タイトルMacの現役プログラマがMac OS Xを語るセミナーが開催、開発者の本音もカテゴリーMac OS X, イベント
作成日2000/10/20 22:17:35作成者新居雅行
2000年10月20日、World PC Expo 2000の会場において、日経MAC誌の「いんさいどまっきんとっしゅ」歴代著者によるフォーラムが行われた。各方面で良く知られたメンバーがずらりと並ぶために、ディープな内容に期待がかかった。そして、実際にMac OS対応のソフトウエアを開発している現場の声が聞けたセッションとなった。
シエスタウエアのバスケ氏がまずMac OS Xの概要を説明した。Mac OSの問題点を不安定であることなどを説明し、次世代のMac OSの目標として、モダンOSやI/Oの整理、標準化などを掲げ、「今まで通り使いやすいコンピュータであること」が最大の目標であると示した。そして、Mac OS Xの基本的な部分のデモが行われた。そして、Mac OS XはMac OSとNeXTSTEPをくっつけたものと説明し、Aquaをトップにし、ボトムにDarwinを配した図をもとにMac OS Xの構成について説明をした。グラフィックエンジンとしてのQuartzについてはさらに詳しく説明をした。レンダリングエンジンとウィンドウサーバとしての機能がある。さらにコアがUNIX化したことによる標準化についても説明が行われた。インターネット機能が高速化されるのも標準化で得られるメリットであると言える。今後の課題としては、Finderの使い勝手や、Aquaの革新性の低さ、Carbon化対応やCocoaの普及を挙げた。
続いてパネルディスカッションが行われた。メンバーはバスケ氏、ヤノ電器澤和孝氏、アリーナプロジェクト永山純一氏、ソノランブルー田中太郎氏、オッティモ小池邦人氏である。まず、Carbon化をテーマに上げられた。簡単に変更できるかということについては、小池氏は「古いもの(Sytem 6や7)なら全面書き換えが必要。新しいものやフレームワークを使ったものならほとんど書き換えはない。構造体アクセスが直接できないが、大量にあるそういった箇所の修正はかなり大変」と述べた。永山氏はアリーナのCarbon化について述べ「PowerPlantを使っているので3日くらいでとりあえず動くようになった。構造体のアクセスもパターンがあるので、それなりにがんばればすぐできる」と話した。Mac OS XのCarbon上で動く電子メールソフトのアリーナも披露した。澤氏は「Carbonで捨てられたAPIはデバイス系のAPIである。デバイスドライバ関連についてはDarwinの中に入り、構造が変わり、100%の書き換えが必要になる。ディスプレイドライバなどごく一部は互換性があるが、普通は書き直しが発生する。それに関連するので各種アプリケーションツールも結果的にほとんど書き直すことになる」と説明した。QuickTimeについてはCarbon化されたBanana Viewerを動かしながら田中氏は「2時間ほどで簡単にできた。QuickTime関連はほとんど変更はなかった。初期設定ファイルの場所などに悩んだくらい。デバイスドライバを使っている部分は面倒になりそうだ」と話した。英語版のMac OS Xでもメニューは何もしなくても日本語は出る。ウインドウはフォントを設定しなおすことで、日本語を表示できる。ボタンが2行に渡ることもあったが、フォントの設定で直った。ボタンは大きくしなくても大丈夫だということだ。UNICODEということが言われているが、プログラムの中のコードはShift-JISコードで入っている。一方、開発環境としてはCode Warriorだけでなくアップル純正のものは実際にどうなのかという問いかけには、PowerPlantのコンパイルができるかどうかも分からないといった答えであった。ここで、バイナリ形式の話になり、CFMはすべてのルーチンが初期化、Mach-Oは使うものだけが初期化されるとバスケ氏によって説明された。Mach-Oでしか使えない機能(Quartzなど)もある。開発環境についての話について振られたが、「JavaについてはCodeWarriorでもProjectBuilderでも作成できる。Java2に対応したため流通しているソフトが利用できる」などと永山氏によって説明された。また、一般のJavaの参考書の通りに利用できるようになった点も大きいとも話された。Swingで作ったアプリケーションについての説明もあり、互換性の高さを説明した。Pure Javaという選択肢も十分に検討する価値のあるものだと説明された。
(続く)
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