Macintosh Developer Online (MDOnline)


2001年5月17日発行号 - WWDC情報



Eazelが業務を停止したようです。アンディーハーツフィールド氏など、Appleというか、Macintoshの初期の頃の主要メンバーが顔を揃え、Linuxのユーザインタフェースを大きく改良する画期的なソフトウエアを開発するということであったのですが、いちおうのリリースは見たものの、結果的に事業を存続できないという状況になりました。
http://www.eazel.com/
設立当初から、どうやって資金を回収するのかが不明確な点は指摘されていましたけど、収益源を確保できなかったということでしょう。また、いちおうのリリースを見たNautilusというソフトについては、完成に近づくほど評判が聞かれなくなってきていました。これもドット・コム不況のあおりと言えばそれまでですが、要はそういった期待値だけで投資が行われていたということの証拠であるとも言えるのではないでしょうか。もっとも、ベンチャー投資と言えばそんなものだと言えばそんなものなのかもしれません。オープンソースでNautilusを開発していましたけど、結果的にオープンソースにしたもので収益を得るということはほんとうに難しいということでしょう。サポートやコンサルティングで収入を得るか、有名になって半間接的な収入を得るのかということしか、お金のインプットはないというわけでしょう。以前に「オープンソース」という書籍が話題になりましたが、結果的にどうやってオープンソースでかせいでいるかということはうまく避けた書き方になっており、要はそうした開発者は優秀なのでそれなりの給料でやとってもらえるというような論旨でした。つまりは一部の人以外はオープンソースのプロジェクトにかかわることは直接には収入には結びつかず、極端に言えば、ボランティアで成り立っていると言えるわけです。Eazelの業務停止は、オープンソースでビジネスは成り立つとは限らないという証拠になったと言えるかもしれません。ところで、MacHack 2001でEazel関係者がキーノートセッションをするのですが、どうするのだろうなと思ったりもします。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


倉橋浩一、じつはWebObjectsで飯食ってます》WWDCの1週間の過ごし方

例によって余談から。

出張に出ると、出発までスケジュールをこなすためにムリをしたり、食事が変わったり、ホテルの空気が乾燥していたりするせいで、風邪を引きやすくなります。風邪気味かなと思ったら、水分を多めに取って、アスピリンを飲み、布団をかぶって汗をかく、のが一番ですが、背中の肩胛骨の間にあるツボを暖めるとかなり症状が軽くなります。風門というツボなんですが、ここに下着の上からカイロを貼っていると、熱があって寒気がするような場合でも、体全体が暖まります。寝る前はもちろん、熱っぽくてそれでも仕事にいかなければならないような場合でも、よく効きます。

いえ、松尾編集長がだいぶ苦労されているようなので、ちょっと風邪対策など。どうぞお大事に。

サンディエゴは今朝(5月16日 7am)も寒いです。クルマの温度計によれば10度とのことでした。私がいま居るのは、Homestead villageという宿で、日本のウイークリーマンションみたいなところです。1泊100ドルぐらいで、キッチンがついています。ちょっと疲れているので、昨日近所のスーパーで買ってきたステーキと洗面器一杯分のサラダで朝から気合いを入れてます。

さて、WWDCの開催されるサンノゼ(こっちの人はサンホセやサンホゼなどと発音しているようです)での生活について。まぁたかだか1週間で生活というのは大げさかもしれませんけども。

まず生活の拠点となるホテルですが、今更遅いですが、会場に近くて便利なのは、ヒルトン、クラウン、フェアモントあたりでしょうか。特にヒルトンは会場と棟続きなので、ちょっとトイレに、ってんで部屋に戻ることも可能です。それなりのお値段なのですが、内装調度などはビジネスホテルというところです(もちろんニッポンのビジネスホテルなんかとは比べものにならないぐらい広いですが)。フェアモントは会場から300mほど離れていますが、ある程度の格式があって、しかも、アメリカ的で堅苦しいところがないので、ニッポンでの日頃の疲れをとるにはいいかもしれません。目の前がちょっとした公園になっていて、リスが走ってたりします。

