Macintosh Developer Online (MDOnline)


1999年10月13日発行号 - MDOnline-パッケージ作成法



オライリーから出版された「オープンソースソフトウエア 彼らはいかにしてビジネススタンダードになったのか」という本を読んでいます。まだ途中ですが、けっこう面白いですね。オープンソフトがなんでビジネスになるのか明解な答えがこれまでは得られなかったけども、シグナスのマイケルティーマンや、ご存知ボブヤングのテキストを見れば、なるほどなとうなずけます。そうか、トマトや調味料は誰でも買うけど、みんなハインツのケチャップを買うわけで、しかもおいしいかどうかよりもブランド力なんですね。それに加えて、いまからどうこうしたところで、先行しているオープンソフトのビジネスリーダーには追いつけないということも感じました。


ビジネス面だけでなく、オープンソースという流れがなぜ起こったのかということにも、この本は答えています。従来方式のソフトウエアやシステム販売は顧客あってのものだったわけで、顧客の意向を優先するあまり、プログラマーの地位は相対的に低くなってきたといえるでしょう。挙げ句の果てには、世間知らずの技術馬鹿的な見られかたもされました。しかし、オープンソフトウエアというムーブメントは、相対的に低くなってきたプログラマーの復権だと読み取れました。コミュニティを形成し自分たちが主役となり、そして世界にムーブメントを広げる。従来型のソフト開発ではプログラマーは上流にいたとしても、川の流れに沿うしかなかった。それが、一連のオープンソースのムーブメントは、上流の湖から海に流れ落ちる滝のように、違う流れを作ってしまったといえるでしょう。


プログラマーたちは、こうして復権し、新しいフィールドを作ったということで満足でしょう。その一方で、こうした動きをしっかりとビジネスにつなげるというセンスとしたたかさこそ、まさに学ぶべきもののようにも思えます。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


Mac OS 9アプリケーションのパッケージの作成方法

Mac OS 9では、パッケージとして、1つのフォルダにアプリケーション本体やヘルプファイル、スクリプトファイル、画像ファイルなど必要なファイルを1つにまとめた形態をサポートする。パッケージとしてまとめたフォルダが、あたかも1つのアプリケーションのように見えるという形式だ。Mac OS X Serverのアプリケーションがすでにそういう形式になっているが、将来のMac OS Xのアプリケーションの形態としても、パッケージと言う形態をサポートするようになる。このパッケージの作成方法について記載された「TN1188: Packages in Mac OS 9」というTechnoteがリリースされた。パッケージ自体はCarbonだけということは記載されておらず、Mac OS 9向けの機能として利用できる模様だ。

パッケージを作るには、それほど難しくはない。1つのフォルダ内に以下のような規則でファイル群が詰め込まれていれば良い。


これだけのことでいい。フラグのビットを立てることでFinderはパッケージと認識するが、クラッシュ後に誤認することがある。その場合、Mac OS 9に付属のPackage First Aidというユーティリティで修復ができる。
また、トップレベルのエイリアスのアイコンがパッケージとなるフォルダのアイコンにもなり、ドラッグ&ドロップ時の振る舞いを決めることになる。なお、このエイリアスのもとはアプリケーションだけでなく、ドキュメントなどでもかまわないとしている。
パッケージのフォルダ内の構造は、以上の規則にあてはまっていれば、自由に設定することができる。独自にサブフォルダを作って、さまざまなファイルを収めておくことができる。

Finderのパッケージサポートに伴って、odocイベントの処理に少し手を加えなければならない。パラメータとして、パッケージの内容をFinderから伝達されるのに対応する必要が出てくる。また、標準ダイアログはパッケージに対応していない点も注意が必要になる。このように、既存のアプリケーションも「パッケージ」へのサポートあるいは配慮が必要になる。なお、開発ツールでは直接パッケージを作る機能はサポートされていないものの、おそらくはある段階で対応するものと思われる。

関連リンク:TN1188: Packages in Mac OS 9
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Mac OS 9では音楽CDのデジタル再生をサポート

Mac OS 9の発表とともに公開された技術文書のうち、マルチメディア関連のものとして、以下のものがある。QuickTimeは小幅な変化だが、サウンドのデジタル化の進展はデータの利用形態にも影響を与えるかもしれない。

◇TN1183: QuickTime 4.0.3
http://devworld.apple.com/technotes/tn/tn1183.html
Mac OS 9に組み込まれているQuickTimeのバージョンは4.0.3となっている。Ver.4から大きな変更はなく、バグ修正が中心だ。変わった点としては、QuickTime Plug-inを使用したときに表示される“Get QuickTime Pro”が1回だけ表示されたことや、QuickTime for Java Ver.3.0.1が組み込まれること。インストーラでのキャンセルボタンが正しく動作するなど、小幅な修正となっている。

◇TN1187: Digital CD Audio
http://devworld.apple.com/technotes/tn/tn1187.html
Mac OS 9では、サウンドの扱いがより高度になっている。CDのサウンドデータをデジタルのままSound Managerが受け取り、それをスピーカーに送り込む。たとえば、USBスピーカーを使うと、CDのデジタルデータがそのままスピーカーに送られて再生されることになる。従来のようにCDドライブからアナログで出力されたサウンドをスピーカーに送り込み、チップがデジタル化してアプリケーションなどに取り込んでいたのと状況は大きく変わる。コントロールパネルには「サウンド」という独立したものが追加され、入力ソースなどをそこで指定できるようになっている。CDやDVDドライバ自体はこうした機能に追随するために修正が必要になるが、その修正内容について記載されている。ただし、Appleのドライバでも、ATAPIのCD/DVDドライブでしかデジタル再生はサポートしていない。iBookでは完全にデジタル化した再生が可能である。サウンド関連アプリケーションでの必要な修正についても少し触れられている。3Dサウンドについても触れられており、音の奥行き間を高めるという効果だが、G3の300MHz機でも、CPUパワーの1.4%しか食わない程度の負荷だということだ。

カテゴリ:Technote, Mac OS 9