Macintosh Developer Online (MDOnline)


2002年1月25日発行号 - Office Xがやってきた



Excelの記事を書くので、古いバージョンのことを調べようと思ったのですが、けっこう自分の著書が役に立ちました。Excel 4.0のWindow版、Mac版以来、そういえば、ほぼ必ずすべてのバージョンで、Excelの本を出しています。ただ、Mac版は残念ながら、エクシードプレスから出していたので、Office Xの本は残念ながらどうも実現しそうにないですね…これで途切れることになるかなというところです。だけど、古い本を引っ張りだして眺めていると、まだ10年も経過していないのに、こんなに世界が違うのかと思うくらい、画面の中の風景は激変していますね。BNNから出した「Excel 4.0入門」は私の著書のうちでいちばん数多く売れたものの1つなんですが、バージョン変わってもじわじわ売れていたくらいですから、読者の方も持ってらっしゃる方もけっこういらっしゃるでしょうね。もっとも、もう不要になって処分されたかもしれません…。だけど、画面はグレースケールどころか白黒2値です。1993年だからたぶん、PowerBook 170あたりを使っていたのだと記憶しています。
さて、久しぶりにプレゼントがあります。WebObjects 5.1のサンプル版です。CD-ROM3枚組で、それぞれMac版Windows版のWO5.1の評価版、そしてDeveloper Tools Dec 2001のCD-ROMです。今回は抽選とさせていただきますが、もしあまれば2次募集ということで運営します。これがあれば、とにかくWebObjectsの開発を体験することができます。

===============================プレゼント
WebObjects 5.1評価版(20個、アップルコンピュータ提供)
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(新居雅行 msyk@mdonline.jp


【MacWIRE配信予定】Microsoft Office v.X for MacのExcelをチェックする(1)

X対応のOfficeをチェックするシリーズはちょっとマイペースすぎて申し訳ない。発売までに全ソフトクリアするかと思ったら、ちょっと甘かった。今回はExcelについて説明をしたいが、その前に、事前に予約購入していた方のところには、宅配便でOffice Xが到着しているところだろう。筆者のところも25日の午後に到着した。例によって少し凝ったパッケージである。

Macユーザのうち特に古くからのユーザには、Excelに関する思い入れの深い人は多いと思う。筆者ももちろんその1人であり、最初にMacを使いはじめたほんとに大きな理由は「Excelがあるから」だ。当時、MS-DOSの世界で1-2-3全盛期でもあった。筆者が今の会社に入った当時、会社は1-2-3の書籍等で、それなりに1-2-3の世界では知られた会社だったこともあって、当然1-2-3を使うということも仕事に含まれていた。当時の逆引きシリーズのいくつかでは筆者としても参加した。だけど、やっぱり1-2-3は必要があるときしか使わなかったのである。普段はもちろん、Macintosh Plusで動かしていたExcelだ。GUIであるということ、そして、なんといってもマルチウインドウであるということが大きな違いだ。さらに、メニューで操作できるといった、今となっては当たり前のことが当時としてはExcelを使うことで得られる大きなメリットだったのである。1-2-3は確かに慣れると早いのだけど、当時のプリンタの水準だとミシン目にページの切れ目をあわせるのが「テクニック」だった時代だ(もっとも、だからこそ書籍が売れたのではあるが…)。ところが、MacでExcelだと、そんなことはどうでもよくって、何も考える必要がない。さらに、マクロといった機能も、当時のExcelは関数で書くという今思えばとんでもない仕様だが、それでも、時としてアセンブラより分かりにくい1-2-3のマクロよりかははるかに「言語」であったと言えるだろう。(そんなこんなで、ブツブツといいながら会社で1-2-3を使っているのを笑いながらたしなめ、そこでのディスカッションを次のネタにつなげていた上司は、残念ながら2年前に他界した。)

