを表示したり、あるいは消したりといったことをすればいいということになる。ユーザインタフェースのウインドウはNSWindowsで作るのであるが、ここでは、環境設定のウインドウをNSWindowsを継承して定義することにする。また、環境設定値はstaticなメンバを使って記録しておき、他のオブジェクトから比較的容易に参照できるという方法もやってみた。
まず、MainMenu.nibを開く。そのインスタンスとしてWindowを追加する。ツールパレットではCocoa-Windowを選択して、Windowとかかれた大きなアイコンを、Instanceのタブが選択されたMainMenu.nibの文書ウインドウにドラッグ&ドロップして追加する。
◇MainMenu.nibにウインドウを追加する
作成したWindowsのアイコンが選択されている状態か、あるいはウインドウを開いおく。そして、ToolsメニューのShow Info（Command+shift+I）選択してInfoパレットを表示してAttributesの設定を行う。とりあえずウインドウのタイトルはPreferencesにしておく。そして、起動したときにこのウインドウが開かないようにVisible at launch timeのチェックボックスははずしておく。
◇ウインドウのタイトルと起動時に開かない設定を行う
ウインドウの中には最終的には次のように4つのNSTextFieldと2つのボタンが存在するようなものを作った。テキストフィールドを囲むボックスなどは、いちおう見栄えの問題であるが、プログラムとリンクするのはテキストフィールドとボタンだけである。
◇環境設定ウインドウのユーザインタフェースを作成した
ちなみに囲っているボックスは、ツールバーの左から6つ目のアイコンを選択して、Cocoa-Containerのパレットにして、そこにある「Box」と書かれたものをドラッグ&ドロップしてくるのが良い。ちなみに、最初から分かっていればまずはBoxを持ってくるところだが、後から持ってきた場合は、LayoutメニューのSend to backを選択して重なりを背後にしたほうが後の作業はしやすいだろう。
Leftなどの固定文字については、Attributesで右揃えにするなどしている。いずれにしても、ガイド表示があるので、きれいに並べるのはほんとにラクチンだ。
（この項、続く）