タイトルアップル主催のMac OS XのJavaに関するセミナーが開催(1)カテゴリーJava
作成日2002/3/7 19:5:59作成者新居雅行
2002年3月7日、アップルコンピュータにおいて、無料でのセミナー「Java on Mac OS X」と題したセミナーが開催された。
最初にアップルコンピュータのプロダクトマーケティングの鷲滝薫氏より「Java on Mac OS X & WebObjects 5.1」と題して講演が開始された。Javaを選ぶ理由として、Gartnerの調査では81%がクロスプラットフォームを選んでいる。開発言語としてはVisual Basicが多いが、Javaプログラマ数は非常に増えており、今年後半くらいにC++プログラマと逆転するとされている。Mac OS XのJavaの優位性として、最初からJava VMが組み込まれた唯一の商用OSであり、先進のグラフィックス機能、先進の操作性、パフォーマンス、開発面での親和性が挙げられる。SwingベースのアプリケーションはそのままでAquaのルック&フィールになり、Java 2DはQuartzを使って処理を行う。パフォーマンスを高めるために、Swingライブラリを共通に持つShared Swingを採用し、さらにハードウエアでの表示速度を向上させるAccelerated Swingに対応し、対称マルチプロセッシングに対応している。Accelerated Swingは現在はデフォルトではオフになっているが、コーディングの段階でオンにすることができる。Sharing Swingを使うことで起動時間が3分の2くらいに短くなる。また、Accelerated Swingではベンチマークテストでの処理時間は半分以下になる。マルチCPU対応によりJavaのスレッドを複数のCPUに割り当てて処理させることができるが、カーネルレベルでのマルチプロセッシング対応がなされている。.NETとJavaを比較し、歴史のあることや開発者数の数などの優位性を示した。また、WindowsのJavaに比べてMac OS XのJavaはOSとの親和性の高さなどの独自のテクノロジーを組み込んでいる。
Appleが提供している開発ツールは、Project BuilderとWebObjects 5.1である。JavaプラットフォームであるStandardにはMac OS Xで対応し、EnterpriseはWebObjects、JBuilder、Tomcatによって対応し、Microに対してはi-JADEによって対応されている。今後のロードマップとしては、安定度が上がったUpdateが最近あったが、WWDC 2002ではJava 1.4のプレビュー版、7月に1.3.1の最終アップデートを行いOracleのサポートやハードウエアアクセラレーションを標準にする。そして、秋にJDK 1.4のファイナルを出す。
続いてWebObjects 5.1ではJava2EEへの対応として、より柔軟な運用環境での利用が可能となった。WebObjectsのアドバンテージは一体化した開発環境であり、高度なフレームワークが組み込まれていて、簡単にWebアプリケーションを作成できる。WebObjectsではまずHTMLベースのアプリケーションだけでなく、Javaクライアントを使ったものも作成できる。開発においては、ユーザインタフェースとロジック、データベースを分離して作業が行なえる。運用環境としてはJava2 EEに対応しており、アプリケーションサーバについても柔軟に構成できる。NTTを始め各社で使われており、Appleでも様々な業務に使われている。
続いてデモが野村氏より行われた。Project Builderを使った基本的な使い方や、EOModelerによるモデルの作成、EJB関連のコンポーネント、Webページの構築などが示された。映画のデータベースから検索して取り出し一覧表示するといったWebアプリケーションを実際に作るところがデモされた。
WebObjectsの販売情報や、WebObjectsのトライアル版についての説明があった。先日のトライアル版配付はすぐになくなったので、3月下旬に再度配付を予定している。また、Macworld Expoでの関連情報が紹介された。

続いて、ボーランド株式会社のツール担当の岩本氏よりのJBuilder 6についての製品紹介が行われた。ボーランドの歴史についての説明があり、古くから開発ツールを作ってきているが、95年からはビジュアル開発環境を提供し、それをJavaに適用した。ボーランドはJavaコミュニティにエグゼクティブコミッティとして参加しており、JavaBeansの仕様策定などに協力している。インターネットの普及に対応してJavaが広まっているが、Javaは言語としてすぐれている面もあって受け入れられている。現在はWebアプリケーション構築にはJavaが広く使われている。Java2 EEでのServletやJSP、EJB、Java Web Startといった強力なフレームワークを提供している。Webアプリケーションの一般的な形式を示し、JavaではView ObjectにServletやJSPを使い、ビジネスオブジェクトにEJBやORB Objectを使って構築される。JBuilderはJavaの統合開発環境で、プログラム作成を支援するさまざまな機能を提供する。ソースコード生成を支援するが、作られるコードはPure Javaとなっている。また、JBuilder自体もJavaで作成されている。JBuilderはJDK 1.3.1ベースで動いているが、生成するコードではJDKスイッチング機能で任意のバージョンに対応している。また、ビジュアル開発とコードを連動する機能が利用できる。
JBuilderのWebアプリケーション開発機能についての解説に移った。ServletやJSPのひな形を作成するウィザードがあり、基本部分は簡単に作成できる。さらに、ビルトインWebサーバにより開発環境内で実行し、デバッグもできるようになっている。実行すると、JBuilderがブラウザモードになって、その場でServletやJSPが実行できる。
実際にMac OS Xで実行させたJBuilderを使ったデモに移った。新規にプロジェクトを作成し、さらにウィザードでアプリケーションを作成すると、自動的にソースコードが生成される。そして、ウインドウにボタンやテキストエリアを配置するといったビジュアル開発の様子を示し、その結果がソースコードとして生成されるところが紹介された。ソースコード側を変更すれば、ビジュアルツール側に反映されるなど、どちらで開発作業をしても可能なことが示された。また、DBExpressによりデータベースとの連動が簡単にできるような機能も紹介された。また、JavaBeansについても、何も中身がないものはビジュアル開発ツールが使えない。だが、BeansExpressによってプロパティを設定すれば、Getter/Setterのメソッドが自動的に作成されるといった機能も使える。シリアライズやイベント実行メソッドの自動作成も可能となっている。
Webアプリケーションも最初にウィザードで構築し、それに対してサーブレットやJSPをその中にウィザードで追加する形で作成する。HTMLを戻すサーブレットだけでなく、XMLを戻すものも定義できる。サーブレット向けには、HTMLを自動的に生成されるようなパーツがJBuilderに用意されているので、データベースの内容をTABLEタグで得られるような機能が使える。サーブレットの実行を実際にJBuilderで行い、JBuilderのブラウザの機能や実行の様子などが示された。また、サーブレットをデバッグ実行するところも説明された。以上がデモであった。
そして、EJB 2.0対応の開発機能や、UMLに対応している。既存のソースコードを解析してUML図を作成することもできる。さらに、リファクタリング機能として、クラス名などの名前変更をサポートしたり、パッケージ名を変更したときの作業などをサポートする。さらにユニットテストといてテストの自動化の機能もある。Java開発の注意点として、強力な機能でも間違った使い方をしても効果がないということを指摘し、サポート等でフォローをしている。
なお、英語版のJBuilder 6 Personal版がフリーで入手できるが、これは機能限定版となっている。
‥‥‥‥‥‥‥この項、続く‥‥‥‥‥‥‥
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