これらのホテル以外はちょっと遠くにあります。ライトレールという市電やタクシーに乗り合わせたりして通うことになります。ライトレールは、昼間はわりと健全でのどかな雰囲気なのですが、日が落ちるとちょっと怖いです^^;。もちろん、WWDCそのものは明るいうちに終わりますけども、日本人デベロッパ同士で情報交換するというWWDCのもう一つの重要な活動をこなしていると、店の外に出ると真っ暗になってたりします。サマータイムのせいで、8時ごろはまだ十分明るかったりするんですが。こういう場合には、前記ホテルや会場の前でタクシーを捕まえます。英語で説明するのが苦手でも、ホテルにチェックインしたときにもらうホテルカードを見せれば、なんの問題もありません。ちなみに、あまり英語の上手でない運転手さんも多いですから、まぁお互い様ですね(そういう問題ではないか)。

チップについてもご質問をいただきました。これも旅行ガイドごとにばらばらだったりしますし、こちらで生活している人に聞いても、これでOK!!という決め手に欠けます。

ので、以下、少なくとも少なすぎることはない、という線を....。


月〜金の朝・昼食は、WWDC会場内でアップルが用意してくれます。これらは無料、というか参加費に含まれています。朝は、会場のロビーにパン、コーヒー、ジュース、牛乳などが用意されていますので、勝手にとって、立ったまま、あるいは牛のように床に座り込んで、モゴモゴ食べます。会場内はほぼ全域でAirMac接続が用意されているので、食事をしながらメールチェックをする人が多いです。昼食はビュッフェ形式で、会場内のひろーい部屋でわさわさ食べます。美味しいと感じるか否かは、まぁ普段の食生活次第ですが、「アメリカ料理って手を加えない方がうまいよね」という格言をご紹介するにとどめておきます。まぁ、少なくとも、量はばっちりあります。それ以外の食事は会場の外のレストランやホテルで取ることになりますが、周辺に中華料理やイタリア料理の店、それにマクドナルドやサブウエイなどいろいろ揃っています。他の日本人、たとえば革のチョッキにチョンマゲ頭+不良サングラスという大変目立つ姿のSさんをみかけたら声をかけてみてください。アメリカ料理の恐怖の世界にあなたを案内してくれると思います。日本食が食べたければ、ライトレールで10分ほどのJapan Townにある「ゴンベイ」という定食屋がお勧めです。日本語も通じますし、出てくる食事も日本と遜色ありません(私のお薦めは親子丼)。日本と違うのは、出てくる量がアメリカ的なことです。だいたいニッポンの二倍くらいの量があると思っていれば、それほどショックを受けなくて済むと思います。どこのレストランも量はものすごいのですが、ゴンベイでうっかりメインの定食の他に豆腐(ゴンベイのとなりは豆腐屋さん、これがまた美味しい)サラダを頼んだりすると、背骨が痛むくらいお腹いっぱいになります。恐ろしいもので、アメリカについたころはとても食べきれないのですが、3日ほどで胃袋が広がって、食べきれるようになってしまいます。現地では、朝から夕方までびっしりと濃い技術会議に出ているわけですから、かなり消耗しますから食事をしっかりとっておかないと、負けてしまいます。

さて、会議そのものについてですが、基本的にはアップルの担当者の話を拝聴する、という形式です。もちろん全部英語ですが、日本語の同時通訳が用意されていますのでご安心を。テーマ毎に部屋にわかれて、同時にいくつかの講義が行われており、どっちを聞くか悩むこともありますが、同時通訳を聞くために配られるレシーバーを隣の部屋のチャンネルにあわせて、居ながらにして複数の部屋の講義をつまみぐいするという手も可能です。

