Macintosh Developer Online (MDOnline)


2001年10月17日発行号 - スクリプトメニューを使う



iBook、PowerBook G4と新機種が出てきましたが、概ね順当な機能アップと言えそうです。ただ、決算発表の前日に出てくるあたりに、いろいろな事情が見えかくれするという気もします。とりあえず、好印象を与えておいての決算発表ということではないでしょうか。今年は1月のPowerBook G4、5月のiBook、7月のPower Mac G4と新機軸のマシンが出たので、次はiMacというのがだいたい順当な線だと思うのですが、さすがにクリスマス商戦前に大きくラインナップを変更することも考えられないので、やっぱり来年のサンフランシスコでiMacの次のバージョンということになるのかもしれません。一方のWindowsはXPの発売を控え、これが需要の起爆剤になるという業界の方々の話もちらほら聞こえますが、それは楽観的すぎるでしょう。Meがどうだったかを良く考えないと、Windows世界の方はかなりぽしゃると思います。しかも、XPはNTベースになるだけに、周辺機器対応がある意味悪くなるのは必然的に出てくるわけで、本当ならじわじわ変化した方がトラブルがないとも言えます。いずれにしても、Windowsの世界はクリスマスを前にしてある種の混乱が発生することも考えられるわけです。つまり、今までのソリューションが崩れる期間が出るということです。そうした市場にうまく付け込むことができれば、Macintoshも十分に対抗できるとも言えますね。いずれにしても、今回の新製品では、USキーボードがBTOでは選択できるようになっていますが、これもバスケさんたちの署名運動の効果があったと言えるでしょうね。

さて、プレゼントの当選者ですが、以下の方々です。敬称略とさせていただきました。AppleScriptのCDは応募者が少なかったので、全員当選となりました。Excel DB本は12名から応募いただきましたがCDの当選者とは関係なく抽選をしています。まさか用意した冊数を超えるとは思わなかったので(笑)、当選者を1名増やしました。

Excel2002データベース構築法:
 岩城次郎、有賀啓之、伊藤勝良、mast、Yearning、立花茂則
AppleScriptのCD-ROM:
 岩城次郎、有賀啓之、chobi
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


Browsing Mac OS X》スクリプトメニューで、AppleScriptだけでなくシェルやPerlもスタート

Mac OS X 10.1の登場で、AppleScriptが脚光を浴びている。というか、Mac OS X 10.0でもAppleScriptは使えたものの、Finderでのスクリプトがあまり従来とは異なる動きになってしまっていたことから、多くのプログラマはお手上げ状態になってしまっていたのである。もちろん、まだいくらか怪しい面はあるのだが、そうした基本的な部分の不具合もそこそこ解消され、「プログラムを作る気にさせる」くらいまでは来たのがMac OS X 10.1のAppleScriptなのである。
それにも増して、新しい機能がいろいろ増えた点も見逃せない。SOAP対応や、ImageCaptureによる画像処理など新しいコマンド(というかOSAXか)も注目したいところではある。それに、AppleScript Studioという開発環境はこれから発売されるものではあるが、楽しみな環境でもある。まずはScript Menu機能をチェックしよう。Script Menuは、メニューバーの右端の領域にアイコンを表示させ、そこからのプルダウンメニューから既存のスクリプトを実行するという機能である。もちろん、AppleScriptのアプリケーションにすれば、ダブルクリックなりDockからの起動などもできるのであるが、スクリプト系のプログラムは小さなプログラムを多数作って対処する傾向にある。そうした場合、もちろんローンチャ系ユーティリティを使ってもいいのであるが、どこかにまとめて管理して、手軽に呼び出せるようになると便利なのだ。そうしたことを実現するのがScript Menuというわけである。もっとも、Mac OS 9までではOSA Menuというサードパーティ製品がOSに添付されていたこともあり、目新しい機能ではない。Mac OS Xではそうした機能を、Apple自らがサポートしたということである。

Script Menuという便利な機能があるのにもかかわらず、なぜかMac OS X 10.1では標準ではインストールされないので、ダウンロードしなければならない。以下のサイトからダウンロードできる。ダウンロードすると、ScriptMenu.menuというファイルが得られるが、これがスクリプトのメニューを実現する「プラグイン」である。ファイルの種類はMenuExtra pluginとなっている。

