Macintosh Developer Online (MDOnline)


2000年2月16日発行号 - SkyLINEワイアレスカード



Expo会場からの続報です。昼間の配信後に判明したのですが、Mac OS Xに搭載されるフォントはヒラギノをベースにしたOpenTypeフォーマットのフォントです。今までは、細明朝や中ゴシックのモリサワフォントがメジャーだったのですが、その状況も変わるかもしれないと評価していたひともいました。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


Farallon社のワイアレスネットワークPCカードは4月発売

ネットワーク製品で知られるFarallon社は、Macworld Expoの初日2月16日に、国内代理店のディアイティとともに、ワイアレスネットワーク製品についての記者会見を開いた。PCカードタイプのワイアレスLANカードである「SkyLINE 11Mb」が、米国では4月に出荷される。この製品は昨年7月にアナウンスされて8月に出荷されたSkyLINEシリーズのアップグレード版で、IEEE802.11bに従って転送速度が11Mbpsにアップグレードしたほか、カードの外側に出っ張る部分がよりコンパクトになった。AirMacはもちろん、ルーセント製品などとの相互接続が可能な標準規格品である。価格は未定だ。日本での発売も未定だが、英語版のソフト上あのまま日本語のインストールマニュアルを添付して販売する考えもあり、早期に市場投入したいと考えているようだ。
SkyLINEシリーズはAirMacと同様、ベースステーション経由はもちろん、ワイアレスPCカード同士の接続にも使える。特徴としては、電波のチャンネルを選ぶことや、パケットのコンバートないしはエンクローズを選択できることなど、設定を細かく行える点だ。また、AirMacもサポートしているWEP(Wired Equivalent Protection)に対応した暗号化通信にも対応している。ベースステーションとのやりとりでパスワード入力が必要にしたり、設定したMACアドレスのPCカードからのみ通信できるようにするような管理機能もある。設定ユーティリティに独自のものを採用しており、接続するベースステーションを選択するなどができる。電波は見通し距離の場合、45mまで到達する。転送レートを下げることで、電波状態が悪化した状況でも通信を続けるような機能も搭載されている。対応機種は、Macintoshが、PowerBook 2400, 3400, G3, G3シリーズ。Windowsについては、Windows 95/98/NTに対応する。Windows 2000やPowerBook 190, 5300, 1400については、今年の夏までに対応する予定だ。

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iMacが牽引するMacintosh市場の今現在を体験できるMacworld Expo

Macworld Expo/Tokyo 2000が、2月16日から開催されている。目下、いちばんホットなキーワードは、「ワイアレスネットワーク」ということに尽きるだろう。AirMacは今月18日より出荷されることがアナウンスされた。また、ディーアイティはFarallon社のワイアレスLAN用PCカード「SkyLINE」シリーズのアナウンスを行い、メルコはPCカードおよびPCIカードタイプのワイアレスLAN製品を展示している。もちろん、アップルのブースでは、AirMacシリーズが展示されている。まだ製品出荷が先のものもあるが、ワイアレスネットワークはもう手の届くところに来たと言えるだろう。ワイアレス製品を実際に目にすることができるという点でも、この主の製品に興味がある人は一見の価値があると言えるだろう。

基調講演において新しい本体が発表されたが、PowerBook、PowerMac G4は、概してクロックアップと総括できるだろう。PowerBookがFireWire化されたことは、周辺機器をいろいろ利用するユーザーや、ビデオ編集を行うユーザーにとってはうれしい機能だと言える。G4に関しては、本来の製品ラインナップにやっとなったというところだろうか。
ハードウエアに関しては、iBook Special Editionが何と言っても話題に上るだろう。基調講演でも喝采を浴びたが、直後からアップルのブースでポスターが配布されはじめ、先を争ってポスターをゲットしようという人の波であふれかえっていた。

そして、Macintoshの将来像は、まさにMac OS Xというビジョンに絞り込まれた。基調講演で長時間をかけて、新しいユーザインタフェースのAquaをデモした。また、アップルのブースの正面は、大きく「X」と書かれたたれ幕があり、ブースでのプレゼンテーションでも積極的にMac OS Xが紹介されている。また、日本語版でのデモが行われた点も評価できるし、フォントについての積極的な取り組みがなされることも大きな収穫と言える。1つのOSという戦略に基づき、数年のうちにMac OS Xに集約するというのがアップルの考えるロードマップだ。CarbonというAPIによって既存のアプリケーションの移行をしやすくしており、具現性のあるプランだと言えるだろう。

基調講演では、1999年最後の四半期のシェアは、7.8%にまで回復し、メーカ別ランキングで4位にまで上昇したことが話された。iMacで劇的に復活をとげてから1年半が経過したが、復活から拡大のプロセスに入った証明であると言えるだろう。もはや、アップルはこれから先どうなるのかと言った疑問はばかげているという状態になってきた。むしろ、アップルはこれから先何をやってくれるのかという期待感が大きく上回っている。

その一方で、Macworld Expo会場の展示内容も、数年前とは目だった変化ではないものの、ややさま変わりしていると感じられる。iMacの復活と強みを持つデザイン市場へのフォーカスにより、やはりユーザ層の偏りは生じていると言える。アドビシステムズ、マクロメディアなどをはじめ、デザイン市場にフォーカスしたメーカの展示ももちろんあり、デザイン向けの展示も見られるが、一方の見られない顔ぶれを考えれば、これらのメーカが考える中心的な展示会ではなくなってきているように感じられる。また、ソフトウエア関連の展示も割合的には減ってきているという印象だ。一方で、周辺機器関連の展示が目立つ。マイクロソフトやファイルメーカは別格としても、コーシングラフィックスシステムズ、アクトツーなどが目立つところで、展示内容もインターネット関連ソフトウエアや、PIMソフトなど、個人ユーザに向けたソフトの展示が目立った。iMacで形作られた市場に対して、各メーカがフィットした結果、ビジネス系の展示はほとんど見られないようになってきているのである。また、ソフトウエアよりも、周辺機器の方に目が向きがちなユーザ層ということにも、敏感に反応していると言えるだろう。また、Music & Audio Pavilionとして、音楽関連の展示ブースを集めたとこもあるものの、そのほかにも音楽関連ブースが割合的には増えている。音楽への興味は、やはり個人ユーザ層をターゲットにしているということの現れだと言えるだろう。

いずれにしても、PC系の展示会と違って、各メーカーが一同に会するという状況ではないのは確かだ。展示を行っていないメーカーに対しては、現在のMacintosh市場に対するスタンスを推し測ることができるかもしれない。中には展示会でアピールしなくても引き合いは十分にあるメーカーもあるかもしれない。いずれにしても、展示があるメーカーは、Macintoshの市場への取り組みが積極的であると評価できるだろう。今後、Mac OS Xが登場すると、市場の構成が変わるかもしれないし、また、それを意図するところもあるだろう。しかしながら、iMacが牽引した市場の真っ只中にある今を体感するには、Macworld Expoに足を運んでみるのがいちばんだ。

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