つまみぐいといえば、3時ごろの休憩では、パンの山があったところに今度はスナック類やコカコーラが、山のように用意されます。日本で普段おやつを食べる習慣のない人でも何故かつい手が伸びてしまいます。

会議の内容そのものは非公開です。そのため、講義が終わったら、同じコマを聞いていた日本人をとっつかまえて、そのコマでの話について確認したりしておくとよいです。同時通訳で聞いていた人と、英語で直接聞いていた人とで、微妙に情報が異なっていたりして、頭を抱えたりすることもしばしですが。また業界ごと、たとえば日本のWebObjectsデベロッパが一同に集結する非公式のパーティー(ピザ屋でビールを飲みながら、ですが)などがあちこちで開催されていますので、最後の講義が終わったら、すばやく同業者をみつけましょう。実は、この手の情報交換会は、会議そのものと同じくらい大事ですから、機会を逃がしてはいけません。

帰国はくれぐれも寝坊しないように。木曜日あたりから、疲れがたまってくるのか、会議に遅れてくる人が増えます。そのままだんだん起きる時間が遅くなってしまう人も多く、帰国日の朝、ホテルのロビーを走っている方をお見かけします。

アメリカのお土産ですが、普段、ニッポンにもあるようなものが多いので、悩みます。空港で買うと、そういうありきたりのものになってしまいます。私のお薦めは、日用雑貨です。会場の近くにあるスーパーなどを覗いてみては如何でしょうか。サンノゼにあったかどうか記憶にないのですが、「Bed Bath & Beyond」という寝具・浴室用品のお店には、オクサマへのおみやげに良さそうなものがゴロゴロしています。なお、入浴剤のたぐいは、やめた方が無難です。日本の入浴剤の10倍ぐらい強烈なニオイがします。

私は自分へのお土産として、日本では手に入らないデブサイズの服を買って帰ります。たとえば、ポロのパンツなど日本では34インチまでしかありませんが、こっちだと普通に40インチのものが並んでいます。値段も半分くらいで買えますし。日本だとようやくサイズを見つけても、好みのデザインを「選ぶ」などという贅沢ができないのですが、こちらだとよりどりみどりだったりします。

今年は日本から何人くらいいらっしゃるのでしょうか。お会いするのを楽しみにしています(って少し先輩づら?)。
[倉橋浩一/テクニカル・ピット]

関連リンク:WebObjectsのページ
カテゴリ:イベント, 倉橋浩一、じつはWebObjectsで飯食っています


倉橋浩一、じつはWebObjectsで飯食ってます》アメリカでドライブ

クルマの運転についてお問い合わせいただきました。

えーと、国際免許は、東京の場合、パスポートと写真と免許証を持参すれば即日交付してもらえます。手数料は2600円です。

レンタカーは日本で手配しておきましょう。ハーツゴールドメンバーになっておくと、空港で書類を書かずに、送迎バスを降りるとすぐそのままクルマに乗り込むことができます。料金は、保険を全部入れて、ナビ(ネバーロストという)を付けて、ミディアムサイズ(日本でいえば、マキシマぐらい?)を1週間かりて4万円ほどです。なお、クレジットカードは必須です。

で、運転そのものについては触れません。貴方のリスクでどうぞ。右側通行左側通行にはわりとすぐ慣れますが、信号のない交差点の左折は、安全確認に確信が持てるまで時間がかかります。それと、高速道路上での制限速度はかなりシビアです。日本の様に制限速度の20Km/h増しぐらいはOK、ということはありません。....私は今日身をもって体験してしまいました。というわけで、それ以降はしっかり65mphで走ってます(ジャグワーSが泣いてるぜ)。

クルマがあると本当に便利です。それに、アメリカについて、運転してはじめてわかることがあったりもします。せっかく大枚はたいてWWDCに参加するのなら、異文化との遭遇ってのも面白いかと。
[倉橋浩一/テクニカル・ピット]

