Macintosh Developer Online (MDOnline)


2002年2月5日発行号 - ファイルメーカーのiモード対応



今日はファイルメーカーの発表会の記事だけです。AppleScript Studioでテーブルを使う方法あれこれやっていたのですが、いちおう動いて図は作ったのですけど、今から書いていたら遅くなるので、明日の記事にさせてください。

さて、ファイルメーカーのiモード版は、WebコンパニオンのCompactHTML版と言えばいいでしょうか。ユーザ数は無制限にしたものの、89,000円はちょっと個人価格とは思えません。ユーザ数をしぼって個人向けに安価でも出すと言うこともありうるでしょうけど、狙いは企業ユーザなんでしょうね。ファイルメーカーProと、iモード版でとりあえず、「iモード対応グループウエア」的なことができますから、Web無制限公開セットとしては安価だとも言えます。こうした日本だけの製品というものを開発できるという点で、ファイルメーカー社の好調さは伺えるでしょう。
ところで、一方のアプリケーションサーバといえばWebObjectsですけど、WebObjectsでも、少しの工夫でiモード対応はできるのじゃないかと思いますが、どうでしょうか? 要は、HTMLを生成しているコンポーネントを、CompactHTMLにすればいいということではないかと思います。どこかにパッチを当てれば、WOStringがCompactHTML対応で出るとか、いくつか特有のものは、新たにコンポーネントを作るとかすれば、そこそこで対応できないかとも思いますがどうなんでしょうか。もっとも、そういうコンポーネントとかはWOの世界だと売り物になるかもしれませんし、もうどこかで作ってらっしゃるとか?
(新居雅行 msyk@mdonline.jp


【MacWIRE配信予定】iモード用のファイルメーカーを披露、Web経由で利用できるサーバ製品(1)

2002年2月5日、ファイルメーカーは記者会見を行い、i-Mode版のファイルメーカーの発表を行った。最初に初公開の2002年版テレビコマーシャルを披露した。

最初はFileMaker, Inc.のCEOのDominique Goupil氏からのファイルメーカーの方向性やビジョンの説明があった。プログラマではない人でもデータベースを利用できるようにしたことで、大きなユーザの広がりを見せていることを、顧客例を示して説明した。1万人以上がファイルメーカーを使っている企業もあり、大学も使っているところもある。37四半期連続で黒字となっている実績は記録的なものだ。700万以上の顧客が世界にいるが、利用形態は、人の管理、製品などのものの管理、プロセスの管理といったことに使われている。各社の具体的な利用形態を、それぞれ簡単に列挙して説明した。財務的にも健全で将来に渡って存続できる状態だと説明した。
最近の変化として、モバイルの状況が説明された。モバイルの利用は広がっているが、形態端末の性能も高くなっている。ビジネスのペースはより早くなってきていることにも対応しなければならい。そして、FileMaker Mobile for i-modeを2002年3月中旬に製品投入する。また、FileMaker Mobile 2 for Palm OSも5月にリリースすることも紹介した。i-mode対応の利用は、まず大量のユーザがいることで、そうしたユーザがビジネスユースへのニーズがでてきた。また、日本のワイアレス市場は世界をリードしており、ファイルメーカー社にとっても4分の1の売上がある日本市場を重視している。製品の目標はどこにいてもデータにアクセスできるということである。そこでパソコンに加えて、PDAや携帯電話にも対応している。

続いてファイルメーカー株式会社(以下同)の代表取締役である宮本高誠氏よりの話となった。まず、新製品として、「ファイルメーカーMobile for i-mode」として89,000円で2002年3月中旬より発売する。Mac OS XなどのPC上で動作し、データベースをiモードで活用できる。iモードからデータの参照や修正ができる。また、レイアウトの追加などで簡単にファイルメーカーのデータベースにiモードサイトを構築することができる。そして、オフィスワークとモバイルワークのシームレスな統合ができるようになる。さらに、グループウエアや営業支援ツールと言ったビジネスツールや導入ガイドが用意されているため、すぐに業務利用ができるようになる。また、i-mode対応版は「サーバ」であるが、セキュリティ機能を備え、アクセスユーザ数に応じたライセンスにはなっていない。したがって、ユーザ数が多ければ多いほど、1人あたりの費用が軽減されることが示された。ファイルメーカーMobile for i-modeの応用例として、グループウエアやモバイル支援ツールなどを示した。そして、導入を決定している神戸女學院大学での面接予約システムの例などを示した。今後のビジネス戦略として、まず製品自体の差別化として、1つのデータベースをあらゆるIT情報ツールで使えることなどをアピールする。そして、「マルチエントリーポイント」として、マルチプラットフォーム対応によってどんな端末からも使いはじめることができる点をアピールする。そして、ソリューション強化として、i-mode版のようなすぐに使えるツールの提供などを行う。さらに、サポート強化として、通常のサポートに加えて、特別サポートとして導入から稼働開始までの一括サポートを1件あたり10,000円でも受け付けるようにする。そして、広告等を使ってのブランド強化を図る。今回のモバイル対応製品を足掛かりにして、日本発のビジネススタイルの世界への広がりを期待していると締めくくった。

