Macintosh Developer Online (MDOnline)


2001年12月26日発行号 - コメントには気をつけて…



めっきりニュースは少ない日というか、海外からは全然ないですね。米国はクリスマス休暇期間でしょうけど、動きだすのは来年からというところでしょうか。MacWIREも通常スケジュールじゃなくなっていますけど、とりあえず配信予定記事を流します。Slipper Xはでかい…。昨日に記事でお届けしたSustainable Softworksの「IPNetShareX」ですけど、起動時にNATを動かすというオプションがあります。試しにセットしてみて、さらにログインしない状態でNATが動くのかを見てみましたが、見事に動きました。IPNetShareXがアプリケーションなのですが、システムの起動プロセスにNATを立ち上げるコマンドを入れてるようです。以前、一時期はIPNetRouterを使っていましたが、今度はIPNetShareXにお世話になりそうです。
今月に新しく読者になられた方々の中で13ヶ月購読を申し込まれた方は、購読期限が2002年13月になってしまっていたのにお気付きだったかもしれません。すみません、大バグでした。データは修正して、2003年1月が期限となるようにしてあります。プログラマなみなさんはもうお気付きですね。今まで、最大の購読期間が12ヶ月だったのですが、月が12より大きいと、月から12を引いて、年に1加えるという処理しか組み込まれていませんでした。先月から13ヶ月というパターンとなったため、バグったというわけです。さしずめ12月問題でしょうか。しかし、読者登録のプログラムを作るときには13ヶ月の購読期間を設定するなんてことはまったく頭になかったですからねぇ…といいわけしても仕方ないですね。さっそくプログラムは修正をかけました。ただ、デバッグするのがちょっと手間になるので、もっとも確実な方法として「もし、月が12以上なら」というブロックを思わず2つ並べてしまいました〜苦笑。いずれにしても、12月問題はクリアしました。やれやれ…。
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


富士通製のADSLモデムの中からマックへの罵声が?!

ちょうど忘年会シーズンも終わり、新年会のスケジューリングに忙しい方もいるかもしれないが、Mac関係者にアルコールを注入すると、アップルへの文句がガンガンでてくるといった光景もよく見られる。まあ、酒の上での話で無礼講(と誰が決めたわけでもないけど)として、それでストレス発散するのなら、それなりに許される。だけど、そうした罵声が製品の中に見られたとしたら…。この情報はMDOnlineの読者の田中さんより情報をいただいた。

アッカネットワークスでADSLを導入すると富士通製のモデム「FC3521RA1」がレンタルされてくるのだが、例によって各種の設定はWebブラウザから行える。その設定ツールのソース(/html/jsFolder.js)を見てみると、なんと、次のようなコメントがあったのである。

// force the window to resize to make the v-scrollbar appear. DAMNED MAC!

ソースの前後からすると、Macintosh版のInternet Explorerの場合に、プログラムを書き足して画面のリドローをしないとスクロールバーがでてこないということに対処するらしい。だけど、このプログラムをした人はおそらく最初は何が原因でそんな結果になるのか分からず試行錯誤して苦労させられたのだろう。その結果思わず「DAMNED MAC!」と叫んで…いやキータイプしてしまったらしい。辞書的に訳すと「いまいましいマックめ!」というところだろうけど、さしずめ「マックのくそったれ」に近いのかもしれない。マックの問題かどうかはさておき、当り散らす相手は「マック版のIneternet Explorer」であるべきだろうが、どっちにしても罵声が製品に含まれている。ちなみに、このソースのトップなどに、プログラマの名前として「keng」と書かれている。
もっとも、設定ツールの画面にそうした文字がでてくるなら問題も大きいだろうけど、リンクしているJavaScriptのファイルだけに、わざわざチェックをしないと見えないのは事実だ。別に富士通がアップルを糾弾しようとしてこうしたコメントを入れたわけではないはずだ。おそらく、単なるチェックミスだろう…というか、そこまでチェックをかける必要もなかったと思っていたのかもしれない。ちゃんとチェックすれば、copyrightなどの記述を入れたり、kengなんてプログラマ名は残さないだろう。

