Macintosh Developer Online (MDOnline)


2000年10月19日発行号 - Mac OS Xのバンドルモデル



Mac OS X Public BetaをインストールしたMacintoshをアニーズ・クラフトさんとヘリオグラフさんが売り出します。まだ、アップルは日本ではMac OS Xバンドルマシンはアナウンスしていません。両社のMac OS Xにかける強い意気込みが感じられます。MDOnlineの購読権についても御提供させてもらいますが、Mac OS Xに関してはもっともっと深く追求をしたいと思いますので、読者の方も、リクエストや情報などをお気軽にいただければと思います。
今日のPalmの記事は厳しいものとなりました。日本での料金や、課金体制について質問が出ているのに、全然答えにならない返答をするなど、ごまかしているというよりちょっと誠意を感じられないものでした。記者会見ならもっと突っ込まれることは必至だと思うけど、開発者会議のキーノートの場なのでそういうこともなかったですけど。ビジネスモデルを提示しないというのは大きな損失を何年後かに追うでしょう。日本のケイタイ文化をなめてかかっているのじゃないかという気も若干ですが感じます。PDAの高いシェアもワイアレス時代にもキープするためにクリアすべきハードルはまだまだあるのじゃないかと思いました。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


Mac OS X Public BetaをインストールしたPower Mac G4をアニーズ・クラフトとヘリオグラフが発売

アニーズ・クラフトとヘリオグラフの両社は、Mac OS X Public Beta日本語版をバンドルしたPower Mac G4を販売開始した。3つのOSが付属する「トリプル・ブートモデル」と、2つのOSが付属する「デュアル・ブートモデル」がある。トリプル・ブートモデルは、シングルプロセッサのPower Mac G4 500MHzにメモリやハードディスクを増設して512MBのメモリ、40GBのハードディスクを搭載する。Mac OS 9、Mac OS X Public Beta、Mac OS X Serverの3種類の日本語版OSをインストールし起動可能な状態として出荷する。価格は428,000円だ。「デュアル・ブートモデル」は、Gigabit EthernetタイプのPower Mac G4 400MHzに、メモリ256MBのメモリを増設し、Mac OS 9に加えてMac OS X Public Betaをインストールしたものとなる。こちらは価格は248,000円だ。いずれのモデルにも、Macintosh分野の開発やシステム管理情報を日刊のメールで届けるMacintosh Developer Online(MDOnline、ローカス発行)の1年間の購読権が付属する。また、Mac OS X向けのフリーソフトなど様々な情報が詰まった「Big Green CD for X Ver.1」も付属する。
Mac OS X向けのデータベースエンジン「OpenBase」の日本総代理店を務めるヘリオグラフや、販売やシステム構築を行うアニーズ・クラフトでは、注目は集まりながらも情報が不足するMac OS Xに対するサポート対応の負荷がかかりはじめている。電源オンでMac OS Xが稼動するマシンをソリューションとして提供することで、サポートの問題を回避することが狙いの1つである。アップルコンピュータよりも先にサードベンダーから「Mac OS X搭載のMacintosh」についての販売を開始することになった。今一つ盛り上がらないという評価のMac OS Xではあるが、力を入れている会社もあることがより浮き彫りになるだろう。