続いて、プロダクトマネージャーの蜂屋祐治氏からの「ファイルメーカーMobile for i-mode」の製品説明が行われた。これは、データベースを、i-modeで参照できるように変換できるサーバ製品である。iモード用のレイアウトを作るだけで、HTML等を作らなくても、iモード電話からデータベースの参照や書き換えができるようになる。また、Webコンパニオンのようなユーザ制限もない。実際のデモが行われ、iモード携帯電話からファイルメーカー社にあるサーバにアクセスし、公開されているデータベース一覧が表示された。電話帳から検索や一覧等ができるようになっているところが示されたが、自動的にそうしたページが作られる。一覧表示ではソートなどにも対応している。詳細表示では、電話やメールアドレスの部分からすぐに電話をかけることができたり、あるいは個別のデータの修正にも対応している。検索では前方一致で頭文字だけの入力で検索できることが示された。新規にレコードを作成することもできる。実際に稼働しているのは携帯電話の中ではなく、サーバとして稼働しているファイルメーカーの方にデータがある。
続いて、iモードサイト作成のデモに移った。従来は、HTMLやCGI等をコーディングして作成しなければならなかった。まず、データベースを作るところからの説明が行われたが、筆まめに入れたデータをCSV形式で書き出し、それを読み取る方法が説明された。既存のレイアウトを複製して名前を「CHTML」で始まる名前にする。そこで、表示したいフィールドだけを残しておき、その他のフィールドのオブジェクトを削除する。そして、全部のフィールドのあるCHTMLで始まるレイアウトも作っておく。そして、Webコンパニオンを稼働させれば、それだけでOKである。いずれにしても、規定の名前のレイアウトを作るというのが、いちばん手軽なiモードサイトの作り方となるようだ。また、データベースを使ったチャットの例も示し、iモードからの入力で、レコードが追加される様子が示された。なお、稼働はiモードのエミュレータで行われた。また、ページに表示されるロゴのカスタマイズも、画像ファイルを用意するだけで簡単にできることが示された。また、Webベースの管理者向けツールもあり、別のWebサーバとの組み合わせで使う場合などの作業も容易にできるようになっている。また、データベースにパスワードをかけて動作するところもデモされた。
(この項、続く)

カテゴリ:データベース, Palm & PDA


【MacWIRE配信予定】iモード用のファイルメーカーを披露、Web経由で利用できるサーバ製品(2)

続いて、マーケティング部の荒地暁氏より、「ファイルメーカーMobile for i-mode」に付属する即戦力ビジネスツールの解説が行われた。スケジュール管理があることが示され、実際にスケジュールの取り出しが行われた。名前は選択入力ができる。そして、報告を入力するというところまでが実際にデモされた。スケジュールの照会や会議室のスケジュールをチェックして、客先で商談のスケジュールを入れることができるといったことが紹介された。
さらに、見積書作成をiモード上で行うというデモも行われた。客先で、見積書を作成するような状況で、見積書にいくつかの商品を追加し、そして合計などを求めるといったことが示された。最後に発行依頼を設定する。そして、オフィスの担当者はPCで発行依頼のあった見積書を印刷するという流れとなる。また、受注品の納期の確認や商品カタログから価格の問い合わせに応えるといったことをiモードから行うといったデモも示された。導入ガイドも示されたが、ADSLを導入するところからを細かく説明した解説になったところも紹介された。

開発部の出雲崎正剛氏より、FileMaker Mobile 2 for Palm OSについての概要の説明が行われた。Moble版は2001年に発売されたが、それがバージョンアップしたものである。iモード版との比較が簡単に示されたが、Mobile版はデータをPalmに転送して利用するものである。デスクトップデータベースをPalmに取り込める。一覧表示と詳細表示を基本とし、既存のデータベースをそのまま利用できるようになっている。Mobile 2の新機能としては、ポップアップメニュー、ポップアップリスト、チェックボックスのサポート、Palm OSアドレス帳やカレンダーとの連動、一覧表示向けのフィールドオプションの追加、ジョグダイアル対応、転送可能フィールドを50フィールドの増加となっている。フィールドオプジョンでは列幅や配置、カラーと言った設定ができる。そして、実機によるデモが行われた。フィールドのオプションの設定で、中央揃えや文字色の変更ができることが示された。一覧表示では、先頭列のロックや列幅の変更ができる。先頭列をロックすると、スクロールしても、最初の列は常に画面に表示されている。ジョグダイアルのプッシュで、詳細表示に移動するといったこともできる。さらに、画面全体で文字編集ができるコメント機能についても説明された。iモード版との違いや、ファイルメーカーファミリー製品についての全体的な利点についても解説された。

Q&Aでは価格が高いなどとの話がでたが、iモード版はサーバ製品なので、そういう問題ではないと答えられた。また、Webサーバの利用については、Mac OS Xでは、ApacheによるWeb共有を使うことになる。基本的にはWebサーバは不要だが、Webサーバを使うとセキュリティを高めることができる。

◇画期的な新製品「ファイルメーカー Mobile for i-mode」を発売
 http://www.filemaker.co.jp/news/p20020205.html

◇ファイルメーカーMobile for i-modeのデモページ(iモードで参照可能)
 http://demo.filemaker.co.jp/i/

(この項、以上)

カテゴリ:データベース, Palm & PDA