タイトル【Mac OS 9シリーズ】キーチェーン(1)カテゴリーMac OS 9, Mac OS 9
作成日1999/11/16 17:29:33作成者新居雅行
 MDOnlineの読者方は、比較的ベテランの方が多いと思われるが、PowerTalkと言えば懐かしいと思い出していただけるだろう。PowerTalkには「鍵束」という機能があった。KeyChainの翻訳としてはあまり豪快な名前ではあったものの、機能そのものは大変に便利だったため、PowerTalkから切り離してその後も使えればよかったのにと考えてしまったものだ。その鍵束が、「キーチェーン」として、Mac OS 9で甦った。機能的にはおおむね当時の「鍵束」と変わりはない。サーバアクセスのためのアカウントとパスワードを、いくつも記録記録しておき、必要な時に自動的に送りだされる。最初にキーチェーンのロックを解除するパスワードを入力すれば、そこに登録されているパスワードやアカウントは自動的に利用されるというわけだ。AppleShareサーバーが何台もあるような環境では便利だし、アプリケーションが対応していれば、いろいろなアプリケーションで、パスワードやアカウントの送り出しを自動的にできる。
 Mac OS 9をインストールした最初は、キーチェーン自体が1つも存在しない。そこに新たにキーチェーンを作成するのだが、作成する方法としては、次の方法がある。

  • 「キーチェーンアクセス」コントロールパネルを開く
  • 「セレクタ」でAppleShareを選び、実際にマウントする時にキーチェーンに追加する指定を行う

ここで、「ならば『ネットワークブラウザ』でアクセスする時も、キーチェーンに追加する指定をすればいい」と思いたいところだが、なぜか、ネットワークブラウザでは新たにキーチェーンを作成するとうことができなくなっているようだ。

 「セレクタ」でAppleShareのサーバをマウントする時、一覧にあるサーバ名をダブルクリックすると、次のようなサーバのアカウントとパスワードを入力するダイアログボックスが表示される。ここで、「キーチェーンに追加」のチェックボックスをオンにしておく。すると、入力したアカウント、パスワード、接続先がキーチェーンの1項目として追加される。
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 そしてログオンを行うがそのときに次のようなダイアログボックスが表示される。ここで「作成」ボタンをクリックすれば、新たにキーチェーンが作成される。「他をロック解除」はファイル選択のダイアログボックスが表示され、キーチェーンの元ファイルを選択するようになっている。
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 「作成」ボタンをクリックすれば、次のようなダイアログボックスが表示される。適当なキーチェーン名と、パスワードを2回入力し、キーチェーンを実際に作成する。なお、パスワードがたとえば1文字とか、ありきたりの単語だと、図の下側のようなダイアログボックスで警告がなされる。基本的にはさけるべきだが、利用環境などを考えて問題ないのなら、「はい」を選んでもかまわないだろう。
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 こうして「初期設定」フォルダにある「キーチェーン」フォルダに、実際にデータを記録するファイルが作成される。ファイル名はキーチェーンの名前と同一だ。

 キーチェーンはロックをかけて中身を参照できなくすることができる。ロックを解除するには、パスワードの入力が必要だ。起動直後は基本的にはキーチェーンにはロックがかかっている。キーチェーンを利用しようとする時、ロックを解除するためのパスワード入力が必要になる。次のようなダイアログボックスでパスワードだけを入力する。起動時にAppleShareのサーバをマウントするような場合には、このダイアログボックスが起動時に出てくる。あるいはマウントする段階で出てくることもあるだろう。
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 ここで実際にキーチェーンを使っていいかどうかを問い合わせるダイアログボックスが表示される。念のためと言うことではあるが、慣れてくれば、このダイアログボックスは表示しなくてもいいと思うだろう。その時には、ダイアログボックス内のチェックボックスをオンにして、以後は表示させなくすることも可能だ。
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 FTPクライアントソフトのNetFinderは、Mac OS 9以前からKeyChain Manager対応しているため、Mac OS 9のキーチェーンの機能はすぐに使える。ログインの設定画面の左下に2つのボタンがある。これは、キーチェーンに追加するボタンと、キーチェーンのロックを解除するボタンが付けられている。いずれにしても、NetFinderでログインすると、そのままで、キーチェーンにFTPサーバへのアカウントとパスワードが追加され、次のアクセスからは自動的にアカウントとパスワードが送りだされる。NetFinderでは基本的にはパスワードは保存されないために、毎回入力することになっていたが、キーチェーンを使えばそのような煩わしさがなくなると言える。
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 ところで、マルチユーザ機能とキーチェーンにはいい関係がある。もちろん、初期設定フォルダの中身なので、利用者ごとにキーチェーンが設定される。マルチユーザ設定によるログオン作業を行うと、キーチェーンのロックも解除されるのである。言い換えれば、ログオンによるパスワード入力だけで済み、キーチェーンのパスワード入力作業は行わなくても、キーチェーンは利用できるようになる。電源を入れたり再起動したときだけパスワードを入れればいいので、1人で使うマックでもマルチユーザ機能を利用すれば、キーチェーンの利用はより手軽になると言えるだろう。
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