Macintosh Developer Online (MDOnline)


2000年9月14日発行号 - Public Beta日本で入手できず



Mac OS X Public Betaは結局日本にいては手に入らないということになってしまいました。かなり拍子抜けという気分です。デベロッパ向けのものを待つとしても早くて再来週の頭でしょうか。雑誌の仕事で手にはいるかも知れませんが、それを使ってMDOnlineに記事を書くにはそれなりに交渉が必要でしょう。いずれにしても、Mac OS X Public Betaの記事をMDOnlineでお届けできるようになるには時間がかかりそうです。
限られた言語でだけしかリリースできなかったのは、やはり開発が遅れたことを如実に物語っていませんでしょうか。DP4のことは機密ですから詳しくは言えませんが、WWDCに行った人でその場でインストールをした人の間では「だいじょうぶか?」という声も上がっていました。ひらぎのフォントはMacWIRE情報によると入っているそうで、たぶん、システムの基本部分は日本語もOKなのだと思います。だけど、いろんな理由で日本語システムとしての動きに問題が出たので、今回のような日本語版は後からというスケジュールになっているのは明白でしょう。各国語版を1つのCD-ROMにまとめて出すということもMac OS Xの1つの売りだったわけですが、さっそくそれも崩れてしまいました。
今年のはじめくらいは、夏になったら自分のデスクトップもMac OS Xに移行かと思っていましたけど、WWDCごろには年明けかなと思うようになりました。今は、来年のWWDC明けくらいからMac OS Xを作業用のマックで使うようになるのじゃないかという心づもりになってきました。いつまでも夢を見さされているみたいな感覚になってきました。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


Mac OS X Public Beta公開されるも日本国内のユーザは手も足も出ず

2000年9月13日にMac OS Xの公開ベータ版「Mac OS X Public Beta」がリリースされた。パリで開催されているApple expo 2000の会場で販売されるとともに、AppleStoreで$29.95で販売が開始された。残念ながら、英語、ドイツ語、フランス語に対応したバージョンだけとなっている。また、オンライン販売も米国のAppleStoreだけで行われているため、つまり、日本のユーザはパリに行った人でなければ、13日には入手できないということである。AppleStoreのPublic Beta販売ページを見ると、ソフトウエアライセンスへのリンクがあるが、これは評価と開発のための利用に限るという内容のライセンスのようで、デベロッパ向けのもののような機密保持を要求するものではないようだ。ADCメンバに対しては、別途、開発ツールを含むPublic Betaが配付されることが表明されているが、筆者のところには執筆時点では到着していない。
販売サイトでは、Public Betaの期限を正式版の発売日ないしは2001/5/15の早い方となっている。後者の日付はWWDC 2001の時期に近いが、WWDCは5/21から開始される。正式版の発売は、2001年前半という表現になっている(原文はearly 2001)。

Mac OS Xは1996年末にアップルがネクストコンピュータ社の買収によって得たOPENSTEPをベースに、次世代Mac OSとして開発されてきたものだ。Mac OSに織り込めなかったメモリ保護、プリエンティティブマルチタスクを実現する、より進化したOSだ。また、コア部分はMach、BSDといった実績のあるUNIXシステムを採用したものであり、折しもオープンソースソフトウエアのブームにも連動することとなる。紆余曲折があったものの、最終的にはMac OS 9と同等な環境を用意したBlueBox、Mac OS 9との互換性が高く新しいOSの機能も利用可能なCarbon、そしてネクスト社が構築してきた高性能なフレームワークの発展系であるCocoaという3つのフレームワークを提供するという形となった。グラフィックスシステムとしては、2D系ではPDFベースのQuartz、業界標準の3DライブラリであるOpenGL、メディア系としてQuickTimeをサポートする。ユーザインタフェースもAquaという統一したデザインでまとめられ、Mac OSのFinderのテイストと、ネクスト以来のWorkspace Managerを統合した新しいデスクトップとなっている。Dockと呼ばれるアプリケーションや文書の呼び出し、あるいは開いているものをアイコンで管理するなど、より進化したユーザインタフェースが搭載されている。Java2をサポートし、Swingを使えば、Aquaユーザインタフェースを純粋なJavaアプリケーションからでも利用できる。日本語環境については、OpenTypeを標準としてひらぎのフォントを採用するなど、パブリッシング分野へ強くコミットしたものとなっている。

