Macintosh Developer Online (MDOnline)


2000年6月5日発行号 - ラベル印刷が省かれたAppleWorks 6



先週のニュースの1つとして、MacNNが情報源だと思うのですが、AdobeがPageMillの開発を中止したというものがありました。AdobeのWeb製品ラインがどうなるかは注目されていたのですが、SiteMillに続き(ちょっと古い話…)、PageMillもあきらめ、GoLive1本に絞るのでしょう。私も行き掛り上(笑)、GoLiveを使っているのですが、インラインでの漢字変換で落ちまくるあの仕様をなんとかしてもらわないと困ったものです。もっとも、“デザインツール”という位置づけで、元原稿はライターがエディタで書いて送って来るみたいないイメージなのかもしれませんが、とにかく安定させてほしいところですね。
ところで、97〜98年がピークだと思いますが、簡単に使えるWeb作成ソフトが流行りました。その後、この種のソフトはハイエンドにシフトしたため、一般ユーザ向けのWeb作成ソフトが今は手薄だと思います。PageMillがなくなり、ホームページProも動く気配がありません。ファイルメーカーProとの連動という意味ではスタイルシート対応がなされていないことからも、ファイルメーカー社はホームページProに力を入れていないのではないかと勘ぐってしまうところです。Windows環境では、IBMのホームページビルダーが商品では一人勝ちというところのようですが、タダで手に入るFrontPage Expressもかなり使われているというところです。
いずれにしても、Mac OSでの一版向けホームページ作成ソフトがやや手薄なのはある意味ではチャンスかもしれません。AppleWorks 6でホームページが作成できるとは言っても、Web作成に最適化されたソフトの方が使いやすいのは言うまでもありません。もっとも、ホームページブームも去ったので、市場規模が縮小しているということも言えるのかもしれませんが、どの時代にも、エントリー層はいるものです。とにかく、この“空白区”が気になります。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


AppleWorks 6のラベル印刷はどこに行った?

クラリスワークス時代のデータベース環境では、ヒサゴなどの市販のラベル用紙名を選択して、そのラベルにぴったり合わせたレイアウトを作る機能が利用できた。しかしながら、AppleWorks 6(6.0.2)ではその機能が利用できない。レイアウトを新規に作成するダイアログボックスでは、「ラベル」のラジオボタンがグレーになって利用できないのだ。クラリスワークス時代には、市販ラベル用紙の設定ファイルが最初から用意されていて、それを元に選択して設定されるようになっていたようなのだが、AppleWorks 6ではその処理は省かれてしまったようだ。
AppleWorks 6でラベル印刷を行うには、ラベル用紙のサイズに合わせたレイアウトを自分で作らないといけない。用紙の余白、段数、ラベルの高さ、そして用紙設定といった設定を逐一しなければならないということになる。

カテゴリ:アプリケーション


【小池邦人のプログラミング日記】2000/ 6/2<WWDC 2001に向けて その2>

WWDCの参加手続きは、開催日の前日もしくは前々日に会場ですましておくのが普通です。そこで、参加章(名札)とお土産のカバンやCD-ROM、カンファレンス用ガイドブックなどをもらいます。まずは、Jobsの基調講演の開演時間をチェックします。今年のJobsの基調講演は、初日の午前10時の開演でした。前日にはApple主催の歓迎パーティなどが開かれますが、あまり夜更かしせず(時差ボケでハイになりやすい)早めに就眠いたしましょう。間違っても二日酔いで基調講演を見逃すような事態は避けたいところです。WWDC参加費には、かなりの割合でJobsの拝観料が含まれていることをお忘れなく…(笑)。

朝食は、パンや果物、コヒーや紅茶が会場内のテーブルに用意されています。ただし、コヒーはデカフェでなくても、あまり美味しくありません。会場には、美味しい入れ立てコヒーを飲ませてくれるワゴン(屋台)が数台あります。並んで待っても、そちらを利用するのが得策でしょう。基本的には無料なのですが、みんな$1程度チップを置いていきます。コヒー以上にやっかいなのがパンです。やたらと甘いのです(たまにクロワッサンもありますが)ですから、私が朝食として食べていたのはバナナのみ。オレンジは食べにくいし、リンゴは正直まずかったです。ちなみに、この品揃えは脈々と続く伝統でして、どうも改善される兆しはないようです(涙)