◇Script Menu for Mac OS X 10.1
 http://www.apple.com/applescript/macosx/script_menu/

ちなみに利用方法は至極簡単で、このScriptMenu.menuファイルを、メニューバーにドラッグ&ドロップすればそれだけでOKである。ScriptMenu.menuファイルは基本的にはどこにあってもいいようだが、メニューバーにドラッグ&ドロップしてからScriptMenu.menuファイルの位置を移動しない方がいいだろう。これで、再起動してもメニューバーにはきちんとスクリプトメニューが表示されるようになる。インストールはこれだけなのである。
MenuExtra pluginは、最初から組み込まれるバッテリーやAirMac、音量などの設定アイコンでも使われている機能である。既存のプラグインは、/System/Library/CoreServices/Menu Extraというフォルダに存在するので、それじゃあScriptMenu.menuもそこに入れておくのがいいかという話もあるかもしれないが、通常はそのフォルダに対するアクセス権がないので、Finder上で単にドラッグ&ドロップすることでのファイルの移動ができない。いちいちrootでどうこう…というのも面倒なので、1つの推奨できる方法は、自分のホームフォルダのLibraryフォルダの中に、Menu Extraフォルダを作り、そこにScriptMenu.menuを移動させておくことだ。その後にメニューバー上にドラッグ&ドロップする。もちろん、複数のユーザでログインする場合は各アカウントにコピーするか、あるいはSystemフォルダ側へコピーしておくなどの措置をとることになる。
なお、メニューバーの右側にあるメニューアイコンの位置を変更したかったり、あるいはメニューを取り除きたいのなら、Commandキーを押しながらメニューのアイコンをドラッグすればいい。

こうしてインストールすると、いきなりスクリプトメニューにたくさんの項目が表示されるはずである。/Library/Scriptsフォルダ以下の構成がすべて階層メニューとして表示されているのである。

◇スクリプトメニューからすでに項目が選択できるようになっている
 

/Library/ScriptsフォルダはMac OS X 10.1では最初から用意されている。そして、フォルダ内には、たくさんのサンプルというかある程度実用になるスクリプトが用意されている。Scriptsフォルダ内にあるフォルダは、スクリプトメニュー側では階層メニューとなり、Script Editorで作ったコンパイル済みスクリプトのファイル名が、スクリプトメニューの項目になっている。たとえば、「AppleScript Help.scpt」というコンパイル済みスクリプトは、拡張子のscptがついているが、メニュー項目では「AppleScript Help」のように、拡張子は取り除かれている。いずれにしても、拡張子はつけるというのは基本になってきているだけに、こうしたファイル名付けにも早めに慣れたいところだ。

◇Mac OS X 10.1に最初から用意されているスクリプトメニュー用のスクリプト
 

もちろん、スクリプトメニューにあるスクリプトファイルの名前を選択することで、そのスクリプトは実行される。スクリプトメニューは、Classicを除くどのアプリケーションがアクティブなときにも選択できるようになっている。
自分で作ったプログラムについても、/Library/Scriptsメニューに適当にフォルダを作って入れて行ってもいいのであるが、個人で使うプログラムなら、ホームフォルダにあるLibraryフォルダに、Scriptsフォルダに入れておくのがよいだろう。スクリプトメニューの「Open Scripts Folder」という項目を選択すると、ホームのLibraryフォルダにScriptsフォルダが作成されるようではあるが、

◇自分のホーム側にScriptsフォルダを作った場合(「OME」以下の4つの項目がホーム側のScriptsフォルダにあるもの)
 
 

このホームフォルダ内にあるScriptsフォルダの中身もいっしょにスクリプトメニューでは表示してくれる。システム側と、ホームフォルダ側にあるものは分類され、メニュー上では少し隙間ができるようになっている。