プログラムにコメントを入れるのは当然としても、C言語などのコンパイラを通すものなら、その内容は最終製品では消えてしまう。だから、プログラマはある意味では気軽にコメントを書いてしまうかもしれない。だが、HTMLやJavaScriptはテキストファイルだし、プログラマのキータイプ結果はちょっとしたブラウザの操作で見えてしまう。プログラマkeng氏がそれに気付かなかったとまでは思わないけど、まさかお客さんに見られるとは思わなかっただろう。また、製品の検収においてのチェックポイントとして、富士通は考慮していなかったのかもしれない。いずれにしても、プログラマとしては場合によってはコメントは見られることもあるということを状況によっては意識しておく必要はあるだろう。もっとも、コメントを書いているだけましじゃないかという意見もあるかもしれない…。

カテゴリ:業界動向


ファクトリーから4Dで画像やビデオなどをデータベース化可能なプラグインが発売

ファクトリーはデータベースの4th Dimension(4D)で、画像やビデオなどのマルチメディアデータのデータベースを実現するプラグイン「4D Image Filing Tools Ver.1.1」をリリースした。Macintosh版とWindows版があり、それぞれ128,000円となっている。ファイルとして存在する画像やビデオなどを、データベースで管理することができる。データベース自体にはパス情報を記録するため、データベース自体に過剰なデータが記録されることはなく、処理速度の低下も押さえられる。フォーム上には画像などをある程度加工しての表示を行うことなどもできるようになっている。外部ファイルの操作などの機能も提供する。MacintoshとWindowsの混在環境でも利用できるようになっている。

関連リンク:4D Image Filing Tools
カテゴリ:ライブラリ


【MacWIRE配信予定】Browsing Mac OS X》Slipper Xを使う(1)ちょっとでかいがやっとモバイルできるようになった

SUNTACの「Slipper X」(\9,800)の登場で、Mac OS Xでモバイルをやっと本格的にできるようになった。それまでにも携帯電話のUSBケーブルは発売されていたが、9600bpsでの通信というのはあまりに前時代的だ。しかしながら、Slipper Xを使えば、AirH”やP-inなど64kbpsの通信手段をMac OS Xでも使えるようになるのである。利用可能なカードや注意事項については、末尾にある製品の紹介ページを御覧いただきたい。2001年12月の後半に販売を開始したが、購入価格は6,800円であった。筆者はもちろんMac OS Xをメインに使っている。モバイル通信手段としては、SIIのPCカードMC-6550とH”のPHSを使っているが、どうしてもPHSでしか接続できないときには、Mac OS 9で起動してインターネット接続をしていたのである。
以下の写真は、Slipper Xに、MC-6550を差し込んだところだ。青いボックスがSlipper Xである。MC-6550からPHSに接続している。Slipper XからPowerBook G4へはUSB接続を行う。もちろん、iBook等でもかまわない。Slipper Xと本体を接続するUSBケーブルは、Slipper Xに付属する。

◇Slipper XにPHS用カードを差し込んだ
 

Mac OS Xで使うときには、システムには何もインストールはしなくてもかまわない。Slipper XとMac OS Xが、USBドライバCDC(Communication Device Class)に対応しているため、Mac OS Xは即座にモデムが接続されたと認識されるということである。CDCはUSBを介して接続される通信機器の規格である。USBという基本的な通信手段に加えて、こうしたデバイスクラスといったいろいろな接続機器とのやりとりに対する規格が作られているのである。Mac OS XやMac OS 9はUSB対応はもちろんだが、さらに加えてCDCにも対応しているということである。規格などは以下のページで参照できるが、一般ユーザ向けのものではないのでそのつもりでいたほうがいいだろう。