◇株式会社アニーズ・クラフト
 http://www.annies.co.jp/

◇株式会社ヘリオグラフ
 http://www.helio.co.jp/

カテゴリ:Power Mac, Mac OS X, サービス


Palmのワイアレスサービスに関する開発者会議が開催

2000年10月19日、パームコンピューティングは、東京の全日空ホテルで「Wireless Summit 2000」を開催し、Palmの世界でのオンラインサービスの開発者向けにサービスをアピールした。この日は1日かけてコンテンツプロバイダー向けの説明会となっていたが内容については機密扱いとなっている。しかしながら、午前中のキーノートセッションは報道機関に対して公開され、Palmのオンラインサービスの方向性や概要が公開された。まず、Palm, Inc.のCMOサジブ・チャヒル氏(Appleに在籍したこともある)によるPalm社の戦略が披露された。新機種のm100が個人ユーザの裾野を広げることになることや、市場シェアとして66%を得ており、これまで900万台を販売したことを紹介し、Palmが他社を圧倒するシェアを持つことをアピールした。続いて、ジャストシステム浮川和宣氏が登場し、日本語入力について折り畳み式のキーボードを取り出し(セッション後に日本でもキーボードは発売される予定があるといった話もあったが、USキーボードであるとのことだ)、Palm向けのインプットメソッドのATOK Pocketの紹介を行った。
Palm, Inc.のCOOであるバリーコトル氏が登場し、Palm.Netについての説明を行った。モバイルの普及条件として、パーソナリゼーションとローカライゼーションを挙げている。PIM機能に加えて、MyPalmポータル、アプリケーションによる付加価値といった構成要素を紹介した。MyPalmポータルによって、ユーザが独自に自分の参照するコンテンツの整理ができる機能などを紹介した。「Webクリッピング」は、Palmサイズの画面に表示するWebコンテンツで、HTMLで作成できる。オンライン販売や広告など、従来型のインターネットビジネスモデルをサポートする。販売支援など、エンタープライズアプリケーションの可能性も広げるものだとした。パームコンピューティング代表取締役のクレイグウィル氏が日本でのワイアレスコンテンツの展開を説明した。2001年の上半期にサービスを開始する。ビジネスユーザが中心と見ており、携帯電話でニーズを満たされないユーザをターゲットとする。リアルタイム性が必要なものやトランザクション系処理はサイトに直接アクセスするWebクリッピング、大きなデータのダウンロードはHotSync経由が適していると、既存機能との使いわけを提案する。さらに電話機能とデータ処理を高い次元で備えた次世代機についても、すでにノキア、モトローラ、京セラとともに開発作業に入っていることも紹介した。
そして、パームコンピューティングのデベロッパサポート矢内健治氏より、日本語版の説明があった。BizTech、駅前探検倶楽部などがサービスの提供を予定している。実際に稼動しているデモとして読売新聞のサービスが紹介された。iモード向けのサービスをPalm向けにしたもので、ニュース一覧からいろいろなニュースをジャンプして参照できるといったものだ。クリエイティブ・リンク(ワインガイドなどを提供)からは、開発のサンプルとしてレストランガイド(askU.com)が紹介された。利用者がレビューを書くコミュニティ型情報サイトだ。レストラインガイドでは、検索画面が出てきて評価レートとともにレストラン一覧が出てくるといったものだ。アーバス(ロケーションホスティングサービスを提供している)では、Palmを利用した位置情報の提供やシステム開発のサポートを行う予定だ。
なお、開発情報はwww.palmos-japan.comに情報をアップされる予定で、ツール類の取得にはソリューションンプロバイダ登録と、機密契約の締結が必要になる。今日は開発ツールのベータ版は配付を予定されていたが実現できなくなったことも告げられた。そして最後に、開発への積極的な参加を呼び掛けた。
日本でのPalmのネットワークサービスはDocomoのネットワークを利用する点がすでに公開されている。米国では8Kbpsのスピードなのに比べてより高速なネットワーク環境が提供できるとしているものの、日本でのネットワーク接続の価格体系などは何の発表もなかった。価格体系はユーザ層やユーザ行動に大きく影響するが、こうした情報がなければビジネスプランを立てることもできないと思ったベンダーも多かったことだろう。また、Webクリッピングサービスについてはiモードのような課金システムの整備を望む声がデモを行った人の口からも出るほどであったが、Palm側からはそれに関しては明確な約束や方針などは何も出されなかった。ネットワークサービスのカギを握るのはPalm自体の性能などはもちろんだが、魅力的なコンテンツを提供できるかどうかということにかかっている。iモードという先行するビジネスモデルがあるにも関わらず、収益モデルを開発者にこの時期に明確に提示できないのは大きな損失となるだろう。Palm市場はコアなマニア向け市場から、ビジネスフィールドへと変化している。開発者を鼓舞するためのイベントではあるものの、キーノートを聞く限りでは市場環境へのPalm社の取り組みに疑問を持った開発者もいただろう。

カテゴリ:Palm & PDA, サービス


Mac OS X Public Betaでは複数のEthernetカードは使えない

Tech Info Libraryに公開された文書によると、Mac OS X Public Betaで複数のEthernetインタフェースを同時にアクティブにすることができない。こうした動作については将来的に変更される予定もある。このTech Info Libraryの文書では、複数のネットワークカードを認識してしまった場合の一方を無効にする方法が手順で示されている。これは場合によっては複数のネットワークカードを認識するということがあることを示すものと考えられる。認識可能なEthernetカードについての説明はない。

関連リンク:Mac OS X Public Beta: Network Services Do Not Work With Multiple Network
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), ネットワーク, Mac OS X


内蔵モデム用のファームウエアのアップデータがリリース

Macintosh本体に内蔵されたモデムのファームウエアのアップデータがリリースされている。US向け版と国際版が出ており、ドキュメントでは、PowerBook G3 Series、iMac、Power Macintosh G3 (Blue and White)、Power Macintosh G4 (PCI and AGP)向けとなっている。なお、FireWire対応のPowerBookでもアップデート作業は行えた。また、国際版では、モデムの国選択を行うユーティリティModem Country Selectorが付属しており、これでJapanを選択できるので、このアップデータを日本語システムに適用しても基本的には問題ないものと思われる。このアップデートによって接続の安定性などを向上したということだが、V.34(33kまでの接続)での接続性が高くなったとしている。これまでだと低速接続でうまくいかない場合があったが、その点がアップデータで修正されたとしている。しかしながら、内蔵モデムを利用しているユーザすべてにアップデートが勧められている。もちろん、V90およびK56flexプロトコルに自動判別も含めて対応している。なおアップデート後に接続速度を再度確認して、規定よりも遅い場合にはTech Info Libraryの文書を参照して対処してほしいということも記載されている。

関連リンク:Apple Modem Updater Ver.2.0
カテゴリ:周辺機器, OS関連ソフトウエア


署名付きJavaアプレットを利用する方法を説明した文書が更新

Javaのアプレットはセキュリティを確保するために機能が制約されているが、JDK 1.1で導入された署名付きアプレットとすることによって、機能制約を解除することができる。Mac OSでのJava環境においてのアプレットの署名付与やあるいはアプレットの利用方法等が説明されたTechnoteの文書が更新されている。この文書には日本語版も用意されている。署名を行うユーティリティなどがMRJ SDKで用意されているが、実際に署名を有効にするためのプログラミングについては記載されていない。そうした情報は、Javaの一般的な手法がそのまま使えるということだが、この文書ではMRJでの独特の事情を中心に説明されたものとなっている。

関連リンク:TN1175:Applet Signing with MRJ and Javakey
カテゴリ:Technote, ブラウザ, Java


telnetを使って2台のコンピュータでOpen Firmwareのデバッグを行う

TechnoteにOpen Firmwareのデバッグを2台のコンピュータを使って行う方法が記載されている。Open Firmwareはtelnetサーバとして動く機能があって、それにクライアントから接続することでデバッグが可能になるというもの。デバッグ可能かどうかの判別方法や、Ethernetでの接続方法などが説明されている。

関連リンク:TN2004:Debugging Open Firmware Using Telnet
カテゴリ:開発情報