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Cocoaのアプリケーションでウインドウの上部に配置されるツールバーを作成する方法

Sample Codesで公開された「ToolbarSample」は、Cocoaアプリケーションで、ツールバーをウインドウに付加する方法を説明したものである。Project BuilderとInterface Builderの文書として提供されている。記述言語はObjective-Cである。アプリケーション自体は、ツールバーとテキストフィールドが表示されたウインドウがあり、ツールバーを操作することで、テキストフィールドの文字の書式が変化するといったものだ。Interface Builderの文書では、NSTextViewだけが配置されたウインドウがまず定義されている。そのウインドウにツールバーが実際には配置されるのであるが、NSToolBarのオブジェクト自体はプログラムソースで生成している。また、NSToolBarのオブジェクトからDelegateするといった設定もソースプログラム側で記述されている。ツールバーには、ボタンやポップアップメニュー、アップダウンボタンなどがあるが、単なるボタンはソースで直接生成してツールバーに追加されているものの、ポップアップメニューはカスタムビューを定義してそれをツールバーに追加するようにしている。カスタムビューに配置されたコンポーネントと、Controllerと名付けられた処理プログラムを記述するクラスのインスタンスとのOutletやActionのつながりをInterface Builderで確認した上で、プログラムソースを参照すると良いだろう。

関連リンク:ToolbarSample 1.0
カテゴリ:アップルからの開発資料, ProjectBuilder/Interface Builder, Cocoa


TIL》Mac OS XのClassic環境で利用できるコントロールパネルと機能制約

Tech Info Libraryに、Mac OS XのClassic環境でのコントロールパネル利用についての開設文書が掲載された。Mac OS X自体の設定は、システム環境設定アプリケーションを使うのが基本であるが、Classicのコントロールパネルも利用できるものもある。また、機能が制約されていたり、あるいはいっさい利用のできない場合もある。この文書では、各コントロールパネルごとになにができるのかといったことや、機能しない場合は、システム環境設定のどの機能を使えばいいのかなどがまとめられている。

関連リンク:Mac OS X 10.x: Using Mac OS 9 Control Panels in Classic Environment
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), Classic


PCのゲーム開発で実績のあるサウンドライブラリがMac OSに対応

RAD Game Tools社は、これまでPC向けにリリースされていたサウンド用ライブラリの「Miles Sound System」をMac OS向けにもリリースした。Ver.6.1からMac OS対応となっている。Miles Sound Systemは、デジタルオーディオやMIDI、CDオーディオ、3Dオーディオ、ボイスチャット、MP3やADPCMの処理といったサウンド機能を扱うライブラリで、これまでに2500もの多くのゲームアプリケーションに採用されてきたとしている。プロダクトごとにライセンス料として$4,000などの価格体系となっている。ツールなどを含めたSDKも作られている。また、Miles Sound SystemはMP3フォーマットの再配布のライセンスも受けている。

関連リンク:RAD Game Tools
カテゴリ:ライブラリ


Waves in Motion社のFileMaker用プラグインがMac OS Xに対応

Waves in Motionは、FileMaker Pro 5.5に対応するプラグインについて、Mac OS Xでのネイティブ化したことを発表した。Mac OS Xに対応するのは、oAzium Events 3.0、oAzium Date & Time 3.0、oAzium String Functions 2.0、oAzium Portal Filter 1.0の4つで、ほかのプラグインについても順次Mac OS Xに対応するとしている。oAzium Events 3.0($89)は、決められた時間にスクリプトを実行することができる。oAzium Date & Time 3.0($49)は、日付や時刻に関するデータの処理を行う。oAzium String Functions 2.0($49)は文字列の処理を行う機能を提供する。oAzium Portal Filter 1.0($49)はフィルタ機能を持つフィールドを実現する。

関連リンク:Waves in Motion
カテゴリ:ライブラリ