2002年2月5日、ファイルメーカーは記者会見を行い、i-Mode版のファイルメーカーの発表を行った。最初に初公開の2002年版テレビコマーシャルを披露した。
最初はFileMaker, Inc.のCEOのDominique Goupil氏からのファイルメーカーの方向性やビジョンの説明があった。プログラマではない人でもデータベースを利用できるようにしたことで、大きなユーザの広がりを見せていることを、顧客例を示して説明した。1万人以上がファイルメーカーを使っている企業もあり、大学も使っているところもある。37四半期連続で黒字となっている実績は記録的なものだ。700万以上の顧客が世界にいるが、利用形態は、人の管理、製品などのものの管理、プロセスの管理といったことに使われている。各社の具体的な利用形態を、それぞれ簡単に列挙して説明した。財務的にも健全で将来に渡って存続できる状態だと説明した。 最近の変化として、モバイルの状況が説明された。モバイルの利用は広がっているが、形態端末の性能も高くなっている。ビジネスのペースはより早くなってきていることにも対応しなければならい。そして、FileMaker Mobile for i-modeを2002年3月中旬に製品投入する。また、FileMaker Mobile 2 for Palm OSも5月にリリースすることも紹介した。i-mode対応の利用は、まず大量のユーザがいることで、そうしたユーザがビジネスユースへのニーズがでてきた。また、日本のワイアレス市場は世界をリードしており、ファイルメーカー社にとっても4分の1の売上がある日本市場を重視している。製品の目標はどこにいてもデータにアクセスできるということである。そこでパソコンに加えて、PDAや携帯電話にも対応している。
続いてファイルメーカー株式会社(以下同)の代表取締役である宮本高誠氏よりの話となった。まず、新製品として、「ファイルメーカーMobile for i-mode」として89,000円で2002年3月中旬より発売する。Mac OS XなどのPC上で動作し、データベースをiモードで活用できる。iモードからデータの参照や修正ができる。また、レイアウトの追加などで簡単にファイルメーカーのデータベースにiモードサイトを構築することができる。そして、オフィスワークとモバイルワークのシームレスな統合ができるようになる。さらに、グループウエアや営業支援ツールと言ったビジネスツールや導入ガイドが用意されているため、すぐに業務利用ができるようになる。また、i-mode対応版は「サーバ」であるが、セキュリティ機能を備え、アクセスユーザ数に応じたライセンスにはなっていない。したがって、ユーザ数が多ければ多いほど、1人あたりの費用が軽減されることが示された。ファイルメーカーMobile for i-modeの応用例として、グループウエアやモバイル支援ツールなどを示した。そして、導入を決定している神戸女學院大学での面接予約システムの例などを示した。今後のビジネス戦略として、まず製品自体の差別化として、1つのデータベースをあらゆるIT情報ツールで使えることなどをアピールする。そして、「マルチエントリーポイント」として、マルチプラットフォーム対応によってどんな端末からも使いはじめることができる点をアピールする。そして、ソリューション強化として、i-mode版のようなすぐに使えるツールの提供などを行う。さらに、サポート強化として、通常のサポートに加えて、特別サポートとして導入から稼働開始までの一括サポートを1件あたり10,000円でも受け付けるようにする。そして、広告等を使ってのブランド強化を図る。今回のモバイル対応製品を足掛かりにして、日本発のビジネススタイルの世界への広がりを期待していると締めくくった。
続いて、プロダクトマネージャーの蜂屋祐治氏からの「ファイルメーカーMobile for i-mode」の製品説明が行われた。これは、データベースを、i-modeで参照できるように変換できるサーバ製品である。iモード用のレイアウトを作るだけで、HTML等を作らなくても、iモード電話からデータベースの参照や書き換えができるようになる。また、Webコンパニオンのようなユーザ制限もない。実際のデモが行われ、iモード携帯電話からファイルメーカー社にあるサーバにアクセスし、公開されているデータベース一覧が表示された。電話帳から検索や一覧等ができるようになっているところが示されたが、自動的にそうしたページが作られる。一覧表示ではソートなどにも対応している。詳細表示では、電話やメールアドレスの部分からすぐに電話をかけることができたり、あるいは個別のデータの修正にも対応している。検索では前方一致で頭文字だけの入力で検索できることが示された。新規にレコードを作成することもできる。実際に稼働しているのは携帯電話の中ではなく、サーバとして稼働しているファイルメーカーの方にデータがある。 続いて、iモードサイト作成のデモに移った。従来は、HTMLやCGI等をコーディングして作成しなければならなかった。まず、データベースを作るところからの説明が行われたが、筆まめに入れたデータをCSV形式で書き出し、それを読み取る方法が説明された。既存のレイアウトを複製して名前を「CHTML」で始まる名前にする。そこで、表示したいフィールドだけを残しておき、その他のフィールドのオブジェクトを削除する。そして、全部のフィールドのあるCHTMLで始まるレイアウトも作っておく。そして、Webコンパニオンを稼働させれば、それだけでOKである。いずれにしても、規定の名前のレイアウトを作るというのが、いちばん手軽なiモードサイトの作り方となるようだ。また、データベースを使ったチャットの例も示し、iモードからの入力で、レコードが追加される様子が示された。なお、稼働はiモードのエミュレータで行われた。また、ページに表示されるロゴのカスタマイズも、画像ファイルを用意するだけで簡単にできることが示された。また、Webベースの管理者向けツールもあり、別のWebサーバとの組み合わせで使う場合などの作業も容易にできるようになっている。また、データベースにパスワードをかけて動作するところもデモされた。 (この項、続く) |