タイトルWebObjectsのセミナーが開催、開発上の利点や開発事例などを紹介カテゴリーWebObjects, イベント
作成日2000/10/20 22:19:21作成者新居雅行
World PC Expo 2000の会場において2000年10月20日に「WebObjectsによる“新世紀型”戦略システム構築」が開催された。はじめにWebObjectsについてのメリットについて、スケーラビリティなどが説明され、講演の概要を説明した。最初に登場したのは、フレームワークスソフトウェア代表取締役桝室裕史氏で、「WebObjectsによるWebアプリケーション開発プロジェクトのメリット」として講演が行われた。WebObjectsが登場するまでの背景として、88年のNeXT Cubeの登場がはじまりであり、研究機関を中心に浸透したが、93年にハードウエアの製造を中止し、PC/AT互換機で動作するOSに切り替えた。UNIXでも稼動するようになり、データベース接続も完成の域に達し、大手銀行や証券、生損保などで導入された。当初はMachをベースにしていたが、Windows NTやSolaris、HP-UXをベースに稼動させるようにしてOPENSTEPが誕生する。96年春からWebObjectsの販売が開始されたが、そのときにステーィブジョブズ氏はインターネットにフォーカスすることを宣言したという。OPENSTEPとWebObjetsは同じEOFベースに稼動するものだが、いちばん上位のレイヤーが入れ代わったものと説明があった。その後96年12月にAppleに売却され、着々とバージョンアップを重ねている。パフォーマンスも上がり、Java対応し、ついには大幅に価格を下げることになる。WebObjectsの特徴としてまず、オブジェクト指向を挙げ、Webアプリケーションに必要な部品がひととおり提供されていることを説明した。そして、EOF(Enterprise Object Framework)をコアにしたデータベースアクセスについても、リレーショナルデータベースをオブジェクト指向で利用できる点を説明した。また、Model-View-Controller型のアプリケーションを構築できる点もある。また、永年の継続開発による信頼性や実行性能についても、特徴だとした。一方、他社のアプリケーションサーバ製品は実行性能が低く、自社製品との接続しかできないことや、アーキテクチャが2〜3年で変わるなどのデメリットを挙げた。さらにPerlやCと比較すると、1から作らないといけないとか、開発負荷が高くなることや、再利用ができなくなることがあり、結果的にコストが高くなることを説明した。続いて開発プロジェクトの進め方が具体例とともに示された。コンセプトやデザインを詰めるのがまず最初の作業ながら、デザイナはなかなか完成させないために、ページ項目やページ構成を固定させてあとは修正があるものとして開発すればいいといったノウハウも披露された。さらに、フレームワークの開発として、オブジェクト定義やスキーマ作成を行うが、顧客の要求にとらわれず抽象化することが重要であるとした。さらにアプリケーション開発のフェーズに至る。WebObjectsを使えば、デザイナとエンジニアが別々に作業ができ、ページのリニューアルだけも可能となる。また、開発速度も熟練すれば、PerlやCの5分の1程度にまで減少する。そして、オブジェクトや設計パタンの再利用も可能となる。一方、留意点としてはオブジェクト指向のハードルは低くないことや、アップルのトレーニングを全部受けた方がいいこと、英文ドキュメントを読むこと、ビルダやウィザードをあまりあてにしないこと、Javaで作成すること、プロトタイプは有効であること、サードパーティのソリューションを利用することを挙げた。そして、開発に携わった日産の見積もりシステムを事例として紹介した。
休憩をはさんで、サイバー・ラボ代表取締役社長加藤康之氏による「フルオブジェクト指向で設計したエンドユーザー向け開発支援環境」が講演された。WebObjectsをベースに稼動するサイバーフレームワークという一種の開発環境が説明されたが、エンドユーザがアプリケーションの作成もできるといった進歩的なシステムを、事例を交えての説明であった。WebObjectsを使う理由として、誰が書いてもオブジェクト指向になることや、オブジェクト指向として最高のテキストであり、今までの限界をこえることができるといったことを挙げた。加藤氏自身も36才から始めたくらいで、それもWebOjbectsを使うからこそできたと説明した。特に記憶力に頼らなくてもいいという点で年令にかかわらず取り組めるし、作り上げるという点に関しては年令は関係ないと話した。フレームワークとは、部品が1つ1つが正しく組み上がるための仕組みであると説明し、部品を集めて作る電子回路では間違いが起こるものの、ボルトやナットのネジをオブジェクト指向の例として対比させた。部品の要素化として、機能オブジェクト、制御オブジェクト、インタフェースオブジェクトの階層的な組み合わせという手法を開発したとしている。オブジェクト指向に関する設計の手法として、ディクショナリオブジェクトを媒介にして統一的な定義ができることなどを説明した。そして、実際にデモが行われたが、アイコンをドラッグ&ドロップするだけで必要な情報を取り出して画像付きのリストを作ることや、アイコンをドラッグすることで、プロジェクトの管理システムが簡単に作成できるなどが示された。また、作成したアプリケーションがさらにまた部品になるといったオブジェクト指向的な特徴や、あるいはリアルタイムの物理シミュレーションといった事例も紹介した。プログラミングの知識のないエンドユーザがシステムを構築できるように、部品を揃えてそれを組み合わせてシステムを作ると言ったサイバーフレームワークの世界を実例を交えて紹介した。WebObjectsのオブジェクト指向な世界をベースにした従来にない開発支援システムが実現していることが実演された。
Q&Aではiモード対応についての質問が出された。テンプレートのHTMLをコンパクトHTMLを用意するだけでできるようだと枡室氏は返答した。サイバーフレームワークはWebベースできるのかという問に対しては、今回は時間がなかったがそういう事例もあると加藤氏は説明した。
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