「開演まで、まだまだ時間があるな…」と油断してはいけません。各セッションが定員オーバーで入れなくなることはありませんが、Jobsの基調講演だけは別物です。開演1時間前には、良い席(前の方)を確保するために、ホールの入り口に大集団が陣取ります。基調講演には、他のセッションに参加しないプレスやApple社内の人間も押しかけますので、さらに聴衆が膨れあがります。案の定、今回は参加者が多かったこともあり、椅子に座ることができない立ち見の人や、別のホールのスクリーン映像で我慢しなくてはいけない人が大量に出てしまいました。すぐ目の前でJobsを見たい方は、開演2時間前には会場に入り、甘いパンでもかじりながらPowerBook G3でDVDでも見て入り口で待ちましょう!

基調講演が終了したら、午後のセッション開始まではお昼休みです。ほとんどの人は、この時間帯に会場内の食堂ホールでランチを食べます。ランチはバイキング形式です。時間帯によっては長蛇の列になりますが、少し遅めのタイミングにすれば待ち行列なしの快適な食事が可能です。食事が終わったら、多くの人がインターネットカフェに足を運び、Appleが用意したEthernet回線に自分のマシンを接続してメールチェックやウェブ更新の仕事を開始します。インターネットに接続されたiMacも用意されていますが、どちらも数に限りがあり、いつもオーバーフローの状態です。ところが、今回は、会場内にAirPort(AirMac)の無線LANが張り巡らされていたおかげで、マシンにAirPort Cardを装着している人は、快適な作業環境を手に入れていました。会場内の唯一のショップ「Developer Depot」(開発環境などを売っている)でも、発売されたばかりのFarallon製「 SkyLINE 11Mb」ワイアレスPCカードが飛ぶように売れていたのが印象的でした。

さて、世界中のデベロッパーがどんなポータブルマシンを所有しているのか興味深いところです。3年ぐらい前までは、Windowsマシンを含めて多種多様なマシンが混在していました。しかし、今年はPowerBook G3(1999型と2000型)一色!!全体の90%以上を占めていたのではないでしょうか?残りの5%ぐらいがiBookで(思ったより多かった)それ以外の機種はほとんど見かけませんでした。さて、私の密かな楽しみは、会場で起動されているマシンをそっとのぞき込み、デスクトップの様子を見学することです(笑)昨年は、起動時にLinuxとMac OSのブート選択をしている人が目立ちました。今年は、Mac OS X DP4を速攻でインストールして使っている人が多数いました。にしても、世界中どこへ行っても、マックのデスクトップというのは十人十色ですね。驚愕の「未知との遭遇」に味を占め、のぞき見を止められない私です…。

午後になったら、いよいよセッションの開始です。日本語同時通訳用のレシーバを入手して参加したいセッション会場へ入ります。同時通訳は、とての上手な人と「あちゃ〜」という人がいまして(笑)レシバーを外しておいた方が分かり易いケースも多々ありました。特に、テクニカル用語やAPI名を連呼するようなセッションは、スライドを見ながら英語で聞いた方が無難かもしれません。そうそう、自分の参加しているセッションは生で聞き、隣のセッションの内容をレシバー経由でテープ録音していたアイデアマンもいました。セッション終了後には技術者と参加者の質疑応答があります。このQ&Aコーナで初めてAppleの技術者の本音が出ることがありますので、最後まで見逃さないでください。この時のやり取りを理解するのには、日本語同時翻訳がとても役に立ちます。

セッションが終了したら、次のセッションまでテーブルに置かれたおやつ(やはり甘い)を食べながらブラブラしています。この時、積極的に知り合いを捕まえて情報交換を行いましょう。例えば、今回「Inside Mac OS X (System OverView)」の日本語訳が配布されていることを、私はこうした立ち話で初めて知りました。会場では色々なテストラボも開催されており、テスト結果の報告をするとオリジナルT-シャツをもらえたりします。また「Developer Center」と呼ばれる、サードパーティの展示会が2日間ほど常設されます。T-シャツや小物を配っているブースがありますので、押さえておいてください。今回は、MetrowerksのブースがMac OS X用CodeWarriorのβ版CD-ROMを配布していました。加えて、Metrowerksは独自のセッションも開催し(プログラムには載っていなかった)そこで、PowerBook G3が当たる抽選会も催されました。WWDCでは聞き耳を立てることが重要なようです。