◇USB: Developers Document
 http://www.usb.org/developers/docs.html

その意味では、Mac OS Xでの利用は極めて手軽であると言える。実際のOSの操作を説明する前に、まずはこのSlipper Xのサイズについては一言言いたくなる。あまりにも大きいのだ。ただ、軽いのはいいのだが、ここまで軽いのならもっとコンパクトに作れないのかと思ってしまう。前の写真にあるようなサイズなのだが、なんといっても厚みが3.5cmほどもあるというところがより大きさを目立たせてしまう。いろいろ理由はあるとは思うのだが、モバイルは極限までのコンパクトさを要求したいところでもあるだけに、残念なところである。思わず「これじゃあまるでスリッパじゃないか!」と思ってしまったが、その意味では絶妙な製品名だということだろう。

さらに、これはSlipper Xの問題ではないとは言え、このSlipper XをPowerBook G4で使わないといけないという状況自体がイラつかされるとでも言えばいいだろうか。もはやiBookのようにPCカードスロットがない本体もあるものの、PowerBook G4にはまだPCカードスロットがあり、Mac OS 9では問題なく通信カードが使える。しかしながら、Mac OS XでPCカードの通信カードを使うには、そのPCカードスロットを使わないで、さらに外付けの大きなSlipper Xが必要になってしまうという状況なのである。Mac OS XでPCカードモデムをサポートするのがいつになるか分からない状況では、今現在モバイルをしたいとなると、このSlipper Xを使うしかない。また、電話をUSB端子に直接つないで64kbpsでの通信ができるという手段も、まだMac OS X向けには存在しない。いずれ状況は変わるとは言え、もう発売から1年近くも経過しようとしているMac OS Xの状況を如実に表していると言えるだろう。だが、当面は、この大きなSlipper Xを持ち歩くしかないというのが実情なのである。

気を取り直して、実際に設定を行ってみよう。設定は極めて簡単だが、Slipper Xのマニュアルは残念ながら、Mac OS X 10.0での説明となっている。10.1ではそこでの説明よりも簡単に作業ができる。Slipper XをUSB端子に接続し、通信カードなどを装着して、システム環境設定を呼び出す。そして、「ネットワーク」のアイコンをクリックする。ここで、新しい接続手段が存在する場合には、次のようなメッセージがでてくるので、「OK」ボタンをクリックする。

◇「ネットワーク」の設定パネルを呼び出すと自動的にポートとして検出される
 

もし、複数の「場所」の設定をしている場合には、Slipper Xを追加したい場所をあらかじめ選択してから、システム環境設定を呼び出すのが良いだろう。現在選択されている「場所」にSlipper Xのポートを追加するからである。
ポートを認識してOKボタンをクリックすると、現在の場所に「SUNTAC Slipper X」というポートが追加される。このポートでの設定はほとんど「内蔵モデム」と同じである。TCP/IPでは通常はPPPを使用するようにして、ネームサーバのIPアドレスを指定する。PPPのタブではプロバイダの電話番号とログインのアカウントを指定する。「モデム」のタブでは、実際に使っている通信カードを選択する。各種通信カードなどのCCLがすでにMac OS Xに付属しているのであるが、もし、一覧にない場合には、/Library/Modem Scriptsフォルダに通信カードなどに付属するCCLファイルをインストールするが、それでもない場合にはSlipper Xに付属する汎用のCCLをインストールして使ってみることになる。

◇「モデム」のタブで、使用している通信アダプタの種類を選択
 

さらにここで、「メニューバーにモデムステータスを表示する」のチェックボックスをオンにしておくと、メニューバー右側にモデムマークのアイコンがでてきて、接続などの操作が手軽にできる。

◇メニューバーに表示されたモデムステータス
 

メニューバーのモデムステータスのアイコンで、使用するモデムとして、SUNTAC Slipper Xを選んでおく。そして、「接続」メニューを選択すれば実際に接続を行う。接続を切るには、同じくモデムステータスのメニューから「接続解除」のメニューを選択すればいい。システム環境設定のネットワークの設定にあるPPPオプションで、インターネット通信のリクエストがあれば自動的に電話をかけるということが可能とはなっているが、一般にはなるべく通信時間は短くしたいと考える。そして、必要なときに手動で接続して、手動で切るというのが一般的だと思われる。それなら、モデムのステータスメニューの操作だけで概ねできてしまう。接続しているかどうかは、メニューバーのアイコンで判別できるようにもなっている。

