タイトル【MacWIRE配信予定】倉橋浩一、じつはWebObjectsで飯食ってます》評価の基準カテゴリーWebObjects, 倉橋浩一、じつはWebObjectsで飯食っています
作成日2002/2/28 10:19:47作成者新居雅行
http://www.techpit.co.jp/WO/
WebObjectsのページ
現在の日本が抱えている問題の多くを突き詰めると、きちんと物事を評価できない/できなかったことに起因しています。農耕民族なので根底に明確な評価を下さない文化というのがあったのですが、いざ評価する必要が生じても評価できない体質になってしまいました。バブルも、その後始末が進まないのも、教育の荒廃も、東京に不味い店が多いのも、どれもちゃんとした評価ができないから。評価できないことを誤摩化すために、機会の平等と結果の平等を取り違えちゃったもんだから、なおさら悪化してしまいました。

昔の話ですけど、知人にノートPCのスペックを尋ねたら、「おまえもプロなら型番とスペックぐらいは覚えておけ」って怒られたことがあります。私が販売のプロなら怒られてもしょうがないですが、私の仕事はハードウエアの型番とは関係ないんですよね。でも、残念なことに、そういう的外れな基準で評価するバカは決して少なくないです。

PC関係のライターをしている別の知人に、「iMacがすぐにインターネットにつながるなんてウソじゃん」って言われたことがあります。彼の弟君がiMacを買ったもののインターネットにつながらなくて苦労したらしいんですね。でも、一つひとつ確認していくと、オンラインサインアップのパスワードを書いたメモをどこかに仕舞い忘れてしまったのが原因でした。PCライターをしている知人も、「Macが悪いに違いないと思ってた」ですってさ。Windowsだとこういう場合に自動的に無くしたメモを見つけだしてくれるんでしょうかね。

まぁ、今に始まったことではなく、そういう民族なんだな、と思う今日この頃なんですが。

私が飯の種にしているWebObjectsに関しても、営業に行くとよく「でもASPってマイクロソフトだから」(だから何だ)とか「うちはMacは使わないから」(Windowsでも動くぞ)とか「雑誌に出てたけどWebSphereって良いらしいよね」(使ってみなさい、苦労するから)なんてことを言われます。以上の指摘が正しいか否かはともかく、いずれにしてもツールを使った上での評価じゃないんですよね。

また、先日、ある掲示板で、「WebObjectsは7万円だけどphpはタダで使える。だからphpの方がいい」というような発言を目にしました(perlだったかな)。これが間違っているとは言いませんよ、7万円とタダなら、7万円の方が高いのは小学生だってわかることですから(笑)。

でもね、ツールの評価って、ツールの値段がすべてなんでしょうかね。WebObjectsは修得が難しいと言われるけど、phpより難しいということはないです。それに生産性にしても、少なくともリレーションを含めたデータベースの扱いに関しては、かなり徹底的にphp/perlを使い込んでいる人でも、WebObjectsである程度以上の経験を積んだ人には勝てません(断言しちゃいます)。

つきつめれば、それでどれだけ利益を出せるか、というのがツールの価値です。

たとえば、もし5万円で仕事を請けてしまったら、最低でも72,800円支払わなければならないWebObjectsを使って納品することはできません。でも、1000万円で請けてきた仕事の生産性を一割あげることができれば、100万円の儲けですよね。WebObjectsはかつて最高で約700万円しました。でも、それでもちゃんと利益を出していたツールです。1000万円の仕事に700万円のツールを使ったとしても、300万円以下のコストで完成すれば利益は出ます。それが72,800円で買えるようになったのに文句言われちゃうんですもん、アップルも気の毒です。

以上は、すでにWebObjectsを使っている人ならばごく当たり前のことなのですが、WebObjectsを触っていない方は、眉にたっぷり唾をすり込んでおられると思います。そういう方にはぜひとも3月8日のWebObjectsセミナーにお越しいただきたかったのですが、残念ながらすでに満席になってしまいました。セミナーの持ち時間は限られていますが、ある商用サイトを事例として、WebObjectsの生産性の高さをご覧いただきます。

◇WebObjectsセミナー
 http://www.apple.co.jp/hotnews/2002/0308wo_seminar.html
___

ところで、もうすぐMacworld Expo Tokyo 2002ですね。私の会社は今年も出展します。去年は準備不足で大したものをご覧いただけなかったのですが、今年はいろいろと準備しています。皆様のお越しをお待ちしております。

最後になってしまいましたが、ここに執筆する機会を与えてくれた新居さんに感謝します。MDOnlineの閉鎖は残念ですが、MDOnlineの蒔いた種は、きっといつか芽吹いてくれると思います。ありがとうございました。
∽∽∽∽∽この項、以上∽∽∽∽∽∽∽[倉橋浩一/テクニカル・ピット]∽∽∽∽∽
関連リンク