いずれにしても、その後のWindowsに移植された最初のExcelのできばえに、卒倒はしたものの、Excel 4.0あたりからWindows版も実用的になってきて、Windows 3.1/Excel 5.0、Windows 95/Excel 7.0と進む当たりで、Windowsという市場でExcelはビッグなソフトになっていった。もともとMacでしか使えなかったExcelであるが、それをもとにWindows版を作ったというよりも、Windows版は独自に構築したのではないだろうかと思われる。逆に従来のMac系列のものは、Excel 4.0としていったん途切れて、Windows向けに開発していたものをMacintoshでも動くようにしたという感じのExcel 5.0となる。もちろん、根本的なテイストは変わっていないのであるが、なんというかMacで先行していたExcelという環境は、Windowsが先行しそれをMac版が後追いするようになったのである。また5.0での大きな変化は、ドラッグ&ドロップやオートフィル、マルチシート、Visual Basicの採用など、現在のExcelの原型になるものだ。全体的にOfficeはWindowsのもので、それをMacでも動くようにしました…という雰囲気が強くなってきた。そのため、Windows版ほどの軽快な動作ができない状態になってしまい、Excel 4.0をずっと使い続けたという人も当時は多かったと記憶する。そうこうしているうちに、Macintosh版のOfficeはアップデートされないという状況になってしまった。Windows 95をMicrosoftはリリースをし、Internet Explorerを出すなど「Windowsプラットフォーム」の強化を図っている時期だったからだ。
そして、1998年、やっとのことで、Office 98 for Macintoshがリリースされた。そして、Excel 2001、Excel Xと、Macintosh版としてのOfficeのシリーズが展開されてきた。単にWindowsにあるものを移植するのではなく、Macintoshという環境にマッチしたExcelを作るといった点がこれまでと違うところである。

ただ、Excel 1.0.6とかいった時代からExcelを使っている人はよく理解できると思うが、バージョンが新しくなっても、やろうとしていることは、表を作って罫線を引いてSUM関数を入力することだ。確かにドラッグ&ドロップとか、マルチシートと言った大きな変換点はあるものの、スタイルの上では80年代のExcelは表計算ソフトの1つの完成を見ていると言ってもよい。言い換えれば、90年代はその完成した形の上にいろいろな機能を追加したといったところだろう。Windows版では特にデータベースのフロントエンドという使い方を発展させたため、企業ユーザに受け入れられた面が多分にある。Mac版ではそうした機能は弱いのではあるが、Excel 2001から導入されている「設定パレット」といったユーザインタフェースは、ちょっとAdobeのアプリケーションを思わせるGUIでもあり、その意味では「Mac的」な機能なのであろう。ただ、いずれにしても、新しい機能ということは、もはや表計算ソフトの世界ではあまり話題にはなりにくいと言える。もちろん、Excel Xの大きな特徴は、Mac OS Xネイティブで稼働するということだ。Classicで動かすExcel 2001に比べて起動も速く、フォルダ名が31バイトを超えると開けないと言った根本的な問題も解決されている。
そんな中で、Excel Xの大きなトピックと言えば、やはりQuartzを使ったとされるグラフィックスの透過度の設定だろう。シートに配置したスマートオブジェクトに対しては、設定パレットを使って、透過度を設定できる。

◇オブジェクトの透過度は設定パレットで設定できる
 

一方、グラフの場合には、系列のパターンにあるグラデーションの設定に「透過度」という設定が加わっている。

◇透過度の設定は書式のパターンのグラデーション設定のところで行う
 

なぜかグラデーションの場合にだけ透過度が設定できるようになっている。1色の塗りつぶしに透過度の設定をするには、2色のグラデーションを指定して、両方の色を同じにするとうことになる。
いずれにしても、こうして、グラフの塗りつぶしを透明にすると、当然ながら後ろ側が透けて見えるのである。以下の図には2つのグラフがあるが、下のグラフは透過を設定していないもので、上のグラフは手前から2つ目の系列に透過を設定した。

◇グラフの系列に透過の設定を行った
 

なるほど、いずれにしても、見栄えをよくする機能は加わったと言えるだろう。ただ、実は少し問題がある。オブジェクトに設定した透過の設定は印刷においても有効であるが、グラフに設定した透過の設定は印刷時には無視されるのである。以下はプレビュー結果ではあるが、実際にインクジェットプリンタで印刷しても、棒グラフは画面のようには透過していなかった。

◇透過のあるグラフを印刷してみた(プレビュー)
 

透過の機能は確かにおもしろいが、やはり印刷まではサポートしてほしいところである。また、グラフを画像としてコピーしてペーストすると、透過度を設定したグラフの部分は非常に荒いドット丸見えの画像となり、これはスマートオブジェクトでも同様だ。ちょっといい機能なのだが、このバージョンでは使い方を注意する必要があるということも言えるだろう。
(続く)

カテゴリ:文書作成アプリケーション


【MacWIRE配信予定】Microsoft Office v.X for MacのExcelをチェックする(2)