関連リンク:アップル、Mac OS X Public Betaをリリース
カテゴリ:Mac OS X, Mac OSテクノロジー


新しいiBookは低価格ビデオ編集ノートパソコン

Apple expo 2000で発表された製品に関してまとめておこう。製品に関する詳細などは、ニュースリリースなどを御覧いただきたい。

まずはなんと言っても、iBookのリニューアルだろう。噂がずっと出ていた(というか、そうなることは必然的でもあるのだが)、FireWire搭載となり、iMovie2が標準で添付されるようになったところだ。これで、iMacのもっとも安いモデルを除き、すべてFireWire搭載となった。記憶装置接続はもちろんだが、当然ながらDVビデオを接続して、映像編集を楽しもうというのが主旨である。映像を利用するという点でリードしたいという方向性はこれでより強く出せるだろう。ただ、一方で、800×600ドットの液晶ディスプレイのままである。どうしようもないというわけではないが、今時はiMacでもより高い解像度で使っているユーザも多いことだろう。高い解像度に慣れてしまうと絶対に低い解像度には移ることができなくなってしまう。もっとも、高い解像度のディスプレイを使うと価格に反映されるということもあるだろうが、やはりスペック的にはいちばん見劣りする部分だ。なお、Windowsのノートパソコンも同価格帯のものは一般には、800×600ドットである。Windowsノートパソコンでも高性能機を中心に一部ではFireWire搭載は始まっている。傾向を見る限りは、「低価格でもFireWire搭載」というのがiBookの特徴となると言えるだろう。ノートパソコンでビデオ編集をしたいけど、20万円しか予算がないというような場合の選択肢になりそうだ。iBook special editionではDVD-ROMになっている点も注目したい。
また、カラーをインディゴやライムに変更した点も大きな特徴だろうこのあたりは、Macintoshに注目している人たちを飽きさせないということも言えるかもしれない。iMacの現行モデルは比較的彩度の低いカラーにシフトしているものの、iBookにはライムカラーという彩度の高いものがある点が特徴と言える。
◇iBook
 http://www.apple.co.jp/ibook/index.html

グラフィックスカードに、ATI社の新しいチップであるRADEONを搭載したものを利用できるようにもなった。AppleStoreでのBTOで、12,000円の追加でRADEONボードを搭載できる。RADEONの特徴は3D処理の高速化ということで総括できるだろう。ジオメトリエンジンやレンダリングエンジンとして高速なものが搭載されており、3D画像の生成やマッピングなどの画像合成を高速にできる。ATI社のRADEONのプレスリリースを読む限りでは、Mac OSでもOpenGLに対するアクセラレーション機能が利用できることから、たとえばOpenGLベースのゲームや3D合成ソフトなどをより高速に稼動できることが期待できる。また、HDTVのデコーダも含み、MPEGのアクセラレーションにも対応している。DVDについてはApple DVD Playerとの互換性も確保されている。DDR(Double Data Rate)メモリは、アップルの場合には32MBが搭載されるようだ。これは、画像バッファのビデオメモリだけではなく、3D合成でも使われるメモリである。なお、ATI社からは、AGPおよびPCIのRADEONボードが販売されるようだが、日本のATI社のページにはまだ価格は掲載されていなかった。
◇アップル、Power Mac G4およびPower Mac G4 Cube向けに、最新のRadeonグラフィックスカードを提供
 http://www.apple.co.jp/news/2000/sep/13radeon.html

カテゴリ:Macintosh本体


KeyspanがUSB-シリアルアダプタのMac OS X対応ドライバをデベロッパに提供

Keyspan社は、USBポートに接続してシリアルポートを利用できるようにするアダプタ「USB Twin Serial Adapter」のMac OS X Public Beta対応のドライバを開発したが、開発者に対してこのドライバを無償で提供する。macosx@keyspan.com宛にメールを送ることで、申し込みを行う。シリアル端子がMacintoshからなくなってはいるものの、まだまだ利用はされており、アダプタの利用は続くと考えられる。ドライバを提供しKeyspan製品にアプリケーションなどが対応することを促進することによって、Kyesapn製品の利用や売り上げにつなげる考えだ。

関連リンク:Keyspan
カテゴリ:周辺機器, Mac OS X


iBook Developer Noteが新発売マシンに合わせて更新

AppleがリリースしているiBookに関する技術情報をまとめた文書「iBook Developer Note」が、2000年9月13日に発売された新製品を受けて、更新されている。iBook Developer Noteには、CPUなどの内部の回路や、周辺機器接続の端子などを含めたアーキテクチャ、メモリの拡張に関する仕様などがまとめられている。従来のiBookとの違いが表にまとめられているあたりは有用な情報だろう。CPUやハードディスクサイズにくわえて、グラフィックスチップがRAGE MobilityからRAGE Mobility 128になり、ビデオRAMが4MBから8MBにアップしていることなどが分かる。

関連リンク:iBook Developer Note
カテゴリ:アップルからの開発資料, iBook