Macintosh Developer Online (MDOnline)


2000年5月16日発行号 - ジョブズの基調講演



WWDC 2000のスティーブジョブズ氏の基調講演で明らかになった内容についての記事をお届けします。日曜、月曜の朝と雨だったサンノゼですが、昼頃には快晴となっています。そんな気持ちいい天候の中、部屋に隠ってたくさんの人がPowerBookやiBookをたたいています(笑)。写真はそれほどいいのがとれなかったので、掲載はなしです。基調講演の後、ジョブズ氏はそそくさと退場して、聴衆の前には出てきませんでした。ハードウエア関連の発表は一切なく、内容的には少し寂しい基調講演となったわけですが、その意味ではあまり気分が乗らなかったのかも知れません。遅くに始まったのに、だいたい定刻に終わりました。Mac OS Xに向かってまっしぐらですが、ゴールがあっちの方に動いてしまいました。残念とおもいながらも、正直なところ、デベロッパとしては時間がかせげるという意味ではほっとするところかもしれません。あるいは、今からでもばん回できる? 一方で、忙しくなるのはWebObjects関係者でしょうか。見積書の合計金額がドラスティックに少額に修正されるかもしれません。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


【WWDC2000】Mac OS Xの発売は2001年1月に

WWDCの基調講演の目玉はMac OS Xだ。新しい話はあるものの、もっとも大きなニュースは発売の延期だ。WWDCの基調講演の後、Mac OS X Developer Preview 4が来場者に配付された。スケジュールとしては、夏にベータ版をリリースし、2001年1月に、1.0のファイナル版をリリースすると言うスケジュールに修正された。デベロッパーからのフィードバックを取り込む時間を確保するという説明ではあったが、いずれにしても、正式リリースが数カ月延長されたことになる。
Appleは、Mac OS X DP3に対するデベロッパーなどからのさまざまな要求を取り込んだ。まず、コントロール類が大きいという声に答え、Mac OS 9とサイズ的にほぼ同じものに変更した。そして、Finderは現状のMac OSにより近いものとなり、ツールバーを隠したりすることなどが加えられた。また、メニューバーにはアクティブなアプリケーションが表示されるようになった。Dockについても洗練された。アイコンのデザイン部分だけが並ぶようなものとなっており、またDockのバーの背後も透けて見えるなど改良がなされている。Dockのなかでは、アプリケーションと文書を明確に区別するようにもなった。
DP4では、Internet Explorer 5のCarbon対応版が組み込まれている。IE5ではFlashのコンテンツを含むWebサイトを実際に表示しており、プラグインに至まで利用できるようになっていることが示された。また、アドレスなどのURLをDockに登録するデモも行われた。また、OpenGLに完全に対応するとともに、Java2 Standard Editionにも完全に対応した。DP4では、APIがほぼすべて組み込まれているため、デベロッパーが自社の製品を開発する必要条件はみたされたとしている。
また、QuickTime PlayerもDP4には組み込まれている。従来との違いとして、トーンコントロールが組み込まれたことと、引き出し形式のチャンネル選択パネルではなくなった点が挙げられる。
Palm Desktopも、Carbonアプリケーションとしてリリース予定で実演が行われた。明言はしていないが、USBポートの利用についても、アプリケーションが利用できる段階まで示していると考えてよいだろう。また、AdobeのInDesignもCarbon化されていることが説明され、ゲームのQuarkeもOpenGLを利用したリアルな映像を表示していた。
基調講演の最後に、ジョブズ氏は、Appleで開発している人たちをねぎらったが、過去にOSをモダンにする試みは失敗したと評価し、現在のMac OS Xのチームは過去にできなかったことを可能にしたという点で高く評価をした。