スクリプトメニューは、AppleScriptのプログラムを手軽に呼び出すだけに留まらない。非常に便利なことに、Perlのプログラムや、シェルスクリプトのプログラムまでも、スクリプトメニューから呼び出すことができるのである。これらのプログラムは、たとえばTerminalでコマンドとして入力するようなことをやっていたかもしれないが、スクリプトメニューを使えばマウス操作一つで実行できるというわけだ。
シェルスクリプトを作るには、テキストエディタを使って作成すればよい。ファイル名については特に規定はないようで、なんでもかまわないし、日本語のファイル名でも動作する。そして、スクリプトの最初に「#!/bin/sh」という行を作成し、シェルスクリプトであることを明記する。これがないと、スクリプトメニューに項目が現れない。そして、スクリプトのファイルは、必ず改行をLFコードだけのテキストファイルにする必要がある。TextEditで新規に作成した場合にはLFコードになるが、Jeditなどの別のテキストエディタではデフォルトがCRコードになっているので注意が必要だ。また、CRコードを改行にしているテキストをTextEditにコピー&ペーストすると、TextEditでもやはりCRコードを改行にしてしまう。いずれにしても、スクリプトを作るときには確実にLFコードが改行になるようなオプション付き保存ができるエディタを使うのが問題はなさそうだ。ちなみに、シェルスクリプトの標準出力は、UtilitiesフォルダのConsoleというアプリケーションを起動しておけば参照することができる。
Perlのスクリプトの場合も、シェルスクリプトとほぼ同様であるが、1行目は「#!/usr/bin/perl」という行を記載し、2行目以降にPerlでプログラムをどんどんと書き込めばOKである。
シェルスクリプトやPerlのスクリプトは、スクリプトメニューでは独特のアイコンになる。前の図では、「Test」や「Test3」のように書類に#の記号が入ったアイコンがシェルスクリプトである。Perlのスクリプトは書類の中にPの文字が入ったアイコンになる。

Mac OS Xのスクリプティング環境は、AppleScriptだけでなく、Perlやシェルスクリプトにまで広がった。もちろん、プログラム作成やデバッグなどの問題はあるにしても、それらを統合的に手軽につかえるような仕組みをまずは用意してきている点は大いに評価できるポイントであると言えるだろう。

カテゴリ:ユーザインタフェース, AppleScript, Browsing Mac OS X


新iBook、PowerBookG4のハードウエアに関する技術文書が公開

2001年10月16日に発表された新機種の開発者向けドキュメントが早くも公開されている。従来機種との細かい違いがチェックできるので、開発者以外の人にも有用な情報だろう。iBook、PowerBook G4とも、新機軸な機能が組み込まれたわけではないものの、細かいところの性能を順次アップしてきている。また、両機種の最上位モデルではバスクロックが1ランクアップしていることは、Windowsプラットフォームのマシンとの差があった側面だけにある意味では安心感が増すところだ。PowerBook G4へのGigabit Ethernet搭載やAirMac標準添付もステップアップであるが、一方でUSBは2.0仕様になっていないというところもある。また、BTOでは、USキーボードを追加の費用なく選択できるようになったことも、USキーボード派にとっては朗報だと言えるだろう。

◇PowerBook G4 Developer Note
 http://devworld.apple.com/techpubs/hardware/Developer_Notes/Macintosh_CPUs-G4/PowerBook_G4/index.html
2001年10月16日に発表された新しい仕様のPowerBook G4に関する開発者向けの技術情報ドキュメントだ。従来の機種との違いが一覧表になっているので、変更点が分かりやすい。CPUクロックやハードディスク容量の違いはさておき、Level2キャッシュが従来機は1MBのサイズでメインボードに取り付けられており、スピード比が2:1であったが、新機種ではサイズが256KBとなったもののプロセッサに内蔵されており、スピード比は1:1(つまりプロセッサの動作スピードと同速)となった。667MHzマシンではバスクロックは133MHzとなっており、グラフィックス表示機能も従来のAGP 2xからAGP 4x、ディスプレイ用メモリも8MBから16MBへとなっている。また、オプションでCD-RWドライブを利用できることや、Gigabit Ethernet対応、667MHzマシンでのAirMac標準搭載も変更点である。また、ブロック図や拡張ポートなどの詳しい情報も記載されている。

