Macintosh Developer Online (MDOnline)


2000年5月12日発行号 - 一太郎Arkソースをオープンに



ジャストシステムの一太郎Arkのオープンソース化ですが、ジャストさんには申し訳ないのだけど、正直なところ「どうするの?」というのが率直な感想です。どうやって開発費用を回収するのだろうか分かりません。他の言語ならともかく、Javaってソースあればさっさとバイナリが作れますよね。Cとかだったら、ライブラリの有無とかでまずははまるでしょうけど、Pure Javaだからそんなところで落ち込まない。Mozzilaのビルドの大変さはやってみた方なら御存じだと思いますが、Pure Javaだとそういうことはないと思います。新聞の記事の書き方だと、バイナリを作ってただで配付してもいいみたいにも受取れるので、一太郎Arkの完成品は商売道具ではなくなるわけです。もちろん、Mac OS対応をジャストがしなくても、誰かがやるとかった可能性もありメリットはあります。だけど、それによってジャストは対価は取らないのでしょうか? 出版関係の人は「一太郎Arkの本や記事」の企画に余念がないところでしょう。
もっとも、ソースコードの公開はある意味では技術力を白日のものにさらすことでもあるので、その意味での興味は大変にあると言えます。また、新聞記事では、携帯端末などで使えるなどと書いてありますが、多分、相当先まで難しいでしょう。組み込み系となると、SwingはおろかAWTすら完全サポートしていないことがあるので、Swingがないと一太郎Arkはまず動きません。Swingない状態で動かす労力をかける人はいないでしょう。ただ、1つの大きな目的が、「話題にのぼること」であるのなら、その意味では日経産業の一面に掲載されたことで、かなり効果はあったかもしれません。
さて、明日の出発の準備をしないと…、それでは、行ってきま〜す!
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


ジャストシステムの一太郎Arkオープンソース化の行く末は?

5月11日の日経産業新聞第一面に、Javaで作られたワープロソフト「一太郎Ark」をオープンソース化することが報道された。ジャストシステムが正式に発表したわけではなく、日経産業のスクープのようだ。正式な発表ではないため、新聞の記事からの情報のみになるが、MacintoshのJavaに与える影響などを考えてみたい。
まず、最初に押さえておきたいのは、一太郎Arkは一太郎という名前が付いているが、Windows版一太郎を移植したものではなく、機能的にははるかに低いものだ。たとえていれば、AppleWorks 6のワープロ機能よりも、一太郎Arkの方がまた機能的には低いと言える。一太郎Arkは、SwingのHTMLエディタのコンポーネントを中心に、段落設定などの付加属性を加えた程度のワープロだ。「一太郎のJava版」ではないことはまず認識しておく必要がある。一太郎Arkが最初に登場したときにはMac OSでも動作させていたが、パッケージとして販売されたものはJava2対応になっており、現状のMac OSでは稼動しない。
一太郎Arkのオープンソース化により、ジャストシステムがMac OSへのきちんとした対応をしなくても、誰かが取り組んで、ドラッグ&ドロップや文書のダブルクリックなどを含むMac OSへの適正化が行われるという期待は高まる。また、Javaのフレームワークは文書ファイルという視点のクラスがほとんど用意されていない。もちろん、一太郎Arkのソースの出来栄えにもよるが、文書ファイル処理を巻き込んだアプリケーションフレームワークを抽出するということも考えられることだ。
一太郎ArkなどのJava製品でXMLへの進出を狙っているジャストシステムだが、XML関連のクラスはすでにいろいろな手段で利用できる。ソリューションの1つとして一太郎Arkを見ることはできるが、開発の素材になるものとしてはそれほどメリットは感じないのではないだろうか。データ形式としてXMLを使う場合での開発補助ツールとしてはまったく最適化されていない。また、DOMの参照アプリケーションとしては利用できるかもしれないが、そうしたインタフェースを一太郎Arkのソースが持っているかどうかに関わってくる。すでに、XMLに最適化された各種のツールが出始めた現在では、そうしたフォーカスをきっちりと取った製品に強みがあると考えられる。XMLの文書ファイルが一般化しはじめたときには先行のメリットが見えるかもしれないが、その頃にはWebブラウザが完全対応するだろうから、やはりジャスト製品を軸にXMLが展開するとは考えにくい。
オープンソースではたしてビジネス的展開が可能なのだろうか? 日経産業の記事ではあいまいな書き方で、お金の流れが描かれていない。おそらくはジャストシステムの方針に明確な点がないのであろう。Linuxで大きくビジネスをしているレッドハットなどの例もあるものの、リーナストーバルズ氏自身ですら、ある意味ではLinuxを専業にしているわけではない点からも、オープンソースビジネスの難しさは容易に想像できる。
ジャストシステムは一太郎ArkなどのJava製品を業務システム開発の核になるものとして位置付けたいと考えているようだ。しかしながら、ロータスがeSuite DevPackをやめたという事実を考えても、コンポーネントとしてのビジネス展開の難しさは浮き彫りにされている。確かにオープンソースは流行っている。しかしながら、明確なビジネスビジョンがある企業が成功している。オープンソース化を通じてそうしたビジョンを描くことができるようになるかが大きな鍵となるだろう。