Excel Xでは、書類の復元機能がそこそこ強力になった。Excelが何らかの理由で正常に終了しなかった場合、それまでに編集していた内容をExcelを再度立ち上げたときに開く。もちろん、一定時間ごとに保存をしているのであるが、以前に比べてやはり安心度は高くなったと言えるだろう。もっとも、Mac OS Xは落ちることが少ないことになっているが、どうも落ちるときはある。ヘルプをいろいろ触ったり、ショートカットをいろいろ試していると、何度か落ちることを経験した。

Excel Xでは、セルをダブルクリックして編集するときに、単にボックスで囲われるだけでなく、影付きの浮き出したボックスがでてきて、そこでセルの内容を編集できるようになっている。いずれにしても、見栄えは確かに良くなった。
それから、キーボードショートカットは、Excel 98までは昔からのものが踏襲されていたが、Excel 2001からはWindows版とそろえられることになった。Command+Dで下へコピーができなくなって嘆いているベテランユーザーもいたかもしれない。また、行の挿入や削除もショートカットが変更された。これについては困った人だけではなく、Windows版のExcelも使っている人に取っては、かえって助かったということもあるだろう。ただ、どうもキーボードショートカットが機能していない。たとえば、control+shift+[+]が機能していないのはExcel 2001からなのだが、Excel Xではキーボードメニューを「U.S.」にするとこのショートカットは機能するようである。このあたり、手に馴染んでいたい操作だけに、少し残念である。

いずれにしても、長年使い慣れたExcelはAppleの次世代OSであるMac OS X(もう、次とも言えないか)の上でも立派に使えるようになったという点は、やはりいちばん大きなトピックではないだろうか。
(この項、以上)

カテゴリ:文書作成アプリケーション


Java Watch on the X》4 - アプリケーションをパッケージとしてビルドする(7)システムプロパティの追加

Mac OS Xのパッケージアプリケーションでは、そのアプリケーションの中だけで指定するプロパティについても、MRJApp.propertiesファイル、あるいはInfo.plistファイルで指定することができる。MRJApp.propertiesには、

 プロパティ = 値

の形式で記述すればよい。
また、Info.plistファイルは、プロジェクトの編集での「アプリケーション設定」で「詳細設定」を選択して、そこで項目を加えるが、Java→Propertiesといういずれも辞書形式の項目の下に新たに文字列型の項目を作って加えれば良い。

◇Info.plistに設定するプロパティ
 

もちろん、規定のシステムプロパティでも、独自のプロパティでも指定できる。規定のシステムプロパティは、たとえば図ではfile.encoding = x-euc-jpという指定が加わる。これによって、そのアプリケーションが実行する環境でのシステムプロパティfile.encodingの値が変更されるわけだ。ちなみに、優先される言語が日本語なら、file.encodingの値はSJISになっている。
file.encodingは、たとえばjava.io.FileWriterクラスでファイル書き込みを行うとき、StringクラスのUnicode文字列を、file.encodingの値に従って文字コード変換を行なってファイルに保存する。file.encodingの変更をしないでアプリケーションを動かせば、FileWriterによってシフトJISコードでファイルに書き込まれるが、たとえばそれをソースの変更いっさいなくEUCで書き出すということも可能というわけである。
こうしたシステムプロパティの書き換えは、javaコマンドで実行するときには-Dオプションを使ったりするが、Mac OS Xのパッケージでは、Info.plistに設定を書き込むことができるというわけだ。

アプリケーションパッケージ関連の設定についてはこれで一段落ということにしたい。

カテゴリ:ProjectBuilder/Interface Builder, Java, Java Watch on the X


KBase》QuickTakeの画像ファイルはMac OS Xでは開くことができない

QuickTake 100/150で撮影した画像は、独特のコーデックが採用されているが、そのコーデックはMac OS Xには組み込まれていない。そのため、iPhotoで読み込もうとしてもエラーが出ることがKnowledge Baseで公開された。QuickTakeで撮影したデータは、Mac OS 9でJPEG等の一般的なフォーマットに変換しておく必要がある。QuickTakeのコーデックはMac OS 9ではサポートされているので、たとえばGraphic ConverterやPhotshop等で読み込んで別形式のファイルとして保存すれば良い。

関連リンク:Mac OS X: Unable to Open QuickTake 100, 150 Pictures
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), デジタルカメラ, グラフィックス


