タイトル【Carbon化シリーズ】Carbon Daterを使って基礎調査カテゴリーアップルからの開発資料, Carbon/CF, Carbon化
作成日2000/5/20 18:9:20作成者新居雅行
WWDC 2000では、Mac OS X Developer Preview 4が登場し、CodeWarriorのMac OS X版も出るなど状況は動いているが、しばらくは、Mac OS 9上でCodeWarrior Pro5(5.3)を使ったこれまで通りの環境で作業を続けることにする。CarbonはとにかくMac OS X対応ということがあるのだが、Mac OS 9で動かしてデバッグもできる。Mac OS 9で完全にCarbon対応し、それをMac OS Xに持って行くのが順当なところだと考える。
自分が作成したアプリケーションのCarbon対応度を判定するサービスをアップルは98年以来ずっと行っている。すでに配付が開始されているツールであるCarbon Daterを使って、現状のアプリケーションで使用しているAPIコールのCarbonでの対応状況を見てみることができるわけだ。Carbon Daterは、アプリケーションソフトのファイルを解析して、利用しているToolboxのAPIコールを調べる。そして、その調査結果をもとに、Carbon対応に問題のあるものを教えてくれる。それをメールでやりとりして、HTML文書でレポートするのである。まずは、以下のサイトから、Carbon Daterをダウンロードしよう。最新版は1.3になっている。
◇Carbon Dater
 http://developer.apple.com/macosx/carbon/dater.html

ダウンロードしたCarbon Daterのアプリケーションに、調査したいアプリケーションのファイルをドラッグ&ドロップすれば、それで調査は開始される。途中、レポートを送付するメールアドレスがダイアログボックスでたずねられる。さらに、アプリケーション名+.CCT というファイルが作られ、それをCarbonDating@apple.comにメールで送るようにという記述が出てくる。自動的にメールを送ったりはしないので、メール作成は自分でしなければならない。
◇Carbon Daterでアプリケーションを調査
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さて、今回は、TextDrawIVというアプリケーションをCarbon Daterで調査したわけだが、その調査結果は、Carbon Daterフォルダ内にTextDrawIV.CCTというテキストファイルで作られる。ファイルの中身は使っているAPIの名前が列挙されているだけのものだ。このテキストファイルの中身をメールで送るのだが、中身を送るとは言っても、その中身をメールの本文にするわけではない。このTextDrawIV.CCTを、メールの添付ファイルとして送るようにと指定がある。電子メールソフトで前述のアドレスにメールを送ればよい。メールのサブジェクトや本文はなんでもいいようだ。

メールを送ると、2時間ほどで、「Carbon Dater Report」というメールが戻ってくる。ちなみに、Claris Emailerを使っているみたいなので、解析処理はAppleScriptベースのシステムで自動的にやっているのではないかと想像できる。そのメールにはこの場合だと「TextDrawIV.report.sit」というファイルが添付されてくる。ファイルを展開すると、「TextDrawIV.report」というフォルダが出てくる。そのフォルダにある「TextDrawIV.html」というのがレポート本体だ。Internet Explorer書類になっているので、ファイルをダブルクリックすれば、IEで文書は参照できる。グラフィックス類は同じフォルダにあるImagesフォルダにまとめられている。
◇戻ってきたCarbon Daterのレポート
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実際のレポートの内容をWebで参照できるようにした以下のアドレスがそれだ。最初にサマリーとして、何%くらいの互換度があるかが示され、続いて、サポートされないか推奨されないAPIを利用しているシステムコンポーネントごとに、変更点や問題のあるAPIについて説明がある。
◇Carbon Compatibility Report
 figs/carbon/TextDrawIV.report/TextDrawIV.html

最初にCarbonが発表された98年の段階でもCarbon Daterを使ったレポート作成をやってみたのだが、今回のものとは結果が違っている。98年の段階では「検討中」が多くあったためUnder Evaluation+Unsupportedの合計は7%だったが、今回はUnsupportedが17%にまで増えている。一方、Supportedは87.6%から71.7%に減少している。Carbonの仕様が固まるに従って、互換性のないAPIが増えたのだとしか思えない。ざっと見たところでは、TSM関連のAPIコールは使用しなくてもよくなっている点が初期の頃とは違うところだ。
もし、以前にCarbon Daterを使ったことがあるという方でも、上記のような事情があるので、現状を把握するという意味でもCarbon Daterを再度利用されることをお勧めしたい。
さて、このCarbon Daterのレポートを見れば、まずはサポートされていないAPIをクリアしないといけないことが分かる。Not Recomendedについては、とりあえずそのままにして、動きを見ながら考えることにした。ただ、Carbon Daterのレポート結果を修正すれば、それでCarbon化が終わるほど甘くないのだ。レポートは非常に重要な参考資料ではあり、その内容をクリアする必要がある。しかしながら、これはすべてではないということを、まずは心積もりをしておく必要がある。
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