カテゴリ:Java, 業界動向


日本語版REALbasic 2.1.1も、まずは暫定版を公開

米国ではREALbasic 2.1.1がリリースされているが、日本語版については、暫定版という形で公開された。ソフトウエア自体は日本語化されているものの、リファレンスが英語のままになっており、1カ月以内に全面的な日本語版をリリースするとしている。

関連リンク:REALbasic2.1.1日本語暫定版
カテゴリ:REALbasic


【Darwinシリーズ】ボリューム情報からデバイスを推測

実際に利用しているボリュームの情報を見るのは「df」コマンドだ。dfコマンドの結果を見ると、システム側のデバイス名と、マウントポイントでの名前の対応を取ることができる。

◇ボリューム情報をdfコマンドで参照した
 figs/darwin/DSC00004.JPG

まず、ルートは、「/dev/disk0s7」となっている。起動ディスクのデバイス名は「/dev/disk0sX」となり、2台目のディスクは「/dev/disk1sX」(Xが整数)となっているようだ。つまり「HDD2-1」としてマウントされたディスクは、2台目のディスクであり、そのデバイス名が「dev/disk1s6」であるという点から推測できる。
dfコマンドでは各ボリュームの容量などが参照できるが、メッセージにあるように512KBが1ブロックとなっているようで、たとえば、HDD1-1は2GB程度のサイズで、使用量は1GB程度だということがコマンドから読み取ることができる。
ここで、システムで認識しているデバイスを見て見る。

UNIXでは、デバイスも、1つのディレクトリにあるのだが、dfの結果を見れば明白なように、/devというディレクトリにデバイスが登録されると考えればよい。つまり、/devディレクトリでデバイスが一覧できる。

◇/devディレクトリの内容を一覧した
 figs/darwin/DSC00005.JPG

一覧にある「disk」で始まる項目が、ドライブの存在を示すものである。そして、1つ1つのパーティションが別々のデバイスとして、一覧の中に1つ1つの項目が登場しているのだろう。ただし、HFS+だと最初の5つのパーティションはシステムが利用するので、ボリュームとして利用できる最初のパーティションはdisk1s6となる。1つ目のディスクは3つのパーティションに区切ったが、そうすると、disk1s7、disk1s8が残りのパーティションとなり、disk1s9とdisk1s10はなんだろうかということになる。ドライブ設定は領域を取る時に完全にすべての領域は取らずに少しだけ空き領域を作っているが、それもこのように項目の1つとして出てきているだろう。

ところで、Linuxの場合だと、こうした起動時に自動的にマウントされる設定は、/etc/fstabというファイルに記載されるということになっている。はたして、Darwinの場合はどうだろうか? /etcを見ても、fstabファイルはないものの、fstab.hdなどがある。それを見てみた。「cat fstab.*」でワイルドカードによってfstab.hd、fstab.rd、fstab.sdの各ファイルのそれぞれの中身を表示できる。

◇/etc/fstab.*ファイルは関係がなさそう
 figs/darwin/DSC00006.JPG

このファイルにはデバイスとマウントポイントの対応を書き、起動時にこのファイルを参照して、ボリュームをマウントする。だが、/dev/hd0aなどと存在しないドライブ名が書かれている。つまり、fstab.*ファイルは、Darwin 1.0の既定の状態では参照していないと言えるだろう。

カテゴリ:Darwin, Darwin 1.0


テキストからグラフィックスを生成するソフト、日本語もOK

three-2-one GmbHは、テキストからグラフィックスを生成する「text2graphic」のVer.2をリリースした。アンチエイリアスやシャドウ、あるいは文字間隔なのレイアウト、背景グラフィックスなどを指定して、キータイプあるいはファイルから供給したテキストをグラフィックス化できる。一括処理あるいは設定の保存も可能なので、Webサイトを作る場合に同じ形態のグラフィックス化したテキストが必要な場合にも便利だろう。$69のシェアウエアで、機能限定版として$25のものも用意されている。日本語版もあり、2バイト文字も問題なく使える。ただし、ダウンロードしたソフトのversリソースのカントリーコードがドイツのままになっており、そのままではダイアログボックスや入力テキストボックスが文字化けする。ResEditで書き換えれば大丈夫だ。

関連リンク:text2graphic
カテゴリ:ユーティリティ


テキストの表を簡単に作成するソフト、メール作成で便利に使える

Sig Softwareは、表形式のテキストを作成するソフト「TableText」のベータ版をリリースした。等幅フォントを使って表示すればきちんと表になるようなテキストを作成できるが、電子メールに表を含めたいような場合に便利になるだろう。要するに、表作成ソフト上でセルに入力すれば、
+----------+--------------------+
| イベント |World Wide Delopers |
| |Conference |
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| 日時 |2000年5月15〜19日 |
+----------+--------------------+
| 場所 |サンノゼコンベンショ|
| |ンセンター |
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といったテキストが簡単に作成でき、ファイルあるいはクリップボードへのコピー結果として得られる。2行に渡ったり、セルの左右方向への配置ができる。列や行を区切るキャラクタはカスタマイズできるものの、2バイトコードがきちんと表示されないのは少し残念なところでもある。

関連リンク:TableText
カテゴリ:ユーティリティ