カテゴリ:Mac OS X, イベント


【WWDC2000】WebObjectsが$699、年末にはPure Java版

WebObjectsの価格が一気に100分の1に! WebObjects 4.5の開発ソフトと、トランザクション数が無制限の稼動環境を含めたセットが、$699になった。WWDC 2000の基調講演でこのことが告げられた時、ひときわ高く歓声が上がった。これまでは、$50,000で販売されていたもので、大幅な価格改定である。従来は、ソフトウエアのコストがかさんでいたため、大企業が顧客の中心ではあったが、コスト低下によって中小企業など小規模なサイトへの売り込みを本格化する。$699で1台のサーバで利用できる。
対応OSとして、SolarisやHP-UXに加えて、Windows 2000、それにMac OS Xが紹介された。Mac OS X Serverで、WebObjectsは利用できるのではあるが、プレゼンテーション資料で示された稼動プラットフォームからは消えていた。
さらに、今年の末までに、WebObjects 5がリリースされる。こちらは完全なJavaで作られており、稼動環境の自由度がより高くなることが期待できる。また、JDBCやEnterprise JavaBeans(EJB)もサポートする。
基調講演のデモでは、Direct Java Clientのデモが行われた。Webブラウザベースのアプリケーションを見せて、より良い解決策があるとして、Javaアプリケーションを生成する方法をデモした。使いやすいインタフェースを持つクライアント向けのJavaアプリケーションを生成し、Javaベースのサーバモジュールと合わせて、WebObjectsをもとにしたクライアント/サーバ開発の効果的なシステム設計ができる点を示した。クライアントアプリケーションは、Mac OS XのAquaインタフェース上で動くなど、通常のアプリケーションとそん色のないものであった。低価格化も含めて、サーバサイドの開発、あるいはクライアント/サーバシステムの開発で、これまで以上に注目される可能性が出てきた。
なお、日本での販売方針については、原稿執筆時点では明らかにされていないため、国内での販売価格などについてはお届けできない。

カテゴリ:WebObjects, イベント


【WWDC2000】QuickTimeがMPEGをサポート

WWDC 2000のスティーブジョブズ氏による基調講演で、2000年の夏にリリースされるQuickTimeの内容が明らかにされた。まず、大きなところでは、MPEG1およびMPEG2のコーデックをサポートする。DVDにも採用されているコーデックを本格的に採用する。また、QTVRでは、キュービックパノラマという機能が加わる。QTVRでは360度全方向のパノラマが参照できるが、さらに上下方向でも360度の前方向のパノラマが展開される。ほかには、QDesignがG4向けに最適化されるなど、まだまだQuickTimeは進化する方向にあると言えるだろう。

カテゴリ:QuickTime, イベント


【WWDC2000】MayaがMac OS Xに対応

Alias|Wavefront社は、同社の3DソフトMayaを、Mac OS Xに対応する。WWDC 2000の基調講演で明らかにされた。Mayaは3Dのモデリング、画像生成、各種のフィルタリングなどができ、映画の制作などでも積極的に利用されているコンピュータグラフィックスソフトである。Matrixなどで実際に使われているようだ。現在は、Windows NT、SGI、IRIXで利用できるが、Mac OS Xの対応を追加した。発売は2001年の早い時期となっており、価格は未定である。アーチスティックな分野に強みを発揮したいMacintoshにとっては、Mayaの移植の意味は大きい。しかも、次世代OS、Mac OS Xに対応という点で、将来展望もあり、さらには、Mac OS Xの業務利用をより印象づける。

カテゴリ:オーサリング系, イベント


Macintoshマネージャの1.3への日本語版アップデータが公開

サーバをベースにしてクライアントのMacintoshのシステム管理を行う「Macintoshマネージャ」のVer.1.3の日本語がリリースされた。Ver.1.3はクライアント向けソフトの変更のみで、サーバモジュールは、1.2ないしは1.2.2を使う。Ver.1.3では初期設定の管理方法にいくつかのバリエーションが追加された。また、許可していないアプリケーションでも稼動できるようにする独特の命名のフォルダが利用できるようになった。

関連リンク:Macintosh マネージャ 1.3(日本語版)
カテゴリ:ネットワーク, サーバー製品


QuickTime Streaming Server 2.0.1の日本語のアップデータ

Mac OS X Server 1.0-2以降で稼動する、QuickTime Streaming ServerのVer.2.0.1へのアップデータが配付されているが、日本語版についても配付されはじめた。プレイリストブロードキャスタに対する改善や、ログ、パフォーマンスなどの改善が行われている。

関連リンク:QuickTime Streaming Server アップデート 2.0.1(日本語版)
カテゴリ:QuickTime, Mac OS X Server