なお、接続結果はInternet Connectではもう少し詳しく確認できる。Utilitiesフォルダにあるあるアプリケーションではあるが、これもモデムステータスのアイコンから選択して呼び出すのが手軽だ。Internet Connectでは接続状況や通信速度、通信時間などが確認できる。

◇Internet Connectで接続状況を確認する
 

Slipper Xを接続している状況はApple System Profilerでももちろん確認はできるので、うまく行かない場合はまずはApple System ProfilerでUSBポートに接続されているのが認識されているのかを確認すると良いだろう。
(この項、続く)

関連リンク:Slipper X
カテゴリ:周辺機器, インターネット全般


【MacWIRE配信予定】Browsing Mac OS X》Slipper Xを使う(1)モバイル通信を考える

FOMAの登場や次世代のPHSなど、見ている間に通信の状況は変化するかもしれない。ところが、H”が登場してきたのが1999年中ごろだったかと思うが、モバイラにとっては2年半ほどは最大通信速度が64kbpsでずっと推移してきていた。常時接続環境が爆発的に高速になったのは格別な状況だったかもしれないが、そうした通信環境の変化を思えばモバイル環境的にはそれほど大きな変化があったとも言いにくい。Mac OS XでもPCカードモデムをスロットに差し込んで使えるようにドライバが開発されるかもしれないし、そうなると、筆者の環境ではSlipper Xは使わなくてもよくなる。もっとも、いきなりFOMAのiモード携帯電話がUSBでつながるとなると、H”のPHSから乗り換えるかもしれないし、USBケーブルで直接H”に接続できるときも来るのかもしれない。だけども、そうした変化がいつやってくるかは定かでないだけに、ちょっと大きさにびびってしまったSlipper Xではあるが購入して使うことに決めたという次第だ。いずれにしても、Mac OS 9を使う機会がこれでさらに減ったのは確かである。

余談1:Mac OS Xから現状のUSBケーブルタイプのアダプタでPHSなどに接続して通信するためには、おそらく、Mac OS Xのドライバが必要なのだと思われる。Mac OS X用のドライバの開発は、新しいOSだけにコストがかかるためにメーカーとしては手を出さない可能性は十分にある。一方、携帯電話に接続できるCDC対応のケーブルタイプのアダプタがある。だが、これは携帯電話だけしか使えない。こうしたケーブルのPHS対応版は発売されないのかと思ってしまうが、携帯電話向けがあるだけに少しは期待したいところだ。つまり、ドライバが開発されるか、CDC対応のPHS向けのUSBケーブルタイプのアダプタが発売されるかということになるが、そうこうしているうちに通信の状況に変化があるかもしれない。確かなことは何もないということだ。スマートに接続できるようになったときには、現状の機材がみんな入れ代わっているという可能性もあるだろう。

余談2:となると、やはり現状で、現実的な期待を集めるのはFOMAだが、パソコンとの接続方法にはPCカードタイプとUSBケーブルタイプがあり、いずれもWindowsにしか対応していない。MacWIREで濱田さんが苦労してMac OS 9で使った記事があったが、FOMA接続のPCカードをMac OS XでのSlipper Xで使えるかどうかは非常に興味があるところだ(SUNTACの商品紹介ページの対応通信アダプタにはFOMAのPCカードは含まれていない)。筆者は残念ながらFOMAは持っていないので確認はできない。そして、FOMAのUSB接続に関しても、やはりCDC対応ということは記載されていない。となると、やはりX向けのドライバを作成するとは思えないので、ドライバでの対応への期待は薄い。一方、SUNTACのU-Cable typeD3(携帯電話を接続するUSBケーブルタイプのアダプタでCDC対応)では503シリーズなどのiモードの電話も含まれているので、ちょっとは期待をしてしまう。ただ、同ケーブルはFOMA対応ではない。やはりFOMAの次世代機あたりで、Mac OS Xにさくっとつながるような仕組みになってくれることを期待するしかないのだろうか。
(この項、以上)

関連リンク:Slipper X
カテゴリ:周辺機器, インターネット全般