一日のセッションが終了したら、楽しい夕食です。美味しいと評されるレストランは参加者が集中するため、すぐにお客で一杯となります。何人か集まってゆっくり食事をしたい場合には、先んじて予約を入れておくのがベストです。夕食後ホテルへ戻り、自分のマシンでメールチェックを行う場合には、部屋に用意された電話回線を利用します。ホテルによってはEthernet回線がレンタルできるところもあったようです。私が宿泊していたフェアモントでは、1回のモデム回線使用料が$1でした。結構高いのですが、回線を切らなければ、どんなに長時間接続していても費用は固定です。そうそう、Fax回線を利用して(こちらは時間課金)すごい請求をされた某ひげのプログラマー(笑)がいましたので、回線使用料に関しては事前にチェックしておくことをお薦めします。ただし、一週間も滞在していると通信費がかさみますので、なるべく会場で仕事をすませてしまうのが得策だと思います。

来年のWWDC 2001の開催日は、5月21日から25日となっています。この時期まで、Mac OS XのGMが延期されていないことを祈りつつ…。みなさん、ぜひ会場でお会いいたしましょう!

関連リンク:オッティモ
カテゴリ:小池邦人のプログラミング日記


Cocoa対応WebブラウザのMac OS X DP4対応ベータ版をリリース

Omni Groupは、Mac OS X向けのWebブラウザ「OmniWeb 4.0 beta 3 for Mac OS X DP4」をリリースしていた。Mac OS X Serverに標準でバンドルされていたブラウザであるが、Mac OS Xのリリースに向けて、ベータリリースをすでに始めており、Developer Preview 4向けのバージョンをリリースした。ブックマークがドローワー形式(Internet Explorerのようなものと思われる)として、ウインドウ内に分割して表示するようになったことや、さまざまなバグ修正が変更点だ。DP4に付属するInternet Explorerは、Carbon対応アプリケーションだが、OmniWebはCocoa対応製品である。

関連リンク:OMNIWEB
カテゴリ:ブラウザ, Mac OS X


Mac OS X上で動くMac OS 9の制約についてまとめられたページ

Appleのサイトで、Mac OS X上でのMac OS 9に関する情報を表示するページ「Rate Breaking News about Using Mac OS 9 wih Mac OS X」が公開されている。Mac OS XでのClassic環境、つまりMac OS 9環境の利用についての注意書きなどが書かれており、現在のリリースのMac OS Xにおける周辺機器などとの相性を知る上でも有用な情報が多いページだ。Drive設定を使わないようにすることや、Disk Copy 6.3.3を利用するようにということが書いてある。ネットワークについては、Mac OS X側の設定が有効になり、コントロールパネルでの設定はできない。コントロールパネルの日付&時刻は利用できない。また、マルチユーザーはMac OS X側の機能を使う。Mac OS 9とMac OS Xのアプリケーション間でのコピー&ペーストやドラッグ&ドロップは可能だが、PICTをMac OS Xのアプリケーションでペーストできないとしている。また、ペースト時にはコンバートのための時間が取られるようだ。さらに、利用に問題のあるアプリケーションなどが紹介されいる。RAM Doubler、Speed Doublerは仕方ないとしても、ADBを前提としたものや、EtherPeekのような特別なネットワーク利用のもの、そして特定のハードウエアのサポートを前提としたApple Video PlayerのようなソフトもMac OS Xの環境のMac OS 9では動かないものとして挙げられている。以上の事実は、現状のDP4のみの制約なのか、あるいは製品版でも同様なのかは定かではなく断定はすべきではないのであるが、Mac OS Xの機能を知る手がかりにはなるページだと言える。

関連リンク:Rate Breaking News about Using Mac OS 9 wih Mac OS X
カテゴリ:アップルからの開発資料, Mac OS X, Mac OS 9