◇iBook Developer Note
 http://devworld.apple.com/techpubs/hardware/Developer_Notes/Macintosh_CPUs-G3/ibook/index.html
2001年10月16日に発表された新しい仕様のiBookに関する開発者向けの技術情報ドキュメントだ。新iBookの新しい機能としては、CPUスピードの変更や、600MHzマシンでのバススピードが100MHzになったこと、ハードディスク容量の増加などが記載されている。ブロックダイアグラムや、接続端子などの詳しい情報がこの文書から得られる。メモリは最初から128MBが搭載されているが、512MBのSO-DIMM(CL2で高さは1.25インチまで)を1つ追加でき、最高で640MBまでのメモリを搭載できる。メモリモジュールについての詳しい仕様も記載されている。

◇PowerBook G4 (Gigabit Ethernet) Technical Specifications
 http://www.info.apple.com/kbnum/n88212
新PowerBook G4の技術仕様がまとめられた文書。タイトルにあるように、この機種はPowerBook G4「Gigabit Ethernet」モデルと呼ぶことになりそうだ。

◇iBook (Late 2001): Technical Specifications
 http://www.info.apple.com/kbnum/n88234
新iBookの技術仕様がまとめられた文書。タイトルにあるように、この機種はiBook「Late 2001」モデルと呼ぶことになりそうだ。

カテゴリ:Macintosh本体, iBook, PowerBook


JavaScript言語でスクリプトを作成可能にする機能拡張が正式にリリース

AppleScriptの開発ツールであるScript Debuggerなどを開発するLate Night Softwareは、Mac OSのスクリプトをJavaScriptを利用して記述可能な機能拡張「JavaScript OSA」をフリーウエアとして正式に公開した。AppleScriptは独自の英語に近い感じの言語でプログラムを記述できるが、システムの機能としては記述言語は1つに固定されていない。相当古くはFrontierが存在したものの、実際にはAppleScriptのオリジナル言語以外に実用的にこうした利用された経緯はなかった。Late Night社では以前からJavaScriptをMac OSのスクリプト言語に利用できるようにする機能拡張を開発していたが、β版は安定性などの問題があった。オープンソースのMozzilaで組み込まれたJavaScript 1.5の処理部分を利用して開発を進めている。AppleScript自体はそれほど難解なものではないとは言え、プログラマは慣れた言語を使いたいと感じる場合もあるだろう。JavaScriptはWebでの標準的な言語だけにプログラミングをマスターしている人も多いだろうが、この機能拡張の存在が、Mac OSでのスクリプト機能を違う側面でアピールできるできる可能性もある。Mac OSおよびMac OS Xのいずれでも利用できる。

関連リンク:JavaScript OSA
カテゴリ:AppleScript


KBase》PowerBook G4のバッテリのLEDが点滅するのは正常な動作

2001年10月に発売されたPowerBook G4のバッテリーには、充電の様子を確認できるLEDが取り付けられているが、そのLEDが点滅していることについて、Knowledge Baseで公開された。点滅しているように見えるのは故障ではなく、それが本来の動作である。一定時間ごとにLEDを消灯して、バッテリーの充電量を正確に測定するために、そうした動作になっていると説明されている。

関連リンク:PowerBook G4 (Gigabit Ethernet): Rechargeable Battery LEDs Flicker While Charging
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), PowerBook


KBase》新iBookや新PowerBook G4に付属のコンパクトなACアダプタ

2001年10月に発売された新しいiBookとPowerBook G4には、新設計のACアダプタが搭載されている。製品紹介ページでのアニメーションGIFでもそれなりに様子はつかめるが、Knowledge Baseに公開された画像では、ACコネクタ部分のとりはずした写真が見えるなど、より詳細が分かるだろう。新しいACアダプタは、本体側へ接続するケーブルをアダプタに巻き付けて収納できることが1つの特徴で、しかも、それがコンパクトにおさまるように工夫されている。また、AC側は4mのケーブルでコンセントに接続できるだけでなく、ACアダプタを直接コンセントに接続できるようなアダプタも利用できるようになっており、利用形態が多彩になっている。なお、この電源アダプタは、2001年5月にモデルチェンジしたiBookや、従来のPowerBook G4でも利用でき、AppleStoreでは\9,500で販売される。

関連リンク:PowerBook and iBook: Apple Power Adapter
カテゴリ:Macintosh本体, Knowledge Base(旧TIL), 周辺機器