昨年の暮れに予想していたことがもうくつがえされてしまったかも知れません。方向性の見えないMac OS Xに対して、Mac OS 9への支持が強いのではないかと思っていましたが、スティーブジョブズ氏の基調講演では、Mac OS Xの方向性をかなり明確にしました。これまで、システム的に先進的なことばかり強調されたため、利用者レベルでのメリットが見えにくかったのですが、システム機能の強化からユーザインタフェースをかなり強力に進化させた点は、大いに期待できるところです。ただ、G3以降の機種が対応ということで、やはり旧機種はMac OS 9で使い続けることになるのでしょう。その意味では、2001年1月にアップルの製品系列が全部Mac OS Xになっても、世間で起動しているMacでは、まだまだMac OS 8や9が使われている可能性は高いと言えるかと思います。Mac OS Xは土台はUNIXなので期待ができる反面、管理の手間をどこまで軽減するような工夫が折り込まれているのかに注目したいと思います。
今日はがんばって起きていて、未明のストリーミング放送を見て記事を書きました。正直なところ途中でかなり眠かったのと、さらにマシンが1度落ちたのですが、Mac OS Xのところからはしっかり連続して見ることができました。ストリーミング放送のおかげで、日本にいながらこうして記事がかけるとはいうものの、画質などはまだまだでもあり、やはり厳しい面もあります。では、これから寝ます。おやすみなさい。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp)
サンフランシスコで開催されたMacworld Expoの基調講演で、Mac OS Xの内容がかなり明らかにされた。特に「AQUA」と名付けられた新しいユーザインタフェースと、それを効果的に取り込んだ新しいFinderが実際にデモンストレーションされ、Mac OS 9から大きく進化したOSであることを印象づけた。その進化もこれまでは、マルチタスクや保護メモリと言った技術的なポイントに主眼が置かれていたが、今回のプレゼンテーションではユーザの使用感からアピールした点に注目できる。そして、さまざまな新しいテクノロジーを駆使することでユーザインタフェースをより進歩させた点で大きく評価できる。1月末にはデベロッパーにプレビュー版が配付され、春にベータ版、夏に出荷され、2001年1月の段階でApple製品のOSはMac OS Xにすべて置き換わるというスケジュールを提示した。いずれにしても、2000年中にMac OS Xが出荷されることが明言されたと言って良いだろう。対応機種はG3およびG4を搭載したMacintoshとなっている。以下、基調講演の内容のストリーミング放送から、Mac OS Xの使用感をレポートしてみたい。また、米国Appleのサイトではさっそく画面ショットなどが公開されはじめているので、記事の最後のリンクにあるページもぜひとも御覧いただきたい。
新しいユーザインタフェースのAQUAは、オブジェクトの角が丸く透明感のある感じで、iMacのデザインの基調であるトランスルーセントな雰囲気のコントロール類が利用できる。ウインドウタイトルはシンプルなバーに、赤、黄、緑のボタンがついていて、それぞれクローズ、最小化、最大化のボタンとなっている。アクティブでないウインドウではこれらのボタンがグレーになる。ウインドウをドラッグして移動する時には、ウインドウの輪郭がマウスに連動するのではなく、中の表示内容もいっしょに動く。ウインドウの管理では、タイトル部分からパネルがせり出すような雰囲気で行える。これは従来はあまり見ない独特のユーザインタフェースと言えるだろう。また、メニューをプルダウンした状態でウインドウの作業など他の処理もでき、現在のMac OSのようなメニュー選択時にはメニュー処理しかできなくなるというわけではない。
新しいFinderのウインドウは、ある意味ではブラウザ的だ。ウインドウ上部にボタンが並び、簡単にいろいろなウインドウを呼び出すなどができる。また、ツリー状にファイル構成をブラウズ表示するなど、初心者から熟練者まで、スキルに応じた使い方ができる点をアピールしていた。また、ファイル一覧ウインドウ内でファイルの内容がプレビューできる。ムービーならその場で動画を表示することができる。
さらに開いているウインドウなどを画面の下部にアイコンとして表示するDockという機能も紹介された。ウインドウが最小化して下部のアイコン群に加わるときや、あるいはもとのサイズに戻すときには独特のアニメーションが実行される。また、アイコンのサイズを連続的に変化させるとともに、フォーカスしたアイコンだけが拡大されるなど、高度な画像処理を組み込んだユーザインタフェースを実現しているのが目を引くところだ。
Mac OS Xのアーキテクチャについても、従来のデベロッパ向けの構成ではなく、よりエンドユーザ向けに整理されたものが示された。まず、コアになるのはオープンソースとして展開しているDarwinである。ここで、マルチタスクや保護メモリなどのOS基本機能を実現する。そして、グラフィックスエンジンとして、PDFベースで2D処理を行うQuartz、業界標準の3D処理を行うOpenGL、そしてQuickTimeの3つのコンポーネントで構成される。さらにAPIレベルとして、既存のソフトウエアを動かすためのClassic、Mac OS 9との互換性の高いCarbon、そしてMac OS Xの機能を最も引き出すCocoaの3つの体系が組み込まれている。その上位にユーザインタフェース層のAQUAが来るというものだ。
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┃ AQUA ┃
┣━━━━━━━━┳━━━━━━━┳━━━━━━┫
┃Classic ┃Carbon ┃Cocoa ┃
┣━━━━━━━━┻━━━━━━━┻━━━━━━┫
┃Quartz OpenGL QuickTime┃
┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┫
┃ Darwin ┃