QuickDraw 3Dをクロスプラットフォームで実現するライブラリ

Quesaは、QuickDraw 3DのAPIと同一のライブラリを、Mac OS 8/9、Mac OS X、Linux、Windowsで実現する「」をリリースしている。Be OSにも移植中とのことで、オープンソースで配付をしている。QuickDraw 3DのプログラムをMac OS Xで稼動できるとしている。Ver.1.6d12では、Carbonに完全対応しており、NURBや各種のカメラに対応し、3DMFの対応を広げている。QuickDraw 3Dベースのソースを生かす手段としては検討の価値はあるだろう。

関連リンク:Quesa
カテゴリ:ライブラリ, オープンソース, グラフィックス


WebSTARの次期バージョン4.3はSherlockの検索などを強化

4D社は、Mac OSで稼動するインターネットサーバ製品「WebSTAR Server Suite」の次期バージョンであるVer.4.3についてのアナウンスを行った。性能の向上を始め、Sherlockベースの検索エンジン機能により、たとえば日本語のインデックス作成にも対応する。近々ベータベストを開始するが、正式リリース時には現行ユーザはフリーでアップデートできる。WebSTAR Server Suiteでは、Web、FTP、メールなどのサーバ機能に加えて、リモート管理もできるようになっている。価格は$599。

関連リンク:4D Inc. Announces Plans for WebSTAR Server Suite 4.3
カテゴリ:サーバー関連


【Inside Mac OS X】Javaの開発環境としてもProjectBulider

Mac OS Xには、Java2が搭載されるが、Sun Microsystemsからの発表にあるように、Java2 Ver.1.3が搭載される。Mac OS XがJavaをOSの重要な1つのフレームワークとして位置付けている点は、ある意味ではWindowsとの大きな違いであると言えるだろう。
Inside Mac OS X: Overviewのp49からJava環境についての解説がある。まず重要なのは、100% Pure JavaのアプリケーションやアプレットをMac OS Xで稼動できるということだ。つまり、AWTやSwingコンポーネントを使ったアプリケーションの稼動がMac OS Xで可能なのである。さらに、CocoaのアプリケーションフレームワークもJavaから利用できることになる。つまり、Javaのアプリケーションで、純粋なJavaアプリケーションも、Cocoa対応アプリケーションも作成できる。さらに、これらを混在させるということも可能だと書かれている。さらに、Javaのアプリケーションから、JNI(Java Native Interface)を利用することで、Carbonのフレームワークも利用できる。なお、AWTはCarbonをベースにしているため、AWTの上位レイヤであるSwingも含めて、純粋Javaアプリケーションは、システムレベルではCarbon対応アプリケーションと見ることができるだろう。
開発環境としては、javac、jdb、javap、javadoc、appletviewerなどが付属するとしている。これらを「コマンドライン環境」と呼んでおり、おそらくはSolaris版などのJava2 SDKを利用できるようにしたものと考えられる。MRJではコンパイラやアプレット実行アプリケーションは独特のものだったが、Mac OS XではとりあえずはUNIXレベルのものが提供されるものと思われる。そして、これらを使うフロントエンドとしてProjectBuliderが紹介されている。つまり、ProjectBuilderのGUI環境から、コマンドラインのjavacなどを呼び出して、コンパイルやデバッグができるというのが1つの開発環境となる。また、付属のjavacなどを利用してのサードパーティの開発ツールの可能性も示唆している。言い換えれば、ユーザインタフェース部分だけの作り込みで開発環境が実現するということになるだろう。ここで、「java」コマンドが紹介されていない。おそらく、アプリケーションの実行環境としては、何か別のものが用意されるのではないかと考えられるが、そのあたりの詳細は見当たらなかった。
Mac OS X環境では、Core Foundationにより、文字列処理やプロパティなどの基本的なデータ処理がサポートされている。しかしながら、Javaでプログラムを作成するときには、java.systemパッケージなど、基本的なデータ処理クラスは豊富に提供されており、そちらを利用するのが基本となる。ネットワーク処理についてもやはりJavaの標準ライブラリを使うことになる。

カテゴリ:Java, アップルからの開発資料, 開発情報