KBase》WebObjects 5.0でフレームが更新されない場合の対処方法

WebObjects 5.0でフレームの表示内容が更新されないときの対処方法がKnowledge Baseで掲載されている。setPageRefreshOnBackEnabled(false)というメソッドを使用することで対処できる。Ver.4.5まではこうした問題は発生しなかったが、キャッシュの手法が変更されたことで、更新されない場合がでてきてしまっている。そのメカニズムについての説明もある。

関連リンク:WebObjects 5.0: WebObjects 5.0 Application May Not Update Frames Correctly
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), WebObjects


CodeWarrior 7.2へのアップデータが公開、メンテナンスリリース

Metrowerksより、CodeWarrior 7.2へのアップデータが公開されている。英語版のみが公開されている。2001年12月に公開された7.1へのアップデートに引き続くメンテナンスリリースで、機能的には大きな違いはない。7.2へのアップデートはコンパイラの機能の向上の模様だ。なお、7.2へのアップデートは7.1にたいして行うため、7.0の利用者はまず7.1へのアップデートを行う必要がある。Macintosh版とWindows版の両方が7.2へアップデートされている。

関連リンク:Software Updates: CodeWarrior for Mac OS, Professional Edition, Release 7.2 Update
カテゴリ:CodeWarrior


Mac OS Xでの印刷機能やCarbonの印刷処理についての文書が公開

Mac OS Xでの印刷機能に関連した開発者向けのドキュメントが公開されている。それぞれ、概要は以下の通りだ。

◇About the Mac OS X Printing System
 http://developer.apple.com/techpubs/macosx/CoreTechnologies/graphics/Printing/AboutMacOSXPrinting/prtfund.pdf
Mac OS Xの印刷機能のうち、ユーザインタフェース部分と、基本的な内部アーキテクチャの解説を行っている。PDF文書だけが公開されており、30ページ強とそれほどのボリュームではない。印刷時のダイアログボックスではプリンタの機能に合わせて表示されるが、この文書で用意されているすべてのダイアログボックスを見ることができるものと思われる。また、アーキテクチャの解説では、概要ではあるが、どういったメカニズムが背後で稼働しているのかが分かる。

◇Supporting Printing in Your Carbon Application
 http://developer.apple.com/techpubs/macosx/Carbon/graphics/CarbonPrintingManager/CPM_Concepts/index.html
Carbon Printing Managerを使った、Carbonアプリケーションでの印刷機能の組み込み方法が解説されている。使用するデータの構造やAPI関数をはじめ、用紙設定や印刷のときに行うべき処理が詳細に記載されている。また、ソースコード例もあるので、じっくり読めば、必要な情報は得られると思われる。Classicアプリケーションからの移行や、あるいはアプリケーションにPDFで保存するメニューを追加する方法といった情報も掲載されている。

カテゴリ:グラフィックス, Carbon/CF, Mac OS X


KBase》iPhotoに関する文書、エラーやダブルクリック時の動作について

◇iPhoto 1.0: "Unreadable Photo Some files cannot be imported" Alert
 http://www.info.apple.com/kbnum/n61044
画像ファイルの取込みでエラーメッセージが出る場合には、指定したフォルダ内に画像とは違う形式のデータが入っているファイルがある場合や、データが壊れている場合、あるいはディスクがいっぱいである場合がある。QuickTake 100/150で撮影した画像ファイルは、Mac OS Xではそのままでは開くことができない点については、別掲の文書を参照するようになっている。

◇iPhoto: How to Choose What Happens When you Double-Click a Photo
 http://www.info.apple.com/kbnum/n50167
画像をダブルクリックしたときに、iPhotoとは別の画像編集ソフトを起動してそちらで編集作業をすることができるようになっている。環境設定でその設定ができる。外部エディタを指定した場合でも、optionキーを押しながらのダブルクリックで、iPhotoの編集機能は利用できる。

カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), デジタルカメラ


KBase》小規模なEthernetのネットワーク構築に関する文書が公開

Knowledge Baseに、Ethernetネットワーク構築に関する文書が掲載されている。ポートの説明やハブが必要なことなど、非常に基本的な事柄の説明となっている。ハブを使う方法や、クロスケーブルで2台を接続する方法、AirMac BaseStationを使う方法などが掲載されている。家庭内ではじめてLANをくむような人向けの文書である。

関連リンク:Macintosh: How to Create a Small Ethernet Network
カテゴリ:Knowledge Base(旧TIL), ネットワーク管理