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Classicベースで稼動するアプリケーションとして、Excel98が実際に動作された。Mac OS X Serverのように別環境のMac OSが起動するのではなく、Mac OS XのFinderからExcel98が起動しているように実演では見えた。また、CarbonアプリケーションとしてはInternet Explorerが紹介された。電子メールソフトはCocoaのアプリケーションとして紹介されたが、メールをフォルダに移動するところで、ウインドウの左右にパネルがせり出すようなユーザインタフェースが印象的であった。また、マイクロソフト、アドビシステムズ、マクロメディア、クォークなどのデベロッパが壇上に登場し、各社がMac OS X向けの開発を行っている点をアピールしていた。
基調講演の前半は、アップル製品についての実績に始まり、新しいインターネット戦略を説明するといった内容だった。Internet Explorer 5についての話題にも及んだ。後半のほとんどはMac OS Xについてのデモンストレーションが行われた。最後に、スティーブジョブズ氏が、暫定CEOから正式な「CEO」になったことが表明され、スタンディングで喝采を浴びていた。ただ、名称としては「iCEO」を使うようだ。いくらか噂のあった新しいハードウエアについては、基調講演では何も触れられなかった。
関連リンク:Introducing Mac OS X
カテゴリ:Mac OS X, Mac OSテクノロジー
Appleは、Mac OS 9などで発生していたDHCP問題を解決したネットワークシステムのOpen Transportをリリースした。バージョンは、Mac OS 9の2.5.2からアップして、2.6となった。Mac OS 9あるいは、iBook、スロットローディングのiMac、Power Mac G4でのMac OS 8.6に対してアップグレードすることができる。Ver.2.5.2ではDHCPプロトコルの解釈の違いから、DHCPサーバの通信によって行われるインターネットに接続するのに必要な設定ができない場合があり、フリーズしたかのような症状になることがあった。この不具合はDHCPサーバによっておこる場合とおこらない場合があり、ISDNルータなどで発生していた。これまでの対処法は、DHCPを使うのをやめてIPアドレスなどを手入力するか、DHCPサーバ機能を変更することしかなった。しかしながら、Mac OS側での対応が強く求められていた。理由は単純で、以前のシステムではそうしたことが起こらなかったからだ。OT 2.5.2特有の不具合であるため、OTの変更で対処するのが本筋であるというのが大方の意見だろう。
Open Transport 2.6では、さらに1999年年末に指摘されたセキュリティの問題についても対処されている。OT Tuner 1.0の機能も含まれているということだ。
なお、以下のアドレスで配付されているのは北米向け英語システム用であるが、筆者の使用する日本語のMac OS 9にセットアップして使ってみたが、とりあえずは問題がないようだ。ブラウザ参照やメール処理はできている。通例は日本語版がリリースされるのを待ってアップデートをかけるべきだが、もちろんリスクは御自分で負っていただくとしても、DHCP問題の解決が優先度の高いユーザの場合だと、とりあえず試してみてはどうだろう。
関連リンク:Open Transport Update 2.6
カテゴリ:ネットワーク, Mac OS 9
REALbasicの次期バージョンVer.2.1のアルファ版が2.1a25というバージョンにアップした。いくつかのバグ修正に加えて、アプリケーション作成のダイアログボックスでの言語の設定に改良を加えたことなどが変更点として挙げられている。
関連リンク:REALbasic: 2.1a25
カテゴリ:REALbasic
2000年1月4日に配信した「表示の問題を残した2000年問題、本格的な修正はこれからか」という記事が、配信先のMacWIREで公開されたが、読者の方読者の方より詳細情報をいただいた。それによると、Cyberdog自体はメールの日付の年号を4桁表示はしないものの,非公式のパッチがあり、それを利用することで4桁で表示することが可能になるということだ。Mac OSの日付&時刻の設定とは関係ないとのことである。情報をお寄せいただいた読者の方にはこの場を借りてお礼を申し上げます。
カテゴリ:
Appleより公開されているTech Info Libraryで、以下の文書が2000年1月4および5日に更新されている。以下のリストの左端が文書番号なので、記事の最後にあるリンク先にジャンプし、その番号を手がかりに検索をすると良いだろう。
60675:Macintosh Manager 1.2.2: Read Me
58498:iMac DV: Final Cut Pro 1.2 Not Currently Supported
58554:Final Cut Pro 1.2: QuickTime 4 Pro Registration
60535:Mac OS 9: Adobe Type Manager, Type Reunion Compatibility
17159:LocatIng Vendor Information
9504:PowerBook: Altitude Concerns
17162:System 7 Sound Control Panel: Volume Level Anomaly
70037:WebObjects Current Patch List
70121:WebObjects 4: Monitor FAQ
14449:PowerBook and iBook: Resetting Power Manager
58238:Power Macintosh G3 (Blue and White): Frequently Asked Questions
30539:PowerBook G3 Series: System Reset Key Sequence
24459:PowerBook G3, PowerBook G3 Series: No Contrast Control
16168:PowerBook and iBook: AC Adapter, Battery, and Recharger Identification
関連リンク:Tech Info Library
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL)