Macintosh Developer Online (MDOnline)


2001年6月17日発行号 - MOSAセミナーの報告



まずは、Objective-C本の当選者発表ですが、その前に締め切りを6/9としていました。つまり、1週間間違えていたわけで、大変申し訳ありません。みなさん、鋭いので、特に気にかけずに応募していただきましたけど、とりあえず再募集はせずに、16日までの申し込み分で抽選を行いました。不手際をお許しください。当選者は以下の通りです。なんだか、別の方に運が向き始めたような…。例によって家庭内別人阿弥陀籤法抽選者名隠匿籤引系統で行っています。

Objective-C本当選者(敬称略):綾木健一郎、平井 康之

なお、応募総数は、過去最高の34人様でした。これで、32冊は確実に売れるわけで、広文社さんよかったですね。

昨日はMOSAのセミナーがありましたけど、今回は私はセミナーに出っぱなしだったので、apeXでもおなじみの森恒三さんにテキストを作成してもらいました。ちょっと長丁場なセミナーだったですが、WWDCの雰囲気は別の形で来ていただいた方々にお伝えできたかと思います。なお、そのときに耳にはさんだのですが、14日に開催される予定だったWebアプリケーションのセミナーは中止になっていたとかです…。記事にしながら中心になったことをお伝えできずに申し訳ありませんでした。
さて、何度もお伝えしていますが、次は火曜日19日に配信をしますが、その後、25日ないしは26日の配信の間まで、お休みをいただきます。手術を受けるので、いわば病欠です。鼻の手術なんですが何人もの方々にお見舞いのメールをいただき、またご心配も広げていることもあるかもしれませんので、19日の前文で少し詳しいことをお伝えするつもりです。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


MOSA・第4回テクニカルセミナー開催、テーマは「Mac OS X開発環境」と「WWDC報告会」

2001年6月16日、MOSA(Macintosh OS Software Association)が主催する第4回テクニカルセミナーが東京・神田の中央大学駿河台記念館で行われた。今回は、今後本格化していくであろうMac OS X環境に向けたセミナーと、2001年5月下旬に開催されたアップルの国際開発者会議であるWWDC(World Wode Developers Conference)の報告会という二部構成。第一部のセミナーでは、コーシングラフィックシステムズの高橋政明氏と、MDOnline編集長の新居雅行氏がそれぞれ講演した。

高橋氏の講演は「nibベースのカーボンアプリケーション作成」と題したもので、Mac OS XのDeveloper Toolsに含まれているサンプルなどを用いて、Carbon対応アプリケーション開発におけるメリットと問題点を解説。nibとはNext Interface Builderの略で、Interface Builderを用いて生成できるインターフェイス部分を指す。nibベースにすることで、インターフェイスの設計がより簡便になり、またアップルの示すガイドラインへの適合も行いやすいというメリットを述べ、今後アプリケーション開発の方向性を示した。
シートウインドウの実装など、Mac OS Xらしさを示すインターフェイス設計においてnibベース、すなわちInterface Builderを用いた開発作業の効率性の高さを示す一方、スライダーなど一部のコントロールについてはまだnibだけでフォローできず対応が十分ではないことや、文字フィールドへの日本語入力に不具合がある点などを指摘。今後の改善への期待を述べた。

新居氏は「ネイティブ化へ向かうMac OSの開発環境」と題した講演を行い、「ネイティブとはどういう状態を指すのか?」という根幹的な問いを基軸に、Mac OS Xが備えているCarbon、Cocoa、Javaの各フレームワークについて解説。各環境に即した開発ツールを紹介しつつ、そのフレームワークの現状と今後についての分析や予測を行った。
アプリケーション作成デモでは、Project Builderを用いて、本当に素の状態からの作業を実演し、Cocoa-Java環境で動作するファイル情報確認ツールをその場で作ってみせた。Java(Swing)環境での開発を行うボーランドのJBuilderもデモを行い、その概要を紹介。起動時に「アップルのサイトからJavaをアップデートしろ」というダイアログが出ることをさりげなく紹介し、きっと近いうちになにかあるのではないか(笑)という推測も披露した。

第二部のWWDC報告会では、セミナー講師の2氏に加え、オッティモの小池邦人氏や、MOSAの招待で現地を訪れた学生らが参加して、今年のWWDCの内容を語り合った。小池氏は、セッションの大半がMac OS X関連で、Mac OSのセッションがほとんどなかったことを挙げて、アップルのMac OS Xへの姿勢を改めて感じたと同時に、かつてはMac OS環境とMac OS X環境の橋渡しと考えられていたCarbonが、Mac OS X向けの環境として位置付けられたという点についてコメント。学生からは、「北米からは350人ほどの学生が参加していたのに、日本からは数人だったのは寂しかった」というコメントがあり、小池氏なども、もっと積極的に参加できるようになってほしいと今後の希望を語った。
高橋氏、新居氏とも、「もう後戻りはできない(アップルは後戻りするつもりはない)」と感じたと述べ、今後は確実にMac OS Xへ移行していくことになると語った。今回の2氏のセミナーは、これからMac OS X向けアプリケーションを開発していく人に向けたもので、わずかずつではあっても状況が確実に動いていることを示している。「珍しく開発ツールが充実している」というコメントもあったが、それもまた今後の展開を支える要素として重要なものと言えるだろう。

WWDCそのものについては、特に新しい技術や新製品の発表があったわけでもなく、地味な印象が強かったという。セッションの内容はすべて機密保持というわりに、紹介されている情報は既知のものがほとんどで機密にすべきものは少なかったとも言えるが、これまでのノリから比べると、開発者会議としてはまっとうなものと言えるのではないかという意見もあった。
今回のテクニカルセミナーは、Mac OS Xの開発に関する現状を整理し、今後を考える素材を提供したものと言える。大手アプリケーションベンダーを始め、対応製品の動向が判然としない状況でもあり、ユーザー環境も含めて急激な変化は起こらないという推測は、恐らくそのとおりになるだろう。だからこそ、これから本格的に始まるMac OS X環境に向けて、今のうちにしっかりと押さえるべきところを押さえておくということが、今後の長丁場を乗り切る上で欠かせない基盤となるはずだ。その意味で、今回のセミナーは有意義だったと言えるだろう。

[森 恒三(もり こうぞう)] 編集者・ライター。Mac専門誌の制作、Web雑誌の制作などを経て、現在フリーランスとして活動。月刊MACLIFE誌(エクシードプレス)にて展開中の雑誌内雑誌『apeX』編集長。

関連リンク:MOSA
カテゴリ:イベント, 開発情報, Mac OS X


Browsing Mac OS X》Finderのユーザインタフェースを考える-フォルダのナビゲート

Mac OS Xは使っていらっしゃるだろうか? 筆者の周辺は、Xにどっぷりという人と、全然使っていませんという風にけっこう2分されているように感じる。もちろん、諸事情があって使えないという人もいるかもしれないが、温度差という点ではかなりあるというところだろうか。使っていないという人あるいは、使っているけど高く評価しない人もいるわけだが、ある意味での「悪い評価」につながるポイントはFinderの操作性が変わったところにあるだろう。パフォーマンスはとにかくアップルさんにがんばってくださいとエールを送るしかないが、操作性については言いたいことがいろいろあるというわけだ。Public Betaの頃からさまざまな事が言われているが、こうしたことのうちいくつかのポイントを検証してみたい。
まず、筆者としての見方であるが、Mac OS XのFinderは悪くはないという印象を持った。もちろん、追加して欲しい機能などはことあるごとに記事にしてきたこともあるものの、全体的には悪くはないと思っている。その意味では「肯定派」の意見だとしてそれなりのバイアスをかけて以下の原稿を読んでいただいてもいいかと思う。

さて、Mac OS XのFinderでの大きな変化に、1つのウィンドウの中でフォルダを移動されるようになったのがある。昔のFinderではフォルダのアイコンをダブルクリックすると、新たにウインドウが必ず開かれた。こうした使い勝手に慣れていると、新しいMac OS XのFinderには確かに違和感を覚えるかもしれない。しかも、Windowsの最近の操作体系と近いだけに、余計にヤな気持ちになるひともいるだろう。
同一のウインドウで次々にフォルダが開かれるのが悪いかどうかの議論だが、それは単にその機能だけで結論づけることはできない。というのは、従来のFinderを使っているときにでも、optionキーを押したままフォルダをダブルクリックして開き、元のウインドウを消すということは、一部のユーザは積極的に使っていた手法だ。新たにウインドウを開いたとき、前のウインドウが必要かどうかということは、そのときの目的によって変わる。だから、どちらがいいということは一概に言えないのだ。たとえば、極端な話だけど、ルートから書類フォルダの奥の奥にある文書を単に開きたいだけなら、順々に開く途中のフォルダのウインドウは一般には必要がない。だから、その場合、1つのウインドウでナビゲートして行くので全然問題はないはずだ。一方、ファイルの整理をしたいとか、常に表示していたいウインドウからフォルダを開くときには、元のウインドウは残っていてもらいたいと感じるところだろう。Finderにウィンドウメニューがある点からもそうした使い方をサポートする意図は感じられる。いずれにしても、これらの2つの動作は適材適所なので、いわば「どちらかに固定される」ということが大きな問題じゃないかと思ってしまう。
そこでMac OS Xだが、この2種類の動作を、実はその場その場で切り替えることができるのだ。1つはoptionキーを使ってフォルダをダブルクリックする方法である。もう1つは、ツールバーの表示非表示の機能を使って行う方法だ。筆者としては、後者の方がある意味では手になじんでしまった。先にそちらを説明しよう。
Finderのウインドウでツールバーが出た状態なら、フォルダのアイコンをダブルクリックすると、同じウインドウで別のフォルダの内容を表示するようになる。つまり、それ以前のフォルダの中身は見えなくなる。一方、ウインドウのツールバーが出ていない状態でフォルダをダブルクリックすると、そのウインドウはそのままに新しいウインドウで、ダブルクリックしたフォルダの内容を表示するようになる。ツールバーの表示と非表示の切り替えは、ウインドウのタイトルバーの右端にある透明なボタンをクリックすることでできる。つまり、このタイトルバーの右側のボタンを操作することで、フォルダをダブルクリックしたときの動作を、選択できるという風に考えればいいわけだ。

◇フォルダのツールバーを表示したところ(タイトルバーの右側のスイッチで切り替えられる)
 

◇フォルダのツールバーを非表示にしたところ(タイトルバーの右側のスイッチで切り替えられる)
 

◇ツールバーを表示している状態でフォルダをダブルクリックした。同じウインドウで新たなフォルダの内容を表示する
 

◇ツールバーを非表示の状態でフォルダをダブルクリックした。別のウインドウで新たなフォルダを表示し、元のウインドウも残る
 

ツールバーの表示、非表示のボタンが、シングルウインドウなのかマルチウインドウを使うモードなのかの切り替えにもなるというわけだ。
なお、別の方法での動作切り替えも可能だ。フォルダのツールバーを表示した状態で、フォルダをoption+ダブルクリックすると、現在のウインドウは消えて、新たなウインドウでダブルクリックしたフォルダの内容を表示するようになる。キーコンビネーションをいとわない方は、こっちの方法がスマートかもしれない。いや、むしろ、こちらが本来の意図した動作なのだろう。ちなみに、フォルダのツールバーを表示していない状態でoption+ダブルクリックすると、旧Finderと同じ動作となる。optionは「以前のウインドを隠す」という動作で統一されている。
最初、この事実にぶちあたったときには、ちょっと戸惑った。ある機能があまり関連しない別の機能に対するスイッチになるというのは、ユーザインタフェースの上からは混乱をきたす要因になる。一方で、分かってしまえばOKという話もある。ただやはりこうした機能はショートカット的に使うのがいいとは思う。たとえば、フォルダをcontrol+クリックして表示されるメニューで、「新しいウインドウでフォルダを開く」「同じウインドウでフォルダを開く」というメニュー項目を用意するなどして、標準的な手続きでの動作の選択ができるようにするというのがまず基本にあるというのが筋道ではないだろうか(ちょっとWindowsライクだけど)。その上で、実はこのボタンを使う方法やキーコンビネーションはその機能の切り替えにショートカット的に使えますよという感じはどうだろうか。

Mac OS XのFinderではカラム表示ができるようになった。左から右へ、フォルダの階層がどんどんと深くなって、素早くフォルダの移動ができるという機能である。ファイルを開くときや保存するときのダイアログボックスあるいはシートでは、カラム表示しかできない。まず、この機能はフォルダを移動するときにはきわめてスムーズであると言えるだろう。その点では素早く作業ができる。もちろん、普通の一覧表示やアイコン表示には、ツールバーのボタンだけですぐに切り替わることができるので、やはりこの表示も適材適所に使い分けるというのが効率的な利用のポイントになる。
フォルダの移動は他の方法よりもやっぱりカラム表示は速いと感じる。たとえば、ツールバーにあるホームのボタンをクリックして、そこから、Documents、さらにその中のフォルダに移動して、そこで表示形態をアイコンや一覧に切り替える…こういった手順で、別の階層にあるフォルダに移動することも非常にすばやくできる。これはとても使い勝手がいいと感じる。
一方で、若干の不満がなくもない。まずは、アルファベットでの並び順しかできないことだ。フォルダによっては修正日の逆順で並べることで、目的のフォルダやファイルをすばやく判断できるという場合もある。つまり、フォルダの表示形態がどう設定されているかにかかわらずアルファベット順になってしまうのである。ある程度の解決策としてはフォルダの一覧表示で設定した並び順をそのままカラム適用するという手法もあるとは思うが、どうだろうか? また、カラム幅が一定というのも、場合によっては不便と思うときもあるが、カスタマイズするのもかえって手間だろうし、可変にするのは逆に混乱をきたすかもしれないとも思う。
さて、カラム表示の時にも、ツールバーの表示、非表示で、フォルダのダブルクリックの動作は変化する。これは前に説明したとおりで、表示しているときなら同じウインドウ、非表示なら別のウインドウにフォルダの中身を表示する。カラム表示的な操作体系だと、クリックだとカラム表示でのナビゲート、ダブルクリックだとウインドウの切り替えを伴うナビゲートと区別されている。それなりにうまく操作体系がまとまっていると思うのだがどうだろうか。

ユーザインタフェースは客観的な判断は難しい世界ではあるし、また好みや個人差の影響するところでもある。だけども、主観的な評価手法は確立された世界でもある。一方で、「多数意見」というのは重要視される世界でもある。筆者的にはだいぶんとMac OS Xを使い込んできたこともあり、折に触れて、こうした話題も取り上げてみたいと思う。

カテゴリ:ユーザインタフェース, Browsing Mac OS X


TIL》WebObjects 5からOracleデータベースに接続する方法を説明

Tech Info Libraryに、WebObjects 5でOralceデータベースに接続する方法が詳細に記載された文書が掲載されている。Windows 2000のみで稼働するドライバと、純粋なJavaのドライバがある。それらのドライバの入手方法、インストールの方法、そして、EOModelerでのURLをはじめとする詳細な設定方法が説明されている。WebObjects 5でOralceデータベースを使う人にとっては、必須の情報であり、また、必要なことがすべて書かれていると思われる。

関連リンク:WebObjects 5: How to Use Oracle JDBC drivers
カテゴリ:データベース, WebObjects


Mac OS Xの開発ツールの配布形式は標準添付から“フリーダウンロード”へ

すでに周知の事実ではあるが、Mac OS X Developer Tools 10.0.1が公開されたことがアナウンスされた。このバージョンのツールは、2001年5月に開催されたWWDC 2001の参加者にはCD-ROMで配布されている。ADC(Apple Developer Connection)のメンバーはダウンロードできるようになった。また、2001年7月のメーリングサービスでは、CD-ROMとして配布される。ダウンロードファイルサイズが大きいので、急ぎでなければCD-ROMの到着を待つのもいいだろう。
Ver.10.0.1は、Project Builderのメニューやヘルプが日本語化された他、Interface Builderでの一部が日本語化されるなど、日本のユーザにとっては重要な進歩がある。また、WebObjectsの期間限定版も含まれるなど、一番新しい開発環境がとにかく、販売などといった形式ではなく配布されるということになった。ADCメンバーのOnlineになるのは無料であるが登録が必要になる。
2001年3月24日のMac OS X 10.0.1では、開発ツールまでパッケージに同梱させることが話題になり、賛否両論があった。2001年5月より、Mac OS Xがマシンにプリインストールされることとなったが、そのマシンには開発ツールは添付されておらず、開発ツールの配布形態に変化が生じたと言えるだろう。通信代などがかかるとは言え、とにかくフリーで入手できるという点は変化はない。

関連リンク:ADCNews
カテゴリ:ProjectBuilder/Interface Builder


ソフトウエア設計ツールのMacA&DがバージョンアップしXMLに対応

Excel Softwareは、ソフトウエアエンジニアリングツールのMacA&DをVer.7.3にバージョンアップした。Ver.7.2から約1年ぶりのアップデートである。新しいバージョンでは、XMLのサポートやテストドキュメントの改良などが行われている。設計した内容をXMLファイルの書き出したり、あるいはXMLファイルの定義をもとに設計を行うことができるようになった。そして、テストの手順を示すドキュメントの作成にも対応している。スタンダード版が$495、デスクトップ版が$1295、教育機関向けが$845、開発者向けが$1995となっている。Mac OS 7.0以降で稼働する。

関連リンク:Excel Software Ships MacA&D 7.3
カテゴリ:開発ツール


PCIカードのファームウエアをネットワーク経由でデバッグする方法

Technical Notesに、PCIカードのファームウエアのデバッグを、Ethernet経由で行う方法を記載した文書が掲載された。起動時の動作のデバッグを行う場合の方法で、TFTPデーモンを使ったり、telnetでの接続の方法などが詳しく説明されている。拡張カードの開発者にとっては貴重な情報であるだろう。

関連リンク:http://developer.apple.com/technotes/tn/tn2023.html
カテゴリ